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金正恩委員長が予告した“新しい闘争方向”は「自力更正」強化

登録:2019-04-11 22:14 修正:2019-04-12 07:06
10日、労働党中央委全員会議で「自力更正」で制裁無力化を呼び掛け 
労働新聞の会議報道に「自力更正」が28回登場 
対米批判、軍事行動の示唆なし 
韓米“制裁カード”駆使次第で情勢の進路が変わる見通し
金正恩朝鮮労働党委員長が10日、党中央委員会本部庁舎で開かれた党第7期4次全員会議を司会しながら話している//ハンギョレ新聞社

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、党中央委員会全員会議で討議し決定すると予告した「新しい闘争方向と方法」は、「自力更正の旗じるしをよりいっそう高く」掲げることであることが確認された。

 金委員長は10日、平壌(ピョンヤン)の労働党本部庁舎で開かれた労働党中央委員会第7期4次会議で「制裁で私たちを屈服させられると血眼になって誤認している敵対勢力に深刻な打撃を与えなければならない」と注文した。金委員長はその手段として「自立的民族経済を土台に自力更正の旗じるしを高く掲げ、社会主義建設をいっそう粘り強く前進させていく」と提示した。金委員長は「私たちの路線は千万回正しかった」という話で、昨年4月20日の党中央委第7期3次全員会議で採択した「社会主義経済建設総力集中」(経済集中)戦略路線に変化を与える考えがないことを強調した。韓国統一部も11日、「経済建設に総力集中するという既存の決定を維持することを再確認した」と評価した。

 金委員長のこうしたメッセージは、内には自力更正を動力として経済成果を成し遂げ、北朝鮮には制裁がうまくいかないことを立証しようという呼び掛けだ。外には米国の圧迫に“軍事行動”で(直ちに)正面対抗することはしないが、たやすく譲歩することもないと一線を引いた。“長期戦”態勢だ。

金正恩朝鮮労働党委員長は10日に開かれた労働党中央委員会第7期4次全員会議で、壇上に一人で座り会議を主宰した。昨年4月20日に開かれた労働党7期3次全員会議の時、チェ・リョンヘ、パク・ポンジュら他の政治局常務委員と共に壇上に座った前例に照らせば、1年間で地位が強化されたという評価が出ている/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 金委員長は「最近進行された朝米首脳会談の基本趣旨とわが党の立場」を明らかにし、ハノイ会談の合意見送りにともなう制裁持続状況に対処する方針として「自立的民族経済」と「自力更正」を手段にした「社会主義建設」を提示した。ハノイ会談と関連した金委員長の見解と対応方針を北側メディアが公開したのは、労働新聞11日付1~2面に掲載されたこの会議の結果報道が初めてだ。労働新聞が伝えた金委員長の発言には、米国批判や軍事行動と関連した示唆は全くない。

 金委員長は、ハノイ会談以後初めてで1年ぶりの党中央委全員会議の招集理由を、「自力更正の旗じるしで自立的経済土台を強化し、社会主義建設に立ち向かう重要な問題を討議し決定すること」と提示した。会議報道に含まれた金委員長の関心事は、すべて“経済、経済、経済”だ。5119字(1026単語)からなる労働新聞の会議報道には、「自力更正」が28回登場する。「自立経済」が5回、「自立的民族経済」「人民経済」「経済事業」が各2回だ。その他に「経済的潜在力」 「経済建設目標」「経済力」 「経済」が各1回出てくる。要するに、今回の会議のキーワードは、金委員長が「自主的発展と繁栄の宝剣」と規定した「自力更正」だ。金委員長は「自力更正強化」を「全員会議の基本議題として提起した党中央の意図をはっきり認識」するよう会議参席者に繰り返し強調した。あわせて「国家の経済的潜在力を残らず発揚」させるとし、経済事業で実利・効率・節約を強化するよう指示した。

 金委員長は「自力更正と自立的民族経済」を「(1)ウリ式(北朝鮮独自の)社会主義存立の基礎(2)前進と発展の動力(3)革命の存亡を左右する永遠の生命線」と規定した。そのうえで「自力更正の旗じるし、社会主義強国建設」を「わが党の確固不動な政治路線」と再び明言した。

10日に開かれた労働党中央委員会第7期4次全員会議で、中央委員が手を挙げて議案への意思を表明している。写真最前列の右から順に、キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長、チェ・リョンヘ政治局常務委員兼党副委員長、パク・ポンジュ内閣首相/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 金委員長のこうした「自力更正」強調は、両面性を持つ。朝米交渉、南北関係と関連しては「軍事行動」に言及しておらず、正面衝突という最悪の状況を当面は憂慮しなくともよい肯定的側面がある。その反面、金委員長が「自力更正」と「自立経済」を強調しただけに、対外開放の余地が減るという否定的側面も見逃せない。北朝鮮事情に明るい元高位関係者は、「当面は軍事的リアクションがないだろうという意味なので一応は良かった」としながらも「依然として交渉の展望は不透明だ」と指摘した。実際、金委員長の自力更正強調は、それだけ制裁を意識する度合いが大きいという証拠なので、韓米両国の「制裁例外・緩和・解除カード」駆使次第で情勢の進路が変わる見通しだ。

イ・ジェフン、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/889651.html韓国語原文入力:2019-04-11 19:57
訳J.S

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