堕胎女性と手術医師を処罰するよう定めた刑法条項が憲法に反するかをめぐり、憲法裁判所が24日に公開弁論を開いた。2012年8月、憲法裁判所が違憲定足数6人に至らない4対4意見で合憲を宣告してから6年ぶりだ。
憲法裁判所の結論は2~3カ月以内に下されると見られる。2012年には公開弁論から9カ月で合憲決定が下されたが、今回は裁判官9人のうちイ・ジンソン所長、キム・イス、カン・イルウォン、キム・チャンジョン、アン・チャンホ裁判官の5人が9月に一斉に退任するので、それ以前に結論が出されるという見方が多い。
憲法裁判所の判断が6年ぶりに変わる可能性も大きい。2012年の決定に参加した裁判官は全員退任した。現在の裁判官の多数も、国会人事聴聞会で堕胎罪の現行維持に否定的見解を明らかにした。「胎児の生命権保護と女性の自己決定権が調和しなければならない」として堕胎罪に手を入れる必要があると明らかにした裁判官が、違憲定足数の6人に達する。残りの裁判官3人も、関連質問がなかったり明らかな意志の公開を拒否している。公開的に合憲を主張した裁判官はいない。
結論が変わっても「堕胎全面許容」にはならないと見られる。堕胎罪に手を入れなければならないという裁判官も「堕胎の全面許容には反対する」や「胎児の生命権がまず保護されなければならない」という前提を忘れていない。
違憲審判の実際の争点も、堕胎罪が違憲かどうかよりは妊娠初期の12週以内の堕胎を許容するかどうかになる様相だ。この日の公開弁論で堕胎罪違憲憲法訴訟を出した請求人側も「堕胎罪の完全廃止は社会に及ぼす破壊力があまりに大きいのが事実なので、妊娠12週以内の堕胎を許容する限定違憲決定程度を期待する」と明らかにした。
2012年に違憲意見を出した裁判官も「堕胎全面許容」という意見ではなかった。当時、違憲意見を出した裁判官4人は「妊娠初期である1~12週までは制限的に堕胎を許容しなければならない」という立場だった。一方、当時合憲側に立った裁判官は「胎児の独自生存能力などを堕胎許容の判断基準とすることはできない」という意見だった。
この日の公開裁判でも同様な攻防が繰り広げられた。産婦人科医である請求人側は「胎児は生命権の主体になりえない」として「堕胎罪の処罰は女性の自己決定権、妊婦の健康権、母性を保護される権利、平等権などを侵害する」と主張した。また「妊娠初期の堕胎まで一律的に処罰し、母子保健法を通じて例外的に許容する堕胎の範囲も過度に狭いので過剰な禁止に当たる」と指摘した。
一方、法務部は「堕胎の急増を防ぐために処罰は避けられない。社会的・経済的理由による堕胎を許容すれば、事実上多くの堕胎を許容することになる」として反対した。
主審のチョ・ヨンホ裁判官と裁判長のイ・ジンソン憲法裁判所長から出てきた参考人審問でも、堕胎が許される胎児の発達段階などが議論された。参考人として立ったコ・ギョンシム人道主義実践医師協議会理事は「堕胎の非犯罪化を通じて安全な堕胎方法が導入されれば、医療関係者の教育・訓練が可能になるなど、女性の健康と母性を保護することができる」と主張した。チョン・ヒョンミ梨花女子大法学専門大学院教授は「堕胎の原則的禁止は、多くの法例があり違憲だとは見られない。ただし社会的・経済的理由がある時や、妊娠12週以内は堕胎許容など、許容限界の拡大が必要だ」と指摘した。