ソ・ジヒョン検事に対しセクハラ(わいせつ行為)を行い、その事実が知られるのを防ぐため、ソ検事を地方へ左遷した容疑で裁判に引き渡されたアン・テグン元法務部検察局長(検事長)が、1審で実刑を言い渡され法廷拘束された。
ソウル中央地裁刑事1単独のイ・サンジュ部長判事は23日、職権乱用・権利行使妨害の容疑で起訴されたアン元検事長に懲役2年の実刑を言い渡した。イ部長判事は「被告は自身の不正を隠すため検察の人事権を行使する検察局長の地位を利用し、被害者に不当な人事的不利益まで与えた。そのために被害者は癒しがたい傷を負った」と、量刑理由を述べた。また「人事権を私物化し濫用することで、公正な検察権の土台である検察人事が正しく行われるだろうという国民と検察構成員の期待を裏切った。厳しい処罰が必要だ」と説明した。懲役2年は検察の求刑をそのまま受け入れたものだ。
イ部長判事は、容疑事実には特に該当しないが、この事件の直接的発端となったセクハラが実際にあり、「泥酔して記憶がない」という主張とは違い、アン元検事長も自分がソ検事にセクハラを働いた事実をすでに知っていたと判断した。イ部長判事は「セクハラがあったという葬儀場に出席した別の検事らの供述を総合すると、強制わいせつ行為の事実を認めることができる」とし、「被告は自分のセクハラ問題が浮き彫りになると、役職管理に支障が出ることを懸念した。ソ検事に人事的不利益を与える動機は十分だった」と明らかにした。さらに「被告は統営(トンヨン)支庁への発令理由として、ソ検事に対する否定的な世評を挙げているが、当時の人事に関する公式の世評資料は存在しなかった。逆に長官表彰など肯定的な人事要因は酌量しなかった」と判断した。
これに先立ち、ソ検事は昨年1月、アン元検事長が法務部政策企画団長を務めていた2010年、ある葬儀場で自分にセクハラを行ったと暴露した。捜査に着手した検察は、2015年に検察の人事を担う要職である法務部検察局長に就任したアン元検事長が、ソ検事を昌原(チャンウォン)地検統営支庁に転任させる人事案を作成させた容疑で起訴した。セクハラの事実が明るみになるのを防ぐために地方に飛ばしたということだ。
イ部長判事はこの日の判決で、2010年当時法務部検察局長だったチェ・ギョイル現自由韓国党議員が、セクハラの真相調査を阻止しようとしたという趣旨の判断も下した。イ部長判事は「当時、真相調査を阻止しようとした点が認められるが、(チェ・ギョイル議員は)証人出廷に応じず、(セクハラの事実を知らなかったとして)ソ検事の供述に反論するだけだった」と明らかにした。
懲役2年の判決後、アン元検事長は「昨年1月、検察の内部ネットワークを通じて暴露されるまでソ検事の名前も聞いたことがない。自分としてはこのような判決が言い渡されるとは思わなかった。控訴審で再び争う」と明らかにした。ソ検事を代理したソ・ギホ弁護士は判決後、「最近、職権乱用関連の無罪判決が多く出ていたが、(裁判所が)有罪判決を下し、法廷拘束までしたことには大きな意味がある。この判決をきっかけに、被害者がMeTooの告発を悩んだり、ためらったりしないようになれば」と話した。