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重症小児の在宅治療、年齢制限ない不妊治療に健康保険適用

登録:2019-04-11 09:29 修正:2019-04-11 18:48
健康保険5カ年総合計画…保障性を強化 
重症小児・体が不自由な患者には 
医療スタッフによる直接訪問サービスを導入 
乳幼児の診療費負担を半分に下げる 
不妊、体外受精の保険適用回数も増やす 
高齢者外来定額制は対象を70歳に上方変更 
 
軽症は医院、重症は大型病院など 
「医療利用の効率化」医療界の協調が必須
磁気共鳴映像撮影(MRI)検査と超音波検査の健康保険適用計画//ハンギョレ新聞社

 政府が、患者の負担が非常に大きい磁気共鳴映像撮影(MRI)や超音波検査に対する健康保険適用範囲を拡大する案を盛り込んだ「文在寅(ムン・ジェイン)ケア」に加え、今後5年間に約6兆ウォン(6千億円)を投じて乳幼児・重症の小児および不妊治療の負担などを減らすことにした。今回初めて発表された健康保険総合計画は、国民健康保険法に従い健康保険の健全な運営に向けて5年ごとに樹立することになっている。

 10日、保健福祉部が公開した「第1次国民健康保険総合計画(2019~2023)」によると、2017年8月に文在寅大統領が発表した「健康保険の保障性強化計画」に加え、今年から乳幼児・不妊夫婦などに対する健康保険の適用範囲を拡大することにした。従来の保障性強化計画を「文在寅ケア」と呼ぶが、MRIや超音波など患者が100%負担する保険外診療に対する健康保険適用範囲を広げることにしていた。

 計画ではまず、今年から重症小児患者に対し、医師、看護師、物理治療士、作業治療士などからなる在宅医療チームが家庭を直接訪問し医療サービスを提供する試験事業を推進することにした。重症小児患者は継続して外来診療を受けたり、病院に頻繁に入院しなければならない場合が多いが、在宅医療チームの訪問診療はこのような困難を解決するのに役立つ。また、福祉部は今年1月から1歳未満の乳幼児が外来で治療を受ける時に払う金額を、病院の規模によって外来診療費の21~42%から5~20%に、36カ月未満の早産児については10%から5%に減らすことにした。不妊治療も年齢制限(満44歳)をなくし、体外受精や人工受精施術に対する健康保険適用回数も従来より2~3回追加される。

 MRI検査に対する健康保険適用範囲も広がる。来年には脊椎、2021年には筋肉・骨・関節などに、段階的に拡大する。超音波検査も来年は胸部や心臓、その後は筋肉、骨、関節、顔と首、血管など健康保険の適用項目が増える。死期が迫った患者が入院する病院の個室に健康保険適用を推進するなど、病室の医療保険適用も拡大される。上級総合病院や総合病院の2~3人部屋は健康保険が適用されるのに対し個室(1人部屋)は除外されているが、死期の迫った患者や感染症患者が隔離された個室に入院する場合、健康保険の適用が必要だというのが福祉部の判断だ。今は末期がん患者だけが滞在できるホスピス専門機関の個室に対してのみ、4日間健康保険が適用される。

 健康保険の保障性の強化と共に、医療利用の効率化対策も今回の計画に盛り込まれた。軽い疾患にも関わらず大型病院を訪ねたり、病院外のケアシステムが不十分なため入院が頻繁になるなどの医療費の無駄遣いを減らし、適正診療を受けさせるというものだ。まず、高血圧や糖尿のように常に管理しなければならない疾患の場合、大型病院よりは町の医院の掛かりつけの医者などの診療を受けるようにし、体の不自由な患者のための訪問医療を導入し、不要な入院も減らしていく方針だ。

10日午後、ソウル中区のポストタワーで健康保険政策審議委員会の主催で開かれた「第1回国民健康保険総合計画樹立に向けた公聴会」で、専門家パネルが統合討論を行っている//ハンギョレ新聞社

 あわせて、町の医院で診療を受けると、決まった金額だけを患者が出す「高齢者外来定額制」適用対象を現在の65歳以上から70歳以上に引き上げることにした。現在65歳以上の診療費総額が1万5千ウォン(約1500円)以下なら1500ウォン(約150円)、1万5千ウォン超~2万ウォン(約2000円)以下なら診療費の10%、2万ウォン超~2万5千ウォン(2500円)以下なら20%、2万5千ウォンを超えると30%を患者が負担する。「私が作る福祉国家」のオ・ゴンホ運営委員長は「患者はどの程度具合が悪ければどの病院に行かなければならないのかよく分からない状況で、病院が規模と機能に関係なく競争し、過剰診療をしている」とし、「患者の医療利用システムを合理化する政策は非常に重要な問題」だと指摘した。

 今回の計画について、医療費軽減の核心である「保険適用外の全面保険適用化」が後退したという批判が出ている。保健医療団体連合のウ・ソッキュン政策委員長は「文在寅ケアの核心政策である『保険適用外の全面保険適用』が今回明確に言及されなかった」とし、「保険適用外を残し続ければ、医療界はまた別の保険外を作っていくことになり、莫大な財源を健康保険に投入しても保障性が大きく高まらない限界がある」と指摘した。

 医療利用の効率化政策も、医療界の協力を求めることができるのかという問題がある。病院と医院の機能を区別し医療利用システムを合理化するとし、政府と医療供給者らが「医療伝達システム改善協議体」をつくり2016年から2018年まで14回にわたって会議をしたが、昨年初めに何の成果もなく活動を終え、大韓医師協会は診療報酬の引き上げを主張し政府との対話を中断している。

キム・ヤンジュン医療専門記者、パク・ヒョンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/889545.html韓国語原文入力:2019-04-10 20:01
訳M.C

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