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難民認定者の子どもは韓国で生まれても「無国籍」…死角におかれる韓国内難民

登録:2018-09-20 10:02 修正:2018-09-20 17:47
人権委・難民委員会による難民11人の実態調査 
 
難民法が認める待遇と現実を比較  
「支援可能なサービスの案内も受けられず」
国家人権委員会と韓国難民人権委員会は19日、ソウル中区貞洞のフランチスコ会館で「国内難民認定者の処遇保障の実態に対するモニタリング結果」を発表した//ハンギョレ新聞社

 「出入国事務所でもらった『難民認定者の処遇についての案内文』によると、『難民認定者は社会保障・教育・医療・住居などについて韓国人と同等の権利がある』とあった。私もこれからは韓国人のように生きていけると大変期待したが、暮らしてみると外国人だから『ダメだ』『ダメだ』という言葉をたくさん聞くので、韓国社会の一員として暮らすのはまだまだ遠いと感じた」(難民認定者Aさん)

 「大きな壁となるのは意思疎通だと思う。どんな支援を受けられるのかが分からない。手伝ってくれる人に会うのも難しい」(難民認定者Bさん)

 国家人権委員会(人権委)と韓国難民人権委員会(難民委員会)は19日、ソウル中区貞洞(チョンドン)のフランチスコ会館で「国内難民認定者の処遇保障の実態に対するモニタリング結果」を発表した。今回の実態調査は、4月から国内難民認定者11人を対象に難民認定者に対する情報提供・言語の壁・行政措置・帰化など10分野で行われた。

 人権委と難民委員会は、現行の難民法の関連法令が抽象的で、法令の範囲や主務省庁の責任が具体的でないため、難民認定者たちが社会保障サービスをきちんと受けられないと指摘した。例えば、女性障害者が受けられる出産支援サービスを難民認定者も受けることができるのか、関係法令の解釈だけでは分からない。難民委員会が主務省庁である保健福祉部に問い合わせたが「障害者登録はできるが、出産支援の恩恵については明示されておらず、細かい部分が出ていない。支援が可能かどうかについて確答できない」という答えを聞いたと明らかにした。

 低所得層が受けることのできる緊急福祉支援制度、乳幼児保育料支援などは受けることができるが、このような事実を知っている人は多くなかった。難民人権センター活動家のイ・スル氏は「難民認定者の処遇の案内文はたった2ページで、難民法の処遇、関連条項を記したものにすぎない」とし、「難民たちはどんなサービスを受けることができるのか分からない」と指摘した。難民認定者の処遇に対する総合的な案内がないために、難民を助ける市民団体や弁護士などを通さなくては福祉システムにアクセスするのが難しいということだ。また、大多数の福祉制度が外国語支援ができず、難民認定者に実質的な支援になっていないことが分かった。

 最も深刻な死角地帯は、難民認定者の子どもたちに見られた。政府が韓国で出生した外国人の子女には親の国籍国の海外公館に出生を届けるという立場を固守しており、難民認定者の子どもは透明人間に近い「無国籍」として残ることになる場合が多いという。難民は国籍国家における迫害から逃れて来た人であるため、大使館など在外公館には近づきがたい。ある難民は「子どもたちがテコンドーを数年間習ったが、国籍を証明する書類がなく、国技院に入団審査を申請することもできなかった」と明らかにした。また、移住者の児童は義務教育の対象ではないため、就学通知書が発行されず、就学奨励もない。もし学校長が入学を拒絶したとしても、これに対処することは難しい。国連児童権利協約などによると、難民児童も韓国国籍の児童と同じ権利を享受できなければならないが、出生から学習権まで差別にさらされる。

 ハン・ジュンソン漢陽大学平和研究所教授は「難民を対象にした社会保障サービスは単に恩恵・贈与・寛容の水準を上回る意味を持つ」とし、「社会保障サービスの水準は難民の統合と自立の水準に密接に関連しているので、彼らに対する包容の不足が生む費用を考慮しなければならない」と話した。

文・写真 チャン・スギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/862804.html韓国語原文入力:2018-09-19 22:27
訳M.C

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