チョン・ギョンドゥ国防部長官とジェームズ・マティス米国防長官は31日(現地時間)、ワシントンで第50回韓米安保協議会議(SCM)を開き、戦時作戦統制権(戦作権)返還とそれにともなう連合指揮構造改革案を協議する。南北が9・19平壌共同宣言で軍事合意書を採択した以後、初めて開かれる今回の会議では、朝鮮半島の平和定着のための韓米軍事当局間の協力方案も模索する。
韓米は今回の会議で、戦作権の返還に先立ち、韓国軍主導の連合作戦遂行能力を検証する作業を速める方向で意見をまとめるとした。国防部は今年初めの業務報告を通じて「来年に計画した(戦作権返還の)検証以前評価を省略し、すぐに1段階の基本運用能力(IOC)の検証に入る方案を韓米が協議している」と明らかにしている。来年には基本運用能力の検証を終えて、2020年の2段階の完全運用能力(FOC)の検証に続き、2021年に3段階の完全任務遂行能力(FMC)検証まで終えれば、2022年の文在寅(ムン・ジェイン)政府の任期中に戦作権返還のための連合作戦能力検証手続きを終えることができるという観測も出ている。
検証の完了が直ちに戦作権返還を意味するわけではない。韓米は、2014年の第46回会議で「条件に基づく戦作権の返還」原則に合意して、韓米連合防衛を主導できる韓国軍の核心軍事能力の確保▽北朝鮮の核・ミサイル脅威に対する韓国軍の初期必須対応能力の具備▽戦作権返還に符合する朝鮮半島および地域の安保環境からなる三条件を明記した。韓国軍が軍事的能力を充足しても、朝鮮半島および地域の安保環境に足を引っ張られることがありうる。戦作権の返還時期は、2012年4月から2015年末に延期された後、「条件に基づく戦作権の返還」と表現され、事実上無期延期になった状況だ。
韓米は、戦作権返還後の韓国軍主導の連合指揮構造編成方案にも合意するという。現在の韓米連合司令部と似た形態の連合軍司令部を創設するものの、韓国軍の大将が司令官を、米軍の大将が副司令官を務める方案だ。米軍の大将が司令官、韓国軍の大将が副司令官を受け持っている韓米連合司令部の構造が韓国軍主導に変わるわけだ。
韓米はまた、今回の会議を契機に12月に予定された大規模合同空中演習「ビジラント・エース」を猶予することにも最終合意すると予想される。米国防総省は19日(現地時間)、「(韓米が)ビジラント・エースの施行を猶予することを決めた」と発表したが、韓国国防部は「猶予を含む多様な方案について米国と協議した」とだけ明らかにした。韓米のビジラント・エース猶予合意は、朝鮮半島の非核化と平和定着のための外交的努力を軍事的に後押しする趣旨と解説される。
韓米両国の国防長官は、朝鮮半島の軍事的緊張緩和のために南北が締結した「9・19軍事合意書」を効果的に履行する方案も論議すると予想される。マティス国防長官が公開的に9・19軍事合意に対する支持を表明するかが注目される。在韓米軍司令官を兼ねているビンセント・ブルックス国連軍司令官は29日、「国連軍司令部は現在進められている南北軍事合意書の履行を支持する」と明らかにしている。