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[ニュース分析]安倍首相、韓日の軋轢を“ニューノーマル”にして新たな構図作り?

登録:2019-01-25 05:59 修正:2019-01-25 19:27
両国の軋轢深める日本の狙いとは 
 
1965年以来類を見ない軍事対立 
日本、第2次世界大戦以降最大の防衛費編成 
韓国との対立深めることで“再武装”を加速化 
 
トランプ大統領が朝米交渉に力入れる間 
日本は中露と和解…韓国とは対立
国防部が24日午後、日本海上自衛隊所属のP-3哨戒機が、韓国海軍駆逐艦の大祚栄艦の近隣で超低高度威嚇飛行をした写真を公開した。日本の哨戒機が大祚栄艦から方位距離140度540メートル離れたところで低高度飛行をしている=国防部提供//ハンギョレ新聞社

 日本の海上哨戒機が、韓国の艦艇に向かってこの1週間で3回も威嚇飛行をしたのは、韓日関係において異例の事態だ。米国の東アジア同盟構造に縛られていた韓日間に、“軍事的対立”がこのように公開的に高まったのは、韓日基本条約が締結された1965年以来、類を見ない事態だ。レーダー照射をめぐる対立から哨戒機の威嚇飛行まで、安倍晋三首相率いる日本政府の意図に注目が集まるのも、そのためだ。

 まずは、最高裁判所の強制徴用賠償判決後、韓国に対する日本内部の不満を結集させ、韓国政府に対策の提示を強く圧迫するためと見られる。韓国の強制徴用被害者らが新日鉄住金の国内資産の差し押さえに着手したことを受け、日本政府は9日、韓日請求権協定の紛争解決手続きに定められた政府間協議を要求し、韓国政府に「30日以内の返答」を要請した。

 さらに視野を広げて、安倍政権の長期的な戦略の再調整という大きな変化が背景にあると指摘する専門家も多い。安倍政府をはじめとする日本の保守勢力は、中国の浮上と北朝鮮の脅威を口実に、日本の再武装化と日米同盟の強化を進めてきた。しかし、ドナルド・トランプ政権が朝米交渉に集中し、韓日米軍事協力に対する関心が低くなったことで、安倍政府は昨年から中露との和解に努める一方、韓国との対立を利用しようとする方向に動いているという分析だ。最近の韓日の軋轢が短期間に解決することが難しいことから、韓日の軋轢が“ニューノーマル”になる懸念が高まっているのも、そのためだ。

日本の海上哨戒機の23日の飛行図(資料:国防部)//ハンギョレ新聞社

 聖公会大学のヤン・ギホ教授は「日本の右派は、中国の牽制と北朝鮮という敵を利用し、冷戦的状況を維持するのが有利だと思っていたが、構造が変わっている」とし、「韓国と日本が戦略的利益を共有するのが容易ではない転換期を迎えており、韓日の軋轢がニューノーマル状態になる兆しを見せている」と話した。

 日本政府の今年の防衛費予算案は5兆2574億円で、第2次世界大戦以来、過去最高となる。第5世代ステルス戦闘機であるF35やイージス・アショア(弾道ミサイル迎撃システム)のような高価な米国産装備の購入に巨額の予算を使うことに対し、日本国内でも批判が高まっており、防衛予算の持続的な増加のためには“周辺国の脅威”を強調する必要がある。

 こうした状況で韓国政府は過去の歴史をめぐる対立と経済・文化などを分離し、“ツートラック”で対応するという原則を強調しているが、日本がこれに応じず、明確な解決策を見出せずにいる。ヤン・ギホ教授は「政府は韓日関係を放置せず、日本政府と引き続き協議していくべきだが、哨戒機の威嚇飛行問題については断固として対応すべきだ」とし、守勢的な対応がむしろ日本の継続的な挑発につながりかねないと指摘した。

 朝鮮半島平和プロセスにおける韓日協力の空間を拡大し、解決策を見出さなければならないという提案もある。ソウル大学のナム・ギジョン教授は「朝鮮半島平和プロセスから日本を排除するのは現実性がない」としたうえで、「北東アジアの新たな安保秩序と非核地帯化問題において、日本との接点を見出さなければならない」と指摘した。安倍政府の政策を憂慮する日本市民と協力の空間を作り、朝鮮半島平和プロセスを揺さぶろうとする日米同盟派を弱めるため、長期的な戦略が必要だということだ。

パク・ミンヒ記者、東京/チョ・ギウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/879815.html韓国語原文入力:2019-01-24 21:18
訳H.J

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