最高検察庁真相調査団が見た「2009年恩恵調査」
故チャン・ジャヨン氏の文書に登場した「パン社長」
警察、朝鮮日報で35分間にわたり訪問調査
警察庁・ソウル警察庁担当記者が陪席
「調査内容の録音もした」という供述も
調査団、カン・ヒラク元庁長も調査
「朝鮮日報側が抗議した」との供述を確保か
朝鮮日報側「事件を把握するため陪席」
「いかなる圧力も行使しなかった」
「社長が2008年9月頃、朝鮮日報のパン社長という人とのキャバクラの接待に私を呼んで、パン社長が性的関係を要求するようにしました」
チャン・ジャヨン氏は2009年3月、このような文章を残してこの世を去った。チャン氏の死を調査した警察は当時、「朝鮮日報のパン社長」と関連し、パン・サンフン朝鮮日報社長を被疑者として取り調べた。警察署の調査室ではなく、「朝鮮日報」本社の会議室で行われた“訪問調査”だった。調査時間は35分にすぎなかった。当時も警察がマスコミ各社のオーナーに恩恵を与えたとの批判を受けたが、これ以上の“特別恩恵調査”があったという事実が最近、最高検察庁の過去事真相調査団の調査過程で確認された。
1日、ハンギョレの取材の結果、2009年4月23日に行われた警察のパン社長に対する訪問調査には、警察庁とソウル地方警察庁を担当する「朝鮮日報」記者2人が陪席したという。当時、チャン・ジャヨン事件の捜査チーム所属で、パン社長の取り調べに参加した警察は、ハンギョレとの電話インタビューで「大きな会議室で取り調べが行われた。記者2人が陪席した。(陪席した理由については)パン社長が老齢で、身の安全を守るためと言われた」と話した。彼は「しかし、会議室がかなり大きく、記者たちは遠く離れた席に座っていた。パン社長の供述過程に介入したり関与したりはしなかった」と答えた。取り調べに参加した他の警察は「陪席した記者2人が調査内容を録音した」と真相調査団に供述したという。
警察事件を取り上げた経験の多いある弁護士は「第三者は同席させないのが原則だ。ただし、未成年児童や障害があって意思表現が難しい場合や、心理的に不安定な性暴力被害者に限り、供述助力者(信頼関係者)が同席する」と話した。他の弁護士は「会社代表が取り調べを受ける際、実務担当者から報告を受けなければならない場合、正確な事実関係の確認のため同席することはある。しかし、会社代表個人の犯罪容疑について、社員が同席するという話は聞いたことがない」と話した。検察関係者も「被疑者が希望しても、調査過程で別の人が同席することはあり得ない。録音はなおさらだ」と述べた。
朝鮮日報をはじめ、ほとんどのマスコミ各社は、警察署に対する取材を総括するチーム長(キャップ)がソウル地方警察庁を、副チーム長(バイス)が警察庁を担当する。真相調査団は恩恵調査を受けるため、朝鮮日報側が警察に圧力を行使したのではないかと疑っている。真相調査団は、「パン社長の調査を行わなければならないのか」と朝鮮日報側が抗議したというカン・ヒラク元警察庁長官の供述を確保したという。チョ・ヒョノ元警察庁長官(当時京畿地方警察庁長)も昨年、ハンギョレなどのインタビューで、「朝鮮日報側の圧迫があって、ほとんど前例のない訪問調査をするように指示した」と述べた。
これについて、朝鮮日報側は「当時、事件の真実を把握しなければならないという内部主張があり、記者が同席したようだ。録音をしたかどうかは分からない」と釈明した。さらに「パン・サンフン社長はこの事件とは関係ない。捜査チームに外圧を行使した事実はない」とし、チョ元警察庁長官と関連報道を行った「MBC」(文化放送)の「PD手帳」などに対し、法的対応を取ったと明らかにした。真相調査団は「パン社長」がパン・サンフン社長ではなく、弟のパン・ヨンフン・コリアナホテル社長である可能性を念頭に置き、調査を進めているという。