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「同じわいろ」でもロッテ会長は実刑…サムスン副会長の控訴審だけが寛大だった

登録:2018-02-15 08:21 修正:2018-02-15 12:09
実刑-執行猶予、公平性失った判決 
 
イ・ジェヨンには「強迫による被害者」 
「朴前大統領がサムスン経営陣を強迫し  
要求を断れず巨額の賄賂を供与」 
 
辛東彬には「特恵狙った犯罪者」 
「大統領の要求を理由に贈賄を善処すれば 
公正性の価値が毀損されるので、厳罰が必要」
辛東彬ロッテグループ会長が13日午後、ソウル瑞草区ソウル中央地裁1審の判決公判で懲役2年6カ月、追徴金70億ウォンを言い渡され、法廷拘束されて護送車に向かっている=共同取材団//ハンギョレ新聞社

 大統領の要求で賄賂を供与した両財閥トップの運命が分かれた。同じく懲役2年6カ月を言い渡されたが、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長は執行猶予で釈放され、辛東彬(シン・ドンビン<重光昭夫>)ロッテグループ会長は法廷拘束された。判決文で、李副会長は「強迫による被害者」として浮上し、辛会長は「安易な特恵を狙った犯罪者」という点が強調された。政治・経済権力関係とそれをめぐる贈収賄の罪を見る各裁判部の見解の違いが明らかになったが、法曹界では「少なくとも、国民が納得できる公平性は備えなければならなかった」という批判が出ている。

 両トップの運命は、結果的に判事が判断した「量刑理由」で分かれた。辛会長と李副会長に適用された贈賄罪は5年以下の懲役または2千万ウォン以下の罰金刑が刑法上の法定刑だ。それぞれ裁判部が認定した辛会長の賄賂額は70億ウォン(約7億円)、李副会長の賄賂額は36億ウォン(約3億6千万円)だ。判事らが判決の刑量を決める際に参照する量刑基準によれば、1億ウォン以上の贈賄は2年6カ月~3年6カ月を基本刑と見ている。この基本刑を基に両トップの裁判部はいずれも「収賄者の積極的要求に受動的に応じたケース」と判断し、減軽の要素を適用した。贈賄罪だけを見れば、二人のトップの宣告刑の範囲は2~3年で違いはなかった。

 だが、収賄罪と政治・経済権力を見る二つの裁判部の見方には大きな差があった。李副会長の控訴審裁判部であるソウル高裁刑事13部(裁判長チョン・ヒョンシク)は、サムスンの贈賄事件を「最高政治権力者である朴槿恵(パク・クネ)前大統領が、国内最大手の企業集団であるサムスングループの経営陣を強迫し、被告人(李副会長など)は大統領の要求を断れずに巨額の贈賄に及んだ事案」と規定した。判決文の「量刑理由」に「朴前大統領に何らかの利益や恩恵を求めたり、取得したりはしていない」、「タコ足式の事業拡張などのような典型的な政経癒着の様相を見出すことはできない」など、李副会長を被害者として擁護する文章が繰り返し出てくる。李副会長2審の裁判長は判決後、あるメディアとのインタビューで「どんな企業家が大統領の要求を断れるものか」と述べたのは象徴的だ。彼は「どんな企業家が見返りのない賄賂を渡すものか」という大衆の常識的な質問には答えなかった。

 辛会長の裁判部であるソウル中央地裁刑事22部(裁判長キム・セユン)も「国家の最高権力者である大統領の要求を断ることは容易ではなかったはず」とし、辛会長の立場を考慮した。しかし、裁判部は「大統領の要求があったという理由だけで70億ウォンという巨額の賄賂を供与した被告人を善処したら、どんな企業も実力を築き上げる努力をするよりは、賄賂供与という選択をしたい誘惑から容易に抜け出せない」と強調した。さらに、「賄賂犯罪は、韓国社会を支える“公正性”という価値を深刻に毀損するものとして厳しく処罰する必要性があり、それが政治権力と経済権力の最上位層にある大統領と財閥企業会長の間で行われている場合はなおさらだ」とし、政治・経済権力の責任であることを指摘した。

 特に、辛会長の裁判部は財閥トップらの「被害者見せかけ」に釘を刺した。裁判部はまず、「公務員の要求によって財物を交付する場合『不利益に対する心配』と『公務員の職務遂行が自分に有利な方向に行われる』という期待が共存することが実情に近い」とし、「財物交付者の内心の意思を心配と期待により明確に区分するのは容易ではない」と指摘した。そして、このような理由のために「公務員に職権乱用権利行使妨害、強要、収賄罪が同時に成立するなら、その相手も贈賄罪の成立を認めるのが妥当である」と指摘した。同様の刑を言い渡しながらも、李副会長を「強迫による被害者」と規定して執行猶予で釈放したのとは対照的な判断だ。

 ただし、実刑を宣告した辛会長の裁判部もやはり「財閥の賄賂が受動的であり得るのか」という問題と「他の事件の贈賄罪に比べて財閥に寛大な判決」という根本的な疑問を解消できなかった。辛会長の2年6カ月刑は控訴審で執行猶予が可能な量刑だ。カン・ムンデ民主社会のための弁護士会事務総長は「違法性がより大きいと思われる李副会長は執行猶予で釈放し、辛会長は実刑を宣告したのは、量刑に公正性、適正性が失われたもの」だとし、「70億の賄賂を提供した辛会長に2年6カ月を言い渡したのも、裁判がとりわけ財閥トップの量刑に寛大だという憂慮を生んだ」と話した。

キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/832356.html韓国語原文入力:2018-02-14 22:53
訳M.C

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