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「客が間違えて注文したピザ代を弁償」…ピザハットのコールセンターバイトの涙

登録:2018-12-03 09:55 修正:2018-12-03 12:22
ピザの注文ミスすると給料から削減して支給 
会社側の「警戒心を与えるために…毎回ではない」 
専門家「労働基準法違反の素地が大きい」
グラフィック_チョン・ヒヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「ご注文のピザは『ダブルフォンデュシュリンプピザ』でよろしいですか?」

 先月10日、ピザハットのコールセンターであるA社で働いていたKさん(20)は、客の注文をもう一度確かめた。「そうだ」という答えを聞いてから注文プログラムに入力した。しかし、しばらくして客から抗議を受けた。客が注文したピザは「ダブルフォンデュシュリンプピザ」ではなく、「ダブルフォンデュシュリンプ&ビーフキングピザ」だという主張だった。メニューの名前が似ていることから起きた“ハプニング”だが、Kさんは笑えなかった。会社がKさんに間違って注文されたピザ代の半分を弁償するよう言ったからだ。Kさんは「お客さまにメニューを再度確認して注文を入れたが、会社側は私が最初にきちんと聞かなかったのが問題だとして、月給からお金を差し引いた」と話した。1カ月平均60万ウォン(約6万円)を稼ぐK氏は、11カ月間にわたりコールセンターで働きながら、こうした理由で14万ウォン(約1万4千円)ほどを抜かれた。同じ会社で働いていたJさん(20)もやはり、1年間で20万ウォン(約2万円)ほどを同じ理由で受け取れなかった。こうした「ペナルティ」はピザハットのコールセンターにだけ適用されているものではない。ドミノピザコールセンターで働いていたKさん(23)も「スタッフが注文ミスをすると誤った食事代の50%ほどを払わなければならなかった」と話した。

 ピザハットやドミノピザなど約70社のコールセンター業務を委託運営中の業者が、注文ミスで発生した損害をアルバイト生の月給から抜いており、議論を呼んでいる。企業は注文ミスによる損害を各加盟店に支払わなければならないためだと釈明したが、専門家らは労働基準法違反だと指摘する。

 A社などの言葉を総合すると、この業者は職員の大半をアルバイトで雇った後、決まった日当と注文電話1件当たり400ウォンで計算された日当のうち、さらに多くの金額を給与として支給してきた。アルバイト生が成果手当を多く受け取るため注文を急いで受け付けて事故が多くなり、“警戒心”を与えるためにこうした「ペナルティ」を適用したという。同社関係者は「注文ミスが生じればコールセンターから各加盟店に損失費用を払わなければならない」とし「注文ミスを減らすためだけであり、従業員に払わせるのは一部だ。損失費用のほとんどは会社で処理する」と明らかにした。さらに「通話録音をかけて職員の過失が確実な場合にのみ手当を削減する。毎回削減するわけでもなく、警戒心を与えるために時々責任を問うこと」とし「多くても1カ月に2万ウォン(約2千円)水準」だと付け加えた。

 しかし、注文ミスの損失費用をアルバイト生に支払わせる根拠は明確でない。入社前の教育で「注文を不注意に受けてはならない」という教育をするが、賃金削減に関しては社規や内規が存在しない。A社はハンギョレが取材を始めると、当該指針を廃棄した。

 専門家らは、任意で職員の賃金を削減する行為が労働基準法違反の可能性が高いと指摘する。ウォンゴク法律事務所のチェ・ジョンギュ弁護士は「別途の損害賠償請求なしに賃金を削減するのは、賃金全額を支払わなければならないという労働基準法の原則に違反する」と述べた。労働基準法には賃金「全額」を通貨で支払うことになっているが、適法な手続きや同意なしに会社が損失を任意に計算し賃金を削減して支払うのは法違反だという説明だ。「アルバイト連帯」の関係者は、「注文ミスの費用をアルバイトに支払わせる事例は初めて聞く」とし、「たとえ職員がミスをしたとしても、故意性があったり重大な過失でなければ原則的に会社が損失を賠償するのが正しい」と述べた。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/872655.html韓国語原文入力:2018-12-02 21:47
訳M.C

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