宗教的信念を理由にした兵役拒否事件で、「代替服務のない処罰は違憲」という憲法裁判所の決定趣旨を反映した裁判所の無罪判断が相次いでいる。最高裁の全員合議体がまだ結論を出していない中、下級審が「先制的判断」をしているわけだ。
水原(スウォン)地裁の城南(ソンナム)支院刑事5単独のソン・ジュヒ判事は先月、憲法裁の決定趣旨を引用し、宗教的信念を理由に入隊しなかったP氏(21)に無罪を言い渡した。ソン判事は「憲裁の決定によると、宗教的信念に基づいて入隊は拒否するが民間の代替服務が施行された場合は喜んで応じるという良心的兵役拒否者に対し、代替服務の機会を与えず、兵役法第88条第1項を適用して処罰するのは違憲だと見ざるを得ない」と判断した。したがって、「違憲的な状況を排除し、法律を合憲的に解消するには、改善立法前に起訴されて裁判を受ける被告人には、兵役法第88条第1項が定めた『正当な事由』があると解釈するのが妥当だ」だと、ソン判事は結論を下した。
水原地裁刑事11単独のキム・ドヨ判事も、今年8月と9月に兵役拒否者5人に無罪を言い渡した。キム判事は「代替服務制が導入されていないため入営できないという良心的兵役拒否者に刑罰を加えるなら、憲法裁の決定のように良心の自由を侵害することになる」と判断した。キム判事は「憲法裁は良心的兵役拒否者に対し、刑事処罰による不利益が甚大で、代替服務を規定しないことで達成する公益が大きくないとし、代替服務を規定していない兵役法第5条第1項が過剰禁止原則に反し、良心の自由を侵害すると判断した」とし、「良心的兵役拒否者として代替服務制がないため入営できないという場合まで刑罰を加えれば、憲裁の決定と同じ理由で良心の自由を不当に侵害することになる」と説明した。水原地裁安山(アンサン)支院刑事6単独のキム・スンジュ判事は今年8月、良心的兵役拒否者に無罪を宣告し、「憲法不合致決定により、地方兵務庁長が良心的兵役拒否者に現役兵入営処分を下せず、そのような処分を下した場合、違法となるのにもかかわらず、この決定前に行われた処分に従わなかったとして有罪判決を下せば、被告人の憲法上の権利を不当に侵害する結果となる」と指摘した。
今年6月末に下された憲法裁判所の違憲決定後、宗教的信念を理由にした兵役拒否の1審・2審での無罪判決は14日現在、21件に達する。裁判所は憲法裁の決定前までは、最高裁判所の判例に従って懲役1年6カ月の有罪を例外なく宣告してきた。これに先立ち、最高裁は今年8月30日に公開弁論を開き、宗教を理由に現役兵としての入営や予備軍訓練の召集を拒否したことが、兵役拒否の正当な事由になるかについて審理したが、まだ結論を出していない。
一方、大韓弁護士協会は16日、弁護士登録審査委員会を開き、「エホバの証人」の信徒であるペク・ジョンゴン弁護士の再登録を審査する。良心的兵役拒否で1年6カ月の実刑を言い渡され、昨年5月に出所したペク弁護士は弁護士の再登録を請求したが、大韓弁協は弁護士法を根拠に拒否した。弁護士法は禁固以上の刑が執行されてから5年が経たなければ、弁護士欠格事由として規定している。憲法裁の決定が出た後、ソウル地方弁護士会はペク弁護士に対し「登録適格」の意見を明らかにした。