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チョン元統一部長官「米国は『リビア方式』に回帰している...中ロ日と協調すべき」

登録:2018-11-16 10:42 修正:2018-11-16 12:42
「米、ICBM・未来核凍結レベルで縫合すれば 
文在寅政府に致命傷…非常対策を立てるべき」 
「NYT、1998年にも『別途の核活動』主張 
トランプがすぐ「偽ニュース」と規定して幸い」
チョン・セヒョン元統一部長官=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 チョン・セヒョン元統一部長官が、米国の対北朝鮮非核化政策が「リビア方式」に回帰しているとし「中国・ロシア・日本と協力体制を構築し、米国と北朝鮮を動かさなければならない」と文在寅(ムン・ジェイン)政府に提案した。

 チョン元長官は15日、国会で開かれた共に民主党の朝鮮半島非核化対策特別委員会の創立会議の基調講演で、豊渓里(プンゲリ)核実験場の破壊、東倉里(トンチャンリ)試験場の解体などの北朝鮮の相応措置に全く反応していないトランプ政府に憂慮を示した。チョン元長官は「(朝米)シンガポール合意以後、北朝鮮は一貫して米国を信じて非核化のための先制措置を取った」とし、「米国は相応措置に対しては黙々として答えず、核申告と査察ばかりを要求している」と批判した。チョン元長官は「朝米首脳会談後、トランプ大統領が自ら扱うと言った終戦宣言を、最近ハリス新駐韓大使が『終戦宣言は最後に行うもの』と言っている」とし、「米国の実務官僚によって北朝鮮の先行動を要求したこの25年間の因習に回帰している」と指摘した。

 今月8日にニューヨークで開催予定だった金英哲(キム・ヨンチョル)-ポンペオ会談が失敗に終わったのも、米国のこうした態度のためだと分析した。チョン元長官は「その日の北朝鮮の動きを鋭意注視しながら見たところ、7日に北京から(午後)1時に発つニューヨーク行きの飛行機を予約してはキャンセルし、(午後)11時30分に移してから再びキャンセルした」とし、「水面下で会談を続けたものと思われる。相応措置の初歩的な段階でもやってくれるだろうという希望がなければならないが、ニューヨーク代表部から全く答えが来なかったため、(北朝鮮が)行かなかったのだと思う」と述べた。チョン元長官は「北朝鮮が来なかったことになっているが、このことが起きた後、米国内の対北朝鮮世論が非常に悪化した」とし「自分が原因を提供したとは全く考えない。米国はそうだ」と皮肉った。

 チョン元長官は朝米首脳会談直後、「短い時間内に北朝鮮の非核化を終える」と言ったトランプ大統領の発言が、「時間にこだわらず北朝鮮を非核化させる」に変わりつつあるとし、米国の対北非核化政策が「リビア方式」に回帰しているという懐疑をあらわにした。完全な核放棄を確認した後で経済補償を行うのがリビア方式だ。リビアの独裁者ムアンマル・アル・カダフィ大佐が2003年に核兵器を含むすべての大量破壊兵器と長距離ミサイル計画の廃棄を宣言し、米国の経済補償が続いたが、2011年に「アラブ民主化」の渦の中でカダフィ大佐は米国が支援した反政府軍に殺害された。チョン元長官は「北朝鮮には先に核を放棄するのは必ずレジーム・チェンジにつながるという恐怖がある」とし、北朝鮮が「軍事的脅威が解除され、体制保証が行われれば、段階的かつ同時的に非核化を推進するという立場を堅持し続けているのは、そのためだ」と説明した。チョン元長官は「わたしの経験から、北朝鮮は一度話が出れば達成されるまで大半はそれを堅持する。一度提示したことは絶対に変えないから、北朝鮮が硬直しているように見えるが、交渉しやすい」と評価した。チョン元長官は「米国は(対北朝鮮政策の基調が)変え続けている」とし、ジョン・ボルトン米国家安全保障会議補佐官が作ったCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄)が、朝米交渉過程でポンペオ国務長官が主導するFFVD(最終的で全面的に検証された非核化)に変わり、ペンス副大統領がCVIDという用語をまた使っていると指摘した。チョン元長官は「トランプ政権発足当時、国防長官と国務長官が『最大の圧力と関与』を発表したが、今は関与の話は出ず、圧迫だけを強調している」と懸念した。

 チョン元長官は、北朝鮮がサッカンモル基地で核活動を行っているというニューヨーク・タイムズ紙の最近の報道を、こうした雰囲気の延長線から発信された「偽ニュース」と規定した。彼は「3月29日に撮った(衛星)写真で(米国を欺瞞していると)追い込むなどという話がどこにあるんだ」と言い、かつて朝米交渉の過程で起こった似たようなケースを紹介した。金大中(キム・デジュン)大統領がクリントン大統領の支持を受けて金剛山(クムガンサン)観光を推進した1998年8月、ニューヨーク・タイムズ紙が「匿名を求めた軍関係者」を引用して「北朝鮮が別途の核活動を行っている」と報じたというものだ。チョン元長官は「北朝鮮はそんなことはないと言い、『来て確認してみろ。もしなかったら、名誉毀損(に対する賠償)で何を出すつもりか』と述べた」とし、「(米国が当時)食糧60万トンを(北朝鮮に)渡して入ったら、何もなかった」と紹介した。チョン元長官は「ニューヨーク・タイムズ紙が当時もそのような報道をして驚いたが、今回も同じようなことをしている」とし、「今回はトランプ大統領がすぐに『偽ニュース』と規定し、すぐに火を消したのでまだ幸いだ」と述べた。

 チョン元長官は「完全な非核化水準ではなく、ICBMと未来核の凍結のレベルで北朝鮮の核問題が縫合されたら、経済問題以上に文在寅政府は非難を受けるだろうし、致命傷を負うことになる」とし、「これを防ぐためにコンティンジェンシープラン(非常対策)の準備をいまから始めなければならない」と述べた。彼が提示した方法は、日中ロ協力体制を通じて米国と北朝鮮を動かすことだ。特に日本の役割を強調した。チョン元長官は「日本が米国を動かせる力を持っているため、まず引き入なければならないし、その後、北朝鮮が先に一部の措置を履行するよう直接説得する必要がある」と述べた。また「米国の要求をある程度聞き入れながら相応措置に出るようにすべきであって、同じように行こうとするのは現実的に不可能だ」とし、中国とロシアとともに北朝鮮の追加の「先措置」を引き出さなければならないと付け加えた。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/870335.html韓国語原文入力:2018-11-1511:34
訳M.C

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