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[ニュース分析]朝鮮半島の「運命の9月」…トランプ大統領、新しいゲームを開始

登録:2018-08-30 05:41 修正:2021-07-05 08:22

激しさを増す朝米の乱気流 
6・12朝米会談後スピード上がらず 
「終戦宣言が先」「非核化が先」 
朝米の駆け引き激しくなり平行線 
カン外交部長官「朝米対話のモメンタムは持続」 
 
政治的な契機が山積みの9月 
北朝鮮の9・9節に習主席が訪朝予定 
南北会談・国連総会が集中し分水嶺に 
「交渉過程で一度は越えなければならない山」 
「南北首脳会談の前に接触が必要」

南北首脳会談を2日後に控えた4月25日午前、京畿道坡州市統一大橋の南端から社団法人「統一の道」と高陽市民会のメンバーが朝鮮半島の平和を祈願し、統一旗をかけている=坡州/キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 6・12シンガポール首脳会談以降、互いに「先に行動すべき」と要求し、非核化と関係正常化交渉の敷居を越えられずにいる朝米の神経戦が、激しさを増している。米国は、マイク・ポンペオ国務長官の4度目の訪朝を取り消したのに続き、28日(現地時間)にはジェームズ・マティス国防長官が韓米共同軍事演習の再開を示唆し、北朝鮮を圧迫している。

 これまで朝米は、両首脳が合意した非核化と関係正常化関連の後続交渉に乗り出すためには、終戦宣言と核施設の申告リストの提出が先に行われなければならないとそれぞれ主張し、対立してきた。しかし、相手に対する圧力を強めながらも、両国首脳間の信頼は依然として有効というメッセージは送り続けた。首脳間の「トップダウン」方式で行われた交渉を完全に中止するつもりはないという意思表示と言える。そのため、米国の態度に対する不満を伝えたとされた金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長の「秘密の手紙」や米国の相次ぐ“圧迫攻勢”にもかかわらず、両国が9月の重要な政治的な契機をどのように活用するかによって、朝米関係と朝鮮半島の情勢が変わる可能性があると見られている。

 カン・ギョンファ外交部長官は29日、国会予算決算特別委員会全体会議に出席し、ポンペオ長官の訪朝キャンセルと関連して、「朝米間の対話のモメンタムは続いている」とし、「状況によって、米国務長官の訪朝が再び進められる可能性がある」と強調した。ポンペオ長官も28日(現地時間)「平壌(ピョンヤン)訪問を延期」したと表現し、余地を残した。

 朝米関係に詳しい政府関係者は「(今の膠着は)本格的な非核化交渉が開始される過程で一度は越えなければならない山」だとし、「9月に押し寄せる様々な契機に注意を傾けるべきだ」と話した。9月には、北朝鮮政権樹立70周年(9日)や中国の習近平国家主席の訪朝予定、南北首脳会談と2回目の朝米首脳会談の可能性が提起された国連総会(18日開幕)など、様々な政治日程が集中している。文在寅(ムン・ジェイン)政権は今月末、ポンペオ長官の4度目の訪朝で突破口を開き、9月の南北首脳会談を経て、国連総会で南北米3者または南北米中4者が終戦宣言を採択する構想に力を注いできたが、最初の段階から難航を続けている。

 最近の米国の行動は、ドナルド・トランプ大統領が「運命の9月」を控え、形勢を揺さぶって新たな“ゲーム”を開始したことを示している。政府関係者は「結論が良い方向になるかどうかは分からないが、“機会”とも言える」と話した。

 北朝鮮は当分は直接的な反応を示さない可能性が高い。金正恩(キム・ジョンウン)委員長が新年の辞で明らかにした「民族的大事」である「9・9節」(北朝鮮政権樹立の日)を控え、米国と対立する姿は負担になるからだ。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「北朝鮮は現在、慎重モード」だとし、「9・9節以降は、北朝鮮も強硬な雰囲気に転じかねないため、9・9節前に文在寅政権が乗り出して、北朝鮮を説得する必要がある」と話した。彼は「首脳会談を準備する形で、主要関係者が直接訪朝するなど(局面の打開に向けた)文在寅政権の積極的な努力が必要な時期」だと話した。

 トランプ大統領が朝米膠着の“原因”と指摘した中国も、習主席が9・9節を前後にして北朝鮮を訪問する場合、「米中貿易戦争」に及ぼす影響を見極めているものとみられる。コ・ユファン東国大学教授は「朝米間の話がうまく行っているなら、習主席が9・9節に訪朝しても負担はないが、今の状況で行くことになると問題になりうる」としたうえで、「トランプ大統領の最近の動きには、11月の中間選挙と中国の覇権争いまで考慮した計算が働いたものと見られる」と話した。

 政府関係者は「9月に成果を出せなければ、10月からは動力が落ちるため、南北米中共に9月に勝機をつかもうとするだろう」と見通した。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/859811.html韓国語原文入力:2018-08-29 23:31
訳H.J

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