「#ミートゥー(MeToo)」の熱風の震源地となった「検察内性暴力」に対する検察の調査が、被害者に対する非難など「2次加害」にまで拡大される見通しだ。国家人権委員会(人権委)の職権調査も本格化している。
アン・テグン元法務部検察局長のセクハラと人事報復を暴露したソ・ジヒョン昌原(チャンウォン)地検統営支庁検事は最近、現職の部長検事の書き込みで「2次被害」に遭ったとし、「セクハラ事件真相究明および被害回復調査団」(団長チョ・ヒジン)に名誉毀損の疑いの捜査を要請したことが11日、明らかになった。
ソウルのある検察庁所属のK部長検事は、ソ検事がセクハラ疑惑を証言した後の1月31日、検察内部のネットワーク「イプロス」に「セクハラ問題と人事問題を結びつけるな」という内容の書き込みを掲載したという。特にK部長検事はイプロスに書き込みを残す前に、自分のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では「被害者コスプレ(被害者のふり)」などの単語を使い、ソ検事が人事上の特典のために暴露に出たという趣旨で文を書いた後に消したという。ソ検事側はこの文のコピーを調査団に証拠資料として提出した。
ソ検事は昨年9月、アン元局長事件と関連して、自分と面談した法務部幹部のN氏からも「2次被害」に遭ったとし、調査団に捜査を要請した状態だ。ソ検事側は「N氏が面談後、上部に『ソ検事は真相調査を要求せず、人事だけを要請した』という内容で虚偽の報告をし、検察内に間違った偏見が広がった」と主張している。調査団はK部長検事とN氏に対する調査に着手するかどうかを検討しているという。
先月2日、検察内性暴力に対する職権調査に乗り出すと明らかにした人権委は、これまで元・現職の検事らを調査対象者に指定して出席を通知し、一部の対象者はすでに調査を終えたという。被害者の中には、検事と捜査官など検察職員だけでなく、検察外部の人も含まれているという。
ただ、“強制性”のない人権委の職権調査の特性上、有効な結果を出すためには「検察の協力」が必要だという声もあがっている。現行法上、人権委は調査対象者が出席しなくても過料賦課の他はこれといった措置を取ることができない。人権委関係者は「現在、検察に懲戒記録を要請しているが、まだもらえていない状況だ。続けて協力を要請し、可能な限り早期に懲戒記録を確認する」と話した。