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職場内暴力、これからは法で防ぐ…パワハラ防止法が可決

登録:2019-01-02 09:23 修正:2019-01-02 14:17
職場内でのいじめ、法的概念を初めて導入 
申告者・被害者を不利益処分すれば処罰 
特殊雇用や労働者4人未満の事業所は排除という限界
昨年12月、ソウル麻浦区のあるコーヒーショップに職場パワハラ被害者20人が集まった。彼らは紙袋で作った仮面をかぶり各自の経験とノウハウを共有した=職場パワハラ119提供//ハンギョレ新聞社

 「妹のように思っているから言うけど、彼氏と会うときは必ずコンドームを使えよ」

 先日、会社員のAさんが会社の役員から聞いた言葉だ。この役員はAさんに日常的にセクハラをし、書類を投げるなどの暴行を加えた。Aさんの問題提起にもかかわらず、会社は何の処置も講じなかった。Aさんは、当役員を暴行で告訴した後も彼と一緒に仕事をし、報復的なパワハラを受けなければならなかった。

 ついに会社の退職する圧力まで受けることになったAさんは「改善の意志のない加害者と会社を許すことはできない。憤りが込み上げ、一日一日があまりにもつらい」と精神的ストレスを訴えた。これまでは職場内でのいじめ被害者を救済できる法がなく、「暴行訴え」のほかにはできる措置がほとんどなかったが、これからは変わる見通しだ。

 27日、これまで法制司法委員会で眠っていたいわゆる「職場内いじめ防止法」である労働基準法改正案が国会本会議を通過した。今回改正された労働基準法は、職場内でのいじめを「職場での地位または関係などの優位を用いて業務上の適正範囲を超えてほかの労働者に身体的、精神的苦痛を与えたり、勤務環境を悪化させる行為」と規定し、被害者を保護する内容を盛り込んだ。しかし、保護措置のほか処罰規定は設けておらず、限界として指摘されている。

 改正された内容によると、使用者は職場内のいじめが発生した場合、事実確認調査を必ずしなければならず、勤務場所の変更や配置転換などの方法で加害者と被害者を分離しなければならない。使用者が被害労働者に有給休暇を命令するなど適切な措置をとるようにした。また、使用者は申告者や被害労働者に解雇など不利な処遇をすれば、3年以下の懲役や3千万ウォン以下の罰金を課せられる。Aさんの事例のように、職場内のいじめ被害者が加害者と同じ空間で働きながら発生しうる2次被害を防ぐためだ。

 この日国会は、職場内のいじめ被害者が精神的なストレスによる疾病にかかると、これを労働災害と認定する労働災害補償保険法も一緒に可決した。これまでは労働者が職場内のいじめのためにうつ病や急性ストレス障害などに悩まされても、法的根拠がなく業務上の疾病として認められなかった。職場内のいじめによって生じた精神疾患の治療費まで労働者が負担しなければならず、二重三重の被害が生じた。

 今回の法改正は「職場内いじめ」に対する法律的定義を設けた最初の試みとして意味が大きい。「職場パワハラ119」のチェ・ヘイン常任労務士は「これまでは職場内で暴言・人格冒とくなどいじめに遭って相談を要請した被害者に『関連法がないため警察に暴行で訴えても認められるのが難しい』という返答を聞かせるしかなかった」とし、「職場内いじめを初めて法的に規定したという点で、パワハラから労働者を保護する最小限の規則を設けた」と評価した。

 処罰規定がなく保護範囲が狭く、実効性の面で限界が少なくないという指摘も出ている。キム・ドンヒョン弁護士(公益人権弁護士会「希望を作る法」)は「労働基準法で職場内いじめを規定しているため、労働基準法の適用を受けられない4人未満の事業所の労働者や特殊雇用労働者は排除されている。また、使用者が被害労働者に不利益な対処をした場合を除いては、法に違反しても処罰できないという点も限界だ」と説明した。

イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/876092.html韓国語原文入力:2018-12-28 08:27
訳M.C(1678字)

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