本文に移動

民主市民教育で難民めぐる“社会的葛藤”の解決策見出せるか

登録:2018-07-09 06:07 修正:2018-07-09 07:07
京畿道教育庁「民主市民教科書」で難民問題など取り上げる 
学校の教育課程に「社会的葛藤」熟議する態度を含む 
ドイツの「シリア難民の受け入れ」も民主教育から始まった 
教育部、来月「民主市民教育の活性化計画」発表する予定
京畿道教育庁が製作し、2014年から活用中の「共に生きる民主市民の教科書」の内容の一部。グローバル時代の共感と連帯を取り上げ、「難民問題」に対する討論を提案している//ハンギョレ新聞社

 「国連設立後、最初に助けを受けた人たちが『韓国の難民』でした。国連韓国再建段(UNKRA)は、救護物品支給だけでなく、家を持たない韓国避難民のため、家を建ててくれただけではなく、英語教習所を開き、学究熱に燃えている避難民の学生たちに英語をはじめ各種学問を教えたりもしました。南スーダンやシリアなどの多くの人たち、私たちと彼らとあまり変わりませんでした。(中略)あなたが難民なら、1日ですべての選択は生と死に直接関わる問題になります。誰も難民になることを選んだわけではありません」

 Q1.難民たちの権利を認めるのは、韓国社会にはどのような影響を及ぼすだろうか?

 Q2.国が自国民の利益のため、難民の受け入れに消極的なことが当たり前だと思うか?

 -京畿道教育庁が製作した「共に生きる民主市民の教科書」内容の一部抜粋

 国内の学生のうち、学校で難民教育を受けた人は“ほとんど”いない。正規科目の教科書が「難民」を取り上げないからだ。国内で難民問題を扱った教科書は2014年に京畿道教育庁が製作した「共に生きる民主市民の教科書」が唯一だ。この教科書は国連設立後に最初に助けを受けた人は「韓国の難民」だったことを教えるとともに、誰でも難民になり得ると言及している。京畿道でこの教科書で「選択科目」を開設した学校は、昨年現在8カ所に過ぎなかった。

 イエメン難民の済州道への入国によって触発された難民をめぐる社会的葛藤が続いている中、民主市民教育が難民問題を含む様々な社会的葛藤を解決する方策の一つとして注目されている。キム・ウォンテ・ソウル市教育庁民主市民教育諮問官は「2015年、シリア難民問題で欧州が頭を悩ませていた頃、ドイツが国民の絶対的支持を受けて100万の難民を受け入れた『ドイツの奇跡』は、彼らが幼い頃から『政治教養』という教科科目を通じて高い政治意識を備えていたからこそ可能だった」とし、「韓国の社会授業は教科課程だけで民主市民を養成するのが難しい構造になっており、早く正規教育課程に民主市民教育を設けなければならない」と話した。ドイツは1970年から「政治教養」を小中高校の必須科目とし、50年近く学校で民主市民教育を行っている。

 教育部も、学校における民主市民教育への国家責任の拡大要求に合わせ、「(社会的)葛藤の予防や社会統合に向け、責任ある市民意識を備えた民主市民を養成する」とし、遅くとも8月中旬には「民主市民教育の活性化計画」をまとめることを明らかにした。教育部は2022年までに民主市民教育を正規科目に編成することを目指している。専門家たちは、民主市民教育が効果を出すには2~3年の時間がかかるため、急いで政策を推進する必要があると指摘する。今は文在寅(ムン・ジェイン)政権が国政課題として「民主市民教育」を進めているが、政権後半になれば動力を失いかねないからだ。実際、民主市民教育は1990年代初めから推進されてきたが、「敏感なテーマを学校の授業で取り上げるべきではない」という一部の反発により、何度も挫折してきた。

 民主市民教育活性化運動を行っている「チンゴムダリ(架け橋)教育共同体」のクァク・ノヒョン理事長は「社会的葛藤に対処する方法を身につけるように教育課程を修正し、学生時代から難民問題など各種の社会懸案を認識し、責任感のある市民として育つようにしなければならない」と話した。

ファン・チュンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/852346.html韓国語原文入力:2018-07-08 20:11
訳H.J