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[ニュース分析]専門性が最優先の“バランス改閣”…実質的成果が課題

登録:2019-03-09 06:15 修正:2019-03-09 07:19
文在寅政権の第2期内閣が完成 
文大統領、新長官候補7人を指名 
政権3年目迎えて能力中心の内閣作り 
文大統領と距離置くパク・ヨンソン議員や 
保守政党出身のチン・ヨン議員も起用 
総選挙を控えた与党に包容のメッセージも
左からパク・ヨンソン中企ベンチャー部長官候補、チン・ヨン行政安全部長官候補、キム・ヨンチョル統一部長官候補=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社
左からパク・ヤンウ文化体育観光部長官候補、チェ・ジョンホ国土交通部長官候補、チョ・ドンホ科学技術情報通信部長官候補、ムン・ソンヒョク海洋水産部長官候補=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日、新任長官候補7人を指名し、就任以来最大幅の内閣改造を断行した。現役議員としては、“正統文在寅系”ではない4選の共に民主党のチン・ヨン議員とパク・ヨンソン議員がそれぞれ行政安全部と中小ベンチャー企業部長官候補に名を連ねた。残りの5人は、キム・ヨンチョル統一部長官候補を含め、専門家や官僚出身が指名された。バランスと専門性が内閣改造のキーワードといえる。

 文大統領は同日、「統一部長官候補にキム・ヨンチョル統一研究院長、行政安全部長官候補にチン・ヨン議員、中小ベンチャー企業部長官候補にパク・ヨンソン議員を指名するなど、7つの省庁で内閣改造を断行した」と、キム・ウィギョム大統領府報道官が発表した。科学技術情報通信部長官候補にはチョ・ドンホ韓国科学技術院(KAIST)電気電子工学部教授、文化体育観光部長官候補にはパク・ヤンウ中央大学芸術大学院芸術経営学科教授、国土交通部と海洋水産部長官候補にはチェ・ジョンホ元全羅北道政務副知事とムン・ソンヒョク世界海事大学教授が指名された。文体部長官候補に有力視されていたウ・サンホ共に民主党議員は、終盤の検証過程で除外された。今回の内閣改造は昨年8月、ユ・ウネ社会副首相兼教育部長官とチョン・ギョンドゥ国防部長官など5省庁の新任長官を任命してから7カ月ぶりのことで、文在寅政権発足以来、最大の規模だ。文大統領は最近、二度の内閣改造で合わせて長官12人を入れ替え、政権第2期の内閣の陣営を整えた。

 執権3年目を迎える文大統領は今回の内閣改造で、専門性を最優先にし、確実な成果を収めるという意志を示したものと見られる。チン・ヨン議員とパク・ヨンソン議員を除く5人は、いずれも該当分野で長く経験を積んできた学者または官僚出身だ。キム・ヨンチョル統一部長官候補者は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2004年から2年間、チョン・ドンヨン統一部長官(当時)の政策補佐官を務めており、その後、共に民主党の外交安保統一諮問委員として活動した北朝鮮専門家だ。彼は著書『70年の対話』で、「鏡の前で笑うと、鏡の中の相手も笑い、拳を握ると、相手も拳を握る」として、南北関係で対話と疎通を強調した。 チョ・ドンホ科学技術情報通信部長官候補とムン・ソンヒョク海洋水産部長官候補は教授出身で、パク・ヤンウ文化体育部長官候補とチェ・ジョンホ国土部長官候補は、当該省庁で次官を務めた。キム・ウィギョム報道官は「文在寅政権の後半を迎え、国民が体感する成果を出すことが最も重要だ」とし、「このため、能力が検証された人物を抜擢した」と述べた。

 バランスも今回の内閣改造の重要な背景だ。チン・ヨン候補やパク・ヨンソン候補は“正統親文(文在寅派)”と呼ばれる人物ではない。チン候補は2016年の総選挙を控え、キム・ジョンイン民主党非常対策委員長がセヌリ党(自由韓国党の前身)から迎え入れた。パク候補者は、2017年の民主党大統領選党内選挙の際、アン・ヒジョン前忠清南道知事陣営で活動した。特に、チン候補は先月中旬までは候補群に含まれていなかったが、バランスに重きを置いた大統領府が長官職を提案したという。大統領選挙の際、選挙対策委員会のスポークスマンを務めたユ・ウネ副首相とチン・ソンミ女性家族部長官らが同時入閣し、「親政の強化」と評価された昨年8月の内閣改造と対比をなしている。大統領府関係者は「長官起用の幅を広げ、(来年4月の総選挙を控えた党に)包容・公平のメッセージを送る意味がある」と述べた。

 内閣改造を通じて、与党は総選挙に向けた整備に本格的に乗り出した。国会議員を兼ねていたキム・ブギョム行政安全部長官やキム・ヒョンミ国土部長官、キム・ヨンチュン海洋水産部長官、ト・ジョンファン文体部長官は、後任者が人事聴聞会を経て任命されれば、党に復帰して総選挙に備える。議員ではないが、ユ・ヨンミン科学技術部長官やホン・ジョンハク中企部長官、チョ・ミョンギュン統一部長官も、出馬が取りざたされている。イ・ヘチャン共に民主党代表は前日、イム・ジョンソク前大統領秘書室長やユン・ヨンチャン前国民疎通首席、ハン・ビョンド前政務首など総選挙への出馬を準備する大統領府第1期参謀陣と夕食を共にしながら、彼らの役割について話し合った。

 保守野党は今回の内閣改造を批判した。自由韓国党のチョン・ヒギョン報道官は「安保・経済・民生の破綻に対する考慮が全くないうえ、左派独裁に向けたレールを敷くことに没頭した痕跡が見えるだけ」だと述べた。正しい未来党も「総選挙への出馬を希望する現職長官と、長官という経歴を希望する人たちによるバトンタッチに過ぎない」と酷評した。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/885200.html韓国語原文入力:2019-03-08 21:43
訳H.J

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