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[ニュース分析]“韓米→南北→朝米”非核化三角軸外交が再始動

登録:2019-04-12 21:46 修正:2019-04-13 07:15
韓米首脳会談で対話の動力を回復させ 
3回目の朝米会談の開催可能性を確認 
文大統領「近い将来、南北会談推進」 
トランプ「北朝鮮の立場を早く知らせてほしい」
文在寅大統領とドナルド・トランプ米大統領が11日午後(現地時間)、米国ワシントンのホワイトハウスで拡大首脳会談を兼ねたワーキングランチを共にしている=ワシントン/キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領は11日(現地時間)、米国ワシントンで開かれた韓米首脳会談で、3回目の朝米首脳会談開催の可能性を確認し、南北首脳会談を通して停滞した朝米対話の動力を維持することにした。朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和定着を目標に昨年始まった南・北・米首脳の三角軸リレー外交プロセスが、ハノイでの朝米首脳会談合意見送り以後、韓米→南北→朝米首脳会談の順で再び始動したわけだ。

 この日昼、116分にわたり進行された会談で、文大統領が取り出した腹案は「近い将来の南北首脳会談推進計画」だった。トランプ大統領は「(韓国が)把握する北朝鮮の立場をできるだけ早く知らせてほしい」と要請したとチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長が伝えた。これに先立ち、ハノイ首脳会談が合意なしで終わった直後(2月28日)にも、トランプ大統領は文大統領に電話をかけ「金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と対話して、その結果を知らせてほしい」と頼んだ。これに関連して、韓米首脳会談の前に南北首脳が“ワンポイント”会談を開催するのではないかとの観測があったが、北側がハノイ会談の評価など内部整備に集中しているため不発に終わった。

 米国の同意により南北首脳会談推進の動力を確保した文大統領は、近い将来対北朝鮮特使の派遣などを通して、今回の韓米首脳会談の結果を北側と共有し、朝米対話へ向かう飛び石として南北首脳会談を提案する展望だ。大統領府の高位関係者はこの日、記者団と会い「帰国したら本格的に北朝鮮と接触し、早期に南北首脳会談が開かれるよう推進するということ」と公式化した。いかなる形態であれ、南北首脳会談が早期に実現すれば、朝米対話の再開に役立つと見られる。

 ただし、「非核化前の対北朝鮮制裁解除は不可」とする米国側の立場に変わりがない状態で、金委員長が朝米対話を促進するための文大統領の“ワンポイント”会談提案に速やかに応ずるかがカギだ。金委員長は最近、労働党中央委員会全員会議(7期4次)で、米国の対北朝鮮制裁圧迫に屈服しないというメッセージを明確にし、長期戦に備えていると見られている。

 こうした脈絡で、3回目の朝米首脳会談に対するトランプ大統領の意志を確認したことは、南北首脳会談で文大統領が資産として活用できる肯定的内容だ。ハノイでの朝米首脳会談が“ノー・ディール”で終わった後に開かれるだけに、3回目の朝米首脳会談が開かれるならば、双方ともに必ず合意を導き出せるよう下作業をするだろうと考えられるためだ。トランプ大統領は、金委員長との3回目の首脳会談を念頭に置いているかとの取材陣の質問に「3回目の首脳会談はありうる」と答えた。会談後にホワイトハウスが出した発表文でも「(トランプ大統領が)対話の扉は開いていると話した」と伝えた。

ドナルド・トランプ米大統領(左)が11日午後(現地時間)、米国ワシントンのホワイトハウスで、首脳会談に先立ち文在寅大統領が記帳した芳名録を見て親指を上げて見せている=ワシントン/キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、両首脳は3回目の朝米首脳会談の時期と方法について完ぺきな合意に至れなかったと見られる。文大統領は「近い将来の3回目の朝米会談」開催に対する期待を明らかにした反面、トランプ大統領は「段階的(ステップ・バイ・ステップ)だ。急いで進めれば適切な合意にならないだろう」と話した。朝米対話が早期に再開されない場合の動力喪失を懸念する文大統領の時刻表と、速度調節を通じて北朝鮮を圧迫するというトランプ大統領の“時間戦略”の間に多少のズレがあることがわかる。この間隙を埋めるためには、文大統領が北朝鮮から少なくとも「寧辺(ヨンビョン)核廃棄プラスアルファ」の措置を引き出さなければならない。

 非核化交渉を推進する方法論についても、見解の違いを狭められなかった兆候が見える。トランプ大統領は「ビッグ・ディール」と対比される文大統領のいわゆる「グッド・イナフ・ディール」(十分になかなか良い合意)に関する質問に、「今私たちが言っているのはビッグ・ディール」だとして「ビッグ・ディールは核兵器を除去しなければならないということ」と強調した。続けてトランプ大統領は、対北朝鮮制裁は「維持されなければならない」とし、開城(ケソン)工業団地の再開については「今はその時でない」と明らかにした。韓国のチョン国家安保室長は「より具体的で現実的な方案についてきわめて虚心坦壊な意見交換の機会になった」とのみ明らかにした。

 韓国大統領府は今回の首脳会談が「ハノイ首脳会談以後に提起された種々の不確実性を除去し、対話再開のモメンタムを生かす契機になった」と評価した。また「南北関係の改善が、非核化対話の動力を維持することに寄与しているという点に対して韓米両国が認識を共有した」と指摘した。チョ・ソンニョル前国家安保戦略研究員首席研究委員は「一部で提起されている韓米間の不和説を解消する一次的目標は達成した」と分析した。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/889851.html韓国語原文入力:2019-04-12 19:20
訳J.S

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