韓国の中高生のうち7万人以上が自傷行為を経験したことが、調査の結果明らかになった。最近、青少年による自傷行為が増えているという教育界や医学界の懸念が相次いでいる中、具体的な数値が公開されたのは初めてだ。
教育部が今年初め、全国の中高生を対象にした「学生感情・行動特性検査」アンケート調査の結果、「自傷行為をしたことがあるか」という質問に、中学生51万4710人のうち4万505人(7.9%)が「ある」と答えた。中学生100人に8人の割合で自傷行為を経験したことになるわけだ。2万8382人(5.5%)が「少しはある」と答えており、8448人(1.7%)が「ある」、3675人(0.7%)が「かなりある」と答えた。高校生は45万2107人のうち2万9026人(6.4%)が「自傷行為の経験がある」と答えており、中学生より割合が低かった。「ハンギョレ2」がソ・ヨンギョ共に民主党議員室を通じて教育部から入手したアンケート調査資料を分析した結果だ。
教育部は自傷行為に走る青少年が増えているという専門家の指摘を受け、2017年から学生感情・行動特性検査に自傷行為関連項目を追加した。自傷行為を経験した中学生は2017年(8.3%)より0.4%ポイント減っており、高校生は同期間(5.9%)に比べて0.5%ポイント増えた。
教育部が把握した約7万人は“最低”数値である可能性が高い。小学生の頃から自傷を行ってきたという女子高生は、取材に対し「子どもたちも、学期初めのアンケート調査に正直に回答して自殺高危険群として分類されると、学校生活で苦労するということを知っている。自傷行為をしてもしていないと答える子どもが多い」と語った。教育部の関係者は「青少年の憂鬱感を評価する尺度のひとつであり、自傷行為について本格的に調査したものではないため、コメントは差し控えたい」と話した。
専門家らは青少年の被害の深刻性を「心理社会的災難」レベルだと判断している。大韓精神健康財団災難精神健康委員会と教育部の学生精神健康支援センターが主催し、大韓小児青少年精神医学会の災難とトラウマ委員会、韓国ストレス学会の後援で、9月20日に特別シンポジウム「自傷行為が大流行、大韓民国の対策は」が開かれたのも、そのためだ。ソ・ヨンギョ議員も「自分の体を大切にできないほど、情緒的に追い込まれた子どもたちが自殺・自傷を考えないよう、適切な教育とケアが必要だ」と強調した。
多くの保護者は「うちの子はまだ幼いから」とか「うちの子は優しいから」、「うちの家庭は幸せだから」として、青少年の自傷行為を「他人事」だと思う傾向がある。自傷行為をしている女子高校生「WretY」(ハンドルネーム・15)は「小3のときからリストカットをしてきたが、両親にばれたのは中学校1年生の時だった」と語った。「ハンギョレ21」が取材した青少年の大半も同じ経験をしていた。専門家らは小学4年のころから自傷を始める子どもたちがおり、中学生でその割合が最も高くなると“推定”する。かつては精神医学的な診断や性格障害の診断がある子どもらが主に自傷行為に走るとされていたが、最近は特別な症状がない裕福な家庭の活発な優等生らに自傷行為が多くみられるという。
慶北大学精神健康医学科のチョン・ウンソン教授は「自傷行為の主要原因は三つだが、圧倒的に否定的感情を解消するため、無感覚から逃れるため、自分自身に罰を与えるため自傷行為をする」としたうえで、「注目されたい、あるいはどこかの集団に属したいからなのか、気分不全症(1~2年間憂鬱な気分が持続)やうつ病あるいはトラウマのためなのか、原因を把握すべきだ」と話した。キム・ヒョンス明智病院精神健康医学科教授も「自殺の意図があるかどうか、他の精神科的な症状はないのか、一度は専門家の診断を受けなければならない」とアドバイスした。
既成世代はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に自傷アカウントを運営する青少年(リストカッター)を、思春期の自己顕示欲によるものだと見なす場合もある。インスタグラムでハッシュタグ「#自傷」で検索される掲示物は8日現在、4万件を超える。
「いじめられっ子」だったスミンさん(仮名・16)は7日現在、インスタグラムのフォロワー数が1044人だ。スミンさんは「自傷アカウント」に自傷行為の写真を載せる「リストカッター」だ。フォロアーたちはスミンさんが自らを写真や日常の写真を載せれば「いいね」を押してくれる。1つの掲示物に100人前後のフォロワーがフィードバックを送ってくれる。スミンさんは「つまらない私のような人をフォローしてくれて、共感し、慰めてくれてうれしかった」と話し、「自傷行為を無条件に悪く見たり同情する前に、『あの人はリストカットをするほどつらいんだな』と思ってもらいたい」と話した。
世界的な自傷行為の専門家である米国の医師、マイケル・ホランダー氏は『自傷行為救出ガイドブック : 弁証法的行動療法に基づく援助自傷青少年を助ける方法』で、「一部の専門家によると、関心を引くため意図的に自傷行為をする青少年は4%未満」だとし、自傷行為をする青少年を「関心引きたがり」扱いする見解に反論した。
ホン・ヒョンジュ翰林大学自殺と学生の精神健康研究所長は「子どもたちはネット上で出会い、恋愛して一緒に自傷行為をしたり、ネットで知り合った人々との交流で仲間はずれにされて自傷行為に走ったりもする。ネットで知り合って交際する人に写真を送った事実が学校で知られ、死にたいという子どももいる。大人が全く知らない世界」として、青少年に対する理解を深める必要性に言及した。