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日本産を追い出した“韓国産イチゴ”…“イチゴ韓流”狙う

登録:2018-12-05 22:53 修正:2018-12-06 07:48
農業振興庁、イチゴの選別・包装技術開発し農家に普及
江原道華川で秋イチゴの栽培が農閑期の高所得作物として期待を集めている。写真は看東面龍湖里のイチゴハウスの秋イチゴ=華川郡提供//ハンギョレ新聞社

 東南アジア一帯に対する国産品種のイチゴ輸出が増加している。日本品種が蚕食した国内イチゴ品種を、わずか10年で国産品種(普及率95%)に変えて得た成果だ。だが、国外に運送する過程でイチゴが柔らかくなるなどの問題で輸出農家が困難を抱えている。これに対し農村振興庁は、輸出農家の悩みを減らす栽培および包装の技術を開発した。

 5日、農村振興庁の説明によれば、国産品種のイチゴ輸出量が2013年の3116トンから2016年には4125トンに増加した。主な輸出対象国は、香港、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナムの東南アジア5カ国であり、最近は対インドネシア輸出も増えている。国産品種イチゴの輸出増加は、日本品種が蚕食した国内イチゴ栽培農家に対し国産品種の普及を拡大した効果だ。国産イチゴの普及率は、2005年の9.2%から2009年には56.4%で半分を超えた後、現在は95.2%まで到達した。

 しかし、輸出の過程でイチゴが柔らかくなるなどの問題により輸出拡大に障害があった。輸出用イチゴは、完全に熟してから獲る内需用とは異なり、春季には50~70%、冬季には80~90%熟した時に収穫する。このように収穫したイチゴは、流通過程で色は赤く変わるが糖度は低下するという問題が発生した。

 農業振興庁は、輸出農家支援のための研究を進めた。イチゴが柔らかくなるなど輸出流通過程上の問題だけでなく、生育環境の制御、冬季暖房費の削減、イチゴ選別の機械化も共に研究し、生育環境の最適化技術からエネルギー節減、輸出用イチゴの選別と包装技術まで開発した。

 今回開発した輸出用イチゴ選別機は、イチゴの形と色を分析し輸出にふさわしいイチゴだけ選び出す。デジタルカメラで着色度と形を確認し、利用者が入力した選別基準により等級を付け、季節別に輸出に適合したイチゴを自動選別する方式だ。この選別機を導入すれば、時間当り1万800個を90%以上の正確さで選別できる。

農村振興庁が開発した輸出用イチゴの包装技術。酸素濃度と二酸化炭素濃度を調節し新鮮度を維持する技術だ=農業振興庁提供//ハンギョレ新聞社

 輸出用イチゴ包装技術である「ペレットMA包装技術」も開発した。この技術は、包装内部に2~6%の酸素濃度と15~20%の二酸化炭素濃度を維持し、イチゴの色変化と糖度減少を遅らせ、柔らかくなったりかびの発生を抑制する効果がある。水分透過度が高いポリアミド(PA)フィルムと弾力性に優れる低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムを利用した包装材を作った。今年4~5月、対インドネシア輸出の際にこの包装技術を適用した結果、柔らかくなったりかびの発生を抑えられる効果を確認した。また、輸出用イチゴが60度以上の高温に露出すれば色が変わるステッカーも開発し付着した。

 同時に各種センサーと装置を活用して、輸出用イチゴの生育に最適な光、温度、湿度、二酸化炭素、養液供給を調節する生育環境最適化技術も開発した。輸出用イチゴの生産履歴管理、農産物の移動経路まで記録して、消費者の信頼を得られる流通システムも適用した。

 暖房費削減のための「地表面局所暖房技術」も導入した。温室全体を暖房せずにイチゴが温度を敏感に感じる冠部だけに配管を設置し、20度の温水を流す部分暖房技術だ。この技術を適用した結果、これまで8度に維持していた温室を4度まで下げることができ、暖房用燃料の使用が30%減少した。

 ソン・ジェフン農業振興庁国立農業科学院収穫後管理工学科長は「今回の技術開発でイチゴ輸出農家の所得拡大が期待できる」と話した。

イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/873118.html韓国語原文入力:2018-12-05 20:00
訳J.S

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