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憲法裁、「堕胎罪」に憲法不合致決定…もはや女性の罪ではない

登録:2019-04-12 07:50 修正:2019-04-12 10:30
憲法裁、堕胎罪に憲法不合致決定 
7年ぶりに4対4から7対2に 
「過度な女性の自己決定権の侵害」 
来年末までに処罰条項を改正すべき
女性団体のメンバーらが今月11日午後、ソウル斎洞の憲法裁判所前で、堕胎罪憲法不合致判決に喜んでいる=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 女性の自己決定権を締め付けていた「堕胎罪」の鎖が初めて解かれた。憲法裁判所が、人口妊娠中絶(堕胎)をする女性と医療陣に対する処罰を盛り込んだ刑法堕胎罪条項が、憲法に合致しないと判断した。1953年に堕胎罪が制定されて以来、66年ぶりに下された決定だ。

 11日、憲法裁判所は刑法の堕胎罪条項(第269条1項、270条1項)が違憲かを判断してほしいと、産婦人科医師Cさんが出した憲法訴願事件で、裁判官7人(憲法不合致4人、違憲3人)対2人(合憲)で、憲法不合致の決定を下した。憲法不合致は、審判対象の法律が違憲であると判断しながらも、該当法律の空白による混乱を憂慮し、法改正の時までの期限付きで効力を認めるものだ。憲法裁は、現堕胎罪の処罰条項は2020年12月31日まで改正されなければならず、その後は効力を失うと宣言した。

 憲法裁は現在の処罰条項が極めて一部の例外を除いて人口妊娠中絶を全面禁止し、「女性の自己決定権」を過度に侵害していると判断した。人口妊娠中絶が可能な時期は、胎児が女性の身体から分離されても独りで生存できる妊娠22週間前後までと見なした。さらに、「妊娠した女性が妊娠維持と出産について悩む十分な時間が確保されなければならない」とし、女性が妊娠や出産によって経験する社会的・経済的現実を堕胎許容事由に追加するよう国会に求めた。

 違憲の意見を出したイ・ソクテ裁判官やイ・ウンエ裁判官、キム・ギヨン裁判官はこれに同意しながらも、妊娠14週は特別な事由がなくても、女性が自由に人口妊娠中絶(堕胎)を選択できなければならないと見た。一方、チョ・ヨンホ裁判官とイ・ジョンソク裁判官は「胎児の生命の保護は非常に重大で切実な公益だ。堕胎を認めると、生命軽視の風潮を誘発しかねない」として、合憲の意見を述べた。

 今回の憲法裁の決定は合憲と違憲が4対4に分かれた2012年とは異なり、女性の自己決定権と胎児の生命権の対立構図を越える視点を提示した。憲法裁は「妊娠した女性の安危は胎児の安危と深い関係がある。胎児の生命を保護するために、妊娠した女性の協力が必要だという点を考慮すると、胎児の生命を保護することは、妊娠した女性の身体的・社会的保護を含んでこそ、実質的な意味を持つ」と明らかにした。

女性団体のメンバーらが今月11日午後、ソウル斎洞の憲法裁判所前で、堕胎罪憲法不合致判決に喜んでいる=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 同日、憲法裁判所の決定を受け、堕胎罪の憲法訴願代理人団や市民社会団体、国家人権委員会などは「女性の声を尊重せよという決定」だとして歓迎した。キム・スジョン弁護士(代理人団団長)は「憲法裁は女性の自己決定権が保障されない限り、胎児の生命権も実質的に保障できないと判断した」と説明した。しかし、韓国カトリック教主教会議など宗教界は「懐胎された命を保護することは、韓国社会の構成員すべての責任」だとし、遺憾を表明した。政府と国会は「憲法裁の決定を尊重する。後続措置を取る」と明らかにした。産婦人科医師のC氏は2013~2015年、69回にわたり人工妊娠中絶手術を行った疑いで裁判にかけられたことを受け、人口妊娠中絶をした女性と医療人にそれぞれ懲役1年以下または罰金200万ウォン以下、懲役2年以下を宣告するよう定めた堕胎罪の処罰条項が憲法に違反するとして、2017年2月に憲法裁に憲法訴願を請求した。

コ・ハンソル、チェ・ウリ、キム・ミンジェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/889730.html韓国語原文入力:2019-04-11 22:21
訳H.J

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