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「実刑のない有罪」で財閥びいき…サムスン副会長の判決と瓜二つのロッテ会長2審

登録:2018-10-06 06:41 修正:2018-10-06 10:02
[辛東彬ロッテグループ会長、2審で執行猶予釈放] 
裁判所「強要により意思決定の自由に制限 
賄賂供与の責任厳しく問うことは難しい」 
辛会長側も「脅された被害者」と弁論 
イ・ジェヨン副会長のように懲役30カ月・執行猶予4年 
有罪でも実刑免れる「財閥びいき」
グラフィック=チャン・ウニョン//ハンギョレ新聞社

 「被告人が財閥グループのトップである点や、裁判の結果が企業や経済全般に影響を及ぼす可能性がある点が裁判に影響してはならず、考慮すべき事情でもないと思います」

 5日、辛東彬(シン・ドンビン、日本名・重光昭夫)ロッテグループ会長(63)の2審を担当したソウル高裁刑事8部(裁判長カン・スンジュン)は、判決に先立ち、こうした判断の原則を明らかにした。財閥という理由で被告人に寛大になったり、厳格になってはならず、ただ法に則って判断すべきだと述べた。辛会長に厳しい責任を問うという趣旨と思われた。しかし、裁判所の豪語とは裏腹に、判決では「辛会長の執行猶予」という結論が下された。

 免税店事業の特恵を期待し、チェ・スンシル氏のKスポーツ財団に70億ウォン(約7億円)の賄賂を渡した容疑で起訴された辛東彬ロッテグループ会長は同日、懲役2年6カ月に執行猶予4年を言い渡され、釈放された。裁判所は1審が宣告した追徴金70億ウォン(約7億円)も「当該金額が被告人に実質的に帰属するとみることはできない」として、追徴できないと見た。

 2審裁判所は1審同様、黙示的な不正請託の存在を認め、第3者賄賂罪を有罪と判断した。裁判所は「免税店事業と関連した大統領の職務執行内容、被告人が財団に支援した70億ウォンが職務執行の見返りという点について、(被告人と朴槿恵前大統領の間の)共通の認識や了解があった」と判断した。

 しかし、裁判所は辛会長を「大統領の要求に受動的に応じた被害者」と見なしたことで、量刑が変わった。裁判所は「国家最高権力者の大統領の直接的な支援要求を断りにくい側面があった」と述べた。さらに、「大統領の強要によって、意思決定の自由が多少制限された状況で支援金を渡した被害者に対し、賄賂供与の責任を厳しく問うのは適切ではない」と明らかにした。裁判所は、私益の追求など大統領が支援金を要求した目的を全く知らないまま、社会貢献として金銭を渡したという辛会長側の主張も受け入れた。

 辛会長は2審裁判過程で、自分は「大統領に脅されて賄賂を渡した被害者」という趣旨で主張してきた。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の「脅しによる被害者」戦略を活用したものだが、結果的に有効だったわけだ。これに先立ち、辛会長の1審裁判所は「大統領の要求によって賄賂を渡した点が有利な量刑要素だとしても、その影響は制限的でなければならない」とし、「大統領の要求があったという理由だけで被告人を善処するなら、いかなる企業でも実力を備えるよりは賄賂を供与したい誘惑から簡単には逃れられないだろう」と指摘した。

 今回の2審判決結果は「3・5法則」を繰り返したという批判を免れない。3・5法則とは、裁判所が犯罪を犯した財閥トップに1審で実刑を言い渡し、2審で懲役3年・執行猶予5年を宣告して釈放するパターンを指す。有罪判断を下しながらも、実刑は免除する「財閥トップびいきの判決」だ。1審で懲役5年を言い渡されたイ・ジェヨン副会長も、2審では辛会長同様、懲役2年6カ月・執行猶予4年を言い渡され、釈放された。

 一方、同日「ロッテのトップ一家による経営不正事件」の宣告も共に行われた。裁判部は1審と違って、トップ一家に不当な給与を支給したという辛会長の疑い(横領)を無罪と判断した。共に裁判にかけられた辛格浩(シン・ギョクホ、日本名・重光武雄)ロッテグループ名誉会長(96)には懲役3年、罰金30億ウォン(約3億円)を言い渡したが、高齢であることを考慮し、法廷拘束はしなかった。

コ・ハンソル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/864682.html?_fr=mt1韓国語原文入力:2018-10-05 23:02
訳H.J

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