3回目の南北首脳会談により、中断されて10年目をむかえた金剛山(クムガンサン)観光の正常化に関心が集まっている。19日に発表された「9月平壌共同宣言合意書」で、環境が整い次第金剛山観光事業の正常化がなされるだろうと言及され、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は20日に帰還し、金剛山離散家族の再会場所の常設面会所の全面稼動のために北側の没収措置の解除を要請すると、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長がその場で同意したと明らかにした。金剛山観光正常化のための政治的問題はほとんど解決されており、カギは国連の対北朝鮮制裁解除にあると見られる。
20日、現代グループと観光業界によれば、2003年から2008年7月までの累積観光客が195万6千人に達した金剛山観光は、観光客パク・ワンジャさん銃撃死亡事件の後に中断された。その後、現代グループのヒョン・ジョンウン会長が2009年8月に北朝鮮を訪問し、金正日(キム・ジョンイル)当時国防委員長に会って観光再開などに合意したが、韓国政府側の頑強な態度のために合意は水泡に帰した。
こうして中断が長期化すると、北朝鮮のアジア太平洋平和委員会は2010年3月、韓国が金剛山観光を再開しない場合、すべての合意と契約を破棄し不動産凍結など格別の措置をとると発表して、1カ月後に統一部と現代峨山(アサン)に対し金剛山観光地区内の南側不動産への調査実施と資産没収の可能性を含む通知文を送った。それでも韓国政府が観光正常化に旋回しないので、北朝鮮はしばらくして離散家族面会所、消防署、文化会館、温泉場などの政府資産を没収し現代峨山など民間の各種観光施設については凍結した。
今回、南北首脳が解除を口頭合意した対象は、過去に政府が管理していた離散家族面会所だ。この面会所を「常設面会所」として使うために、没収措置を解除することで南北首脳が意見を共にしたと見られる。これに先立って先月25~26日に開かれた離散家族対面行事の時も、韓国政府は当該面会所を約10年前の没収措置にもかかわらず使っており、今回の口頭合意は政治的性格が強いという解釈もある。すなわち、観光客銃撃死亡事件後に高まった両側の葛藤と沈殿物の一部を払いのけたという象徴的な意味であるわけだ。離散家族面会所は、韓国政府が550億ウォンをかけて2008年7月に完工した。
ただし、“必要”により過去に取られた没収措置を解除した経験ができただけに、今後北朝鮮側で凍結していた金剛山観光関連施設も解除されるのではないかという展望が出ている。9月平壌共同宣言合意書に金剛山観光事業正常化も言及されただけに、南北は最初のボタンをすでにかけたことになる。残るカギは、今後国連の対北朝鮮制裁が解除されるかにかかっている。対北朝鮮制裁が解除されてこそ、10年間使用できなかった施設に対する改善・補修作業を進め、民間事業者が観光事業を行えるようになるからだ。現代グループ関係者は「今後、北朝鮮が離散家族面会所だけでなく、観光施設の凍結解除措置もとるならば、事業者としては当該施設に出入りできるようになり、事業再開のための構想も作れることになる」とし、「ただし9月の合意書に書かれた『環境が整い次第』の環境が実際に実現するかがカギ」と説明した。
これに先立って現代グループのヒョン・ジョンウン会長は、特別随行員の資格で平壌に行ってきた後、20日に「南側と北側で金剛山観光が経済協力の象徴として依然として記憶され大切に考えられているという事実に、事業者として心から感謝した」として「一喜一憂せずに淡々とした気持ちで経済協力に積極的に取り組む」と話した。