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[インタビュー]「パワハラ告発の“職場人オンラインの会”が続々…労働運動の希望」

登録:2018-06-20 02:40 修正:2018-06-20 02:45
職場パワハラ119のパク・チョムギュ活動家

 「職場パワハラ119」という民間公益団体がある。 昨年11月1日のスタート直後に看護師らの強要されたダンス労役を暴露した。 反響は大きかった。 1カ月後の12月1日、看護師たちは組合員2千人を越える労組(翰林(ハンリム)大医療院)を立ち上げた。 これまで一日平均66件の情報提供が団体の匿名グループチャットやEメールで受付けられたそうだ。計1万2千件を越える。 初めの二カ月は日曜日も相談を受け付けたが「あまりに大変で」今年からは日曜は休んでいる。 この団体の活動家であるパク・チョムギュ(47)「非正規職のいない世の中を作る会」執行委員に、去る11日ソウル西大門(ソデムン)駅近くの事務室で会った。

 彼は1998年から2011年まで民主労総と金属労組で仕事をした。「労働現場に飛び込もうと準備していたんですが、はからずも民主労総の専従になりました」。産別労組を築き上げようと考えていた夢が遠ざかり、労働の両極化が激しくなる現実を見ながら、7年前金属労組を出て非正規職支援団体の活動家の人生を歩んでいる。

 「職場パワハラ119」という団体名も彼が付けたものだ。 なぜ「労働」の代わりに「職場」なのか? 

 「あのろうそく集会の時、4カ月以上光化門(クァンファムン)のキャンプ村にいました。その時 非正規労働者から『パク・クネが退陣すれば私の暮らしが変わるのか』という質問をたくさん受けました。 この問題で6カ月間討論もしました。 始めは『誰でも労組が必要だ』という名の社会的機構を作ろうとしました。 でも、非正規職には労組はとても遠い存在です。 彼らに『労組を作りなさい』と言うことはできませんでした。 労組は(活動の)結果でなければならなかったんです。『もう少し降りて行こう』と考えました」。その結果が「職場」だ。 誰でも簡単に訪ねてきて法律的助力を得ることのできる空間を考えたのだ。 信頼度を高めるために、専門家の参加が必須だと見た。「現在、弁護士・労務士など専門家100人余りがそれぞれ週に二時間ほどグループチャットを見守り相談を受けています。 必要な場合はEメールで連絡をとったり直接会ったりもします」。

 最も大きな成果は?

 「オンラインの会が5つもできました。翰林大医療院の看護師をはじめ、保育園教師、中小の病院の看護師、安山(アンサン)の半月(パヌォル)工業団地の労働者、放送作家が、別にオンラインのグループを作ったのです」。 彼は、このような集まりが労組への飛び石になることができると答えた。「5つのオンライングループは、実名で加入します。 責任性や対話の密度が高いです。 労組結成の話もたくさん出ます。 実際、保育園のグループチャットの教師500人のうち100人は労組に加入しました」。

去年11月のスタート以後、日に66件の情報提供
一カ月目に2千人以上の労組が誕生
実名のオンライングループが5つ「最大の成果」

「オンライン空間が“労組への飛び石”
最大の壁は労働部勤労監督官
専門担当労務士確保のために後援を」

 彼は、今の活動の中に労働運動の新しい可能性を見るとも語った。

 「IMF危機以後、非正規職が増えて職場のパワハラ文化がひどくなりました。 昨年のろうそく集会が『私たちの職場も変えなければならない』というそんな勇気を出させてくれました。 あちこちで不当さを訴えるオンライン空間が生まれています。 全羅北道にも『職場パワハラ119』ができたし、全国に散らばっているベーカリー職員もグループチャットを作りました」。

彼は労働者が集まるオンライン空間の意味をこのように説明した。「職場で受けたパワハラ被害に共感し合い、学校で学ぶことが出来なかった労働法も教えてくれる所です。80年代に偽装就職して解雇された労働者らが作った労働相談所のような所と言えるでしょう」。

 労働運動家の反応は?

 「民主労総では、私たちの団体が労組のない労働者の声を代弁すると見ています。 労組との距離を狭めてくれると考えています。 平素現代車労組の記事にコメントをつけ罵倒している人たちも、私たちの活動を見て『大企業労組が誤っている部分はあるけれども、それでも労組は重要だ』と言いますから」。

 活動の最大の壁は?

 「労働部勤労監督官です。 彼らが態度を少し変えるだけで、情報提供の半分は解決できます。 特に中小企業の場合は勤労監督官の力が大きいです。 しかし賃金を踏み倒されて訪ねて行けば、たいがい企業主と和解しろと勧めます。 非人間的な対応もします」。 これまで積もった情報提供を見れば、一番多いのは未払いなど賃金関連(25%)で、2位は業務外指示(15%)、3位は職場内のいじめ(14%)だという。 「労働部が2位と3位のパワハラを処罰した前例がありません。 処罰の根拠が勤労基準法にあるにも拘らずです」。

 彼を含め「非正規職のいない世の中を作る会」の3人の専従者はみな「職場のパワハラとの戦い」にかかりきりだという。「できれば専門担当労務士を3人迎えたいのですが、そのためには毎月750万ウォンの後援金が必要です。 これまで200人余りの方が後援を約束され、3分の1程度は集めました。 後援者が増えたらいいと思います」。

「非正規職のいない世の中を作る会」は執行委員10人を置くネットワーク形式の団体だ。2008年キリュン電子の非正規職解雇労働者の闘いの過程で生まれた。「非正規職解雇者問題は一企業内で解決することは難しいという問題意識の中で誕生しました」。 2011年当時キム・ジンスク民主労総指導委員の高空籠城の時に始まり今でも続いている「希望バス」闘争が、外でもないこの団体の企画だ。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の労働政策は?

 「文在寅政権はろうそくの力で立てられました。 政府が韓国社会の不平等を非常に破格な方式で変えていくべきだと考えた理由です。 最近の姿を見れば、最低賃金1万ウォン・公共部門非正規職ゼロなどの公約がスローガンに過ぎなかったという気がします。 政府が最も低いところに置かれた労働者の権利を向上させるかどうかについて、疑問を持っています」。 それでこのような結論に到達したという。「政権が労働者に権利を与えるのではありません。 労働者自ら、力を合わせなければなりません。 オンラインで職業別・職種別の労組を作ることができます。 直接秘密無記名投票で代表を選んで事務室を作ればいいのです」。 (後援口座:農協010-119-119-1199職場パワハラ119)

文・写真:カン・ソンマン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2018-06-14 19:28

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/849129.html 訳A.K