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国家人権委員会「堕胎罪は女性の自己決定権を侵害する違憲」

登録:2019-03-17 23:54 修正:2019-03-18 07:23
違憲か否かめぐる憲法裁の決定を控え 
人権委が初めて公式意見を表明
チェ・ヨンエ国家人権委員会委員長=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 国家人権委員会(人権委)が「堕胎罪は違憲」という公式意見を憲法裁判所に提出した。人権委が堕胎罪の廃止について公式意見を表明したのは今回が初めてだ。憲法裁は来月、堕胎罪が憲法に反するか否かについて判断を下す見通しだ。

 人権委は17日、「堕胎した女性を処罰するのは、女性の自己決定権や健康権、生命権、再生産権などを侵害するという意見を憲法裁判所に提出した」と発表した。

 人権委は「民主国家で妊娠を国家が強制できないのと同様に、自分の人生に絶対的な影響を及ぼす妊娠の中断、すなわち堕胎も自らの判断によって決定する権利があり、国家はこれを保障しなければならない」と明らかにした。人権委は「堕胎を刑事処罰しないことがすなわち堕胎の合法化を意味するとは考えにくい」とし、「社会的論議を通じて解決策を模索できるにもかかわらず、堕胎罪条項が生産的な論議を妨げている」と説明した。

 人権委は「刑法は例外事由を認めず、堕胎を全面禁止しており、母子保健法上の堕胎許容の事由も非常に限られている」とし、「これによって女性が堕胎を選択した場合、違法手術を受けるしかなく、医師に手術を受けても、違法であるため、安全性の保障や要求が困難であるだけではなく、手術後に副作用が発生しても責任を問うことができないため、女性の健康権、ひいては生命権が深刻に脅かされている」と指摘した。人権委はまた「堕胎罪は、すべてのカップルと個人が自分たちの子どもの数や出産の間隔、時期を自由に決め、そのための情報と手段を得ることができる再生産権を侵害する」と明らかにした。

 人権委は、堕胎罪が堕胎を防ぐ手段になり得るという主張に対しても疑問を呈した。人権委は、保健福祉部が先月発表した「人工妊娠中絶の実態調査」で、妊娠経験のある女性の19.9%が、学業や仕事などが原因で堕胎したことがあるという結果を挙げ、「堕胎罪によって堕胎率が減少したと判断するのは難しい」と指摘した。人権委はむしろ「堕胎罪は相手の男性が女性に関係維持や金銭を要求し、これを断った場合、堕胎事実を告発するという脅迫や報復の手段に悪用されている」として、懸念を示した。

 憲法裁は早ければ来月初め、「堕胎罪」条項が憲法に反するか否かについて判断を下す予定だ。妊娠した女性が堕胎した場合、1年以下の懲役か200万ウォン(約20万円)以下の罰金で処罰するという内容の刑法269条1項「自己堕胎罪」と、医師が妊娠した女性の同意を得て中絶した場合、2年以下の懲役に処する第270条1項「同意堕胎罪」が対象になる。憲法裁は2012年、同条項らに対し、裁判官4対4の意見で合憲決定を下した。ヒョン・ビョンチョル人権委員長時代の当時、人権委はこれについて意見を表明しなかった。

イ・ジュビン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/886266.html韓国語原文入力:2019-03-17 21:03
訳H.J

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