慰安婦被害者の賠償請求権をめぐり議論や法的紛争が継続されているにもかかわらず、政府がこれを解決するための具体的な努力をせずに放置しているのは違憲だという2011年8月の憲法裁判所の決定が、国民が選んだ憲法裁の決定1位に選ばれた。
憲法裁は創立30周年を迎え、国民1万5754人を対象に「国民が選んだ憲法裁の決定30選」アンケート調査を行った結果、「慰安婦賠償に関する行政不作為事件」が最も多く、3848人から選ばれたと26日明らかにした。
憲法裁は当時、決定文で「憲法と韓日協定の内容に照らして被害者の賠償請求権に関して両国間の紛争が存在する場合、(政府が)解決手続きに進むことは作為義務(積極的な行為をする義務)だ。被害者たちがみな高齢で、時間が遅らせると歴史的正義を正し人間の尊厳と価値を回復することは永遠に不可能になりかねず、障害状態を除去する具体的義務が(政府に)ある」とし、政府が必要な外交的措置をしなかったと指摘した。
国会が法を作らなかったり、政府が施行令を作らなかったという立法不作為の違憲は(以前にも)あったが、行政不作為に対する違憲決定は異例的だった。
慰安婦の決定とともに、過去事清算に向けて親日行為で蓄積した財産を国家に帰属するようにした2011年の「親日反民族行為者の財産の国家帰属に関する特別法」(親日財産還収法)の合憲決定も18位(877人)に上がった。
国民が記憶する憲法裁の決定2位(3113人)には、2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領弾劾棄却決定と2016年の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾認容決定が挙げられた。弾劾関連の決定が2位に押されたのは、最近、ヤン・スンテ最高裁長官当時の裁判所事務総局が強制徴用被害者や慰安婦関連の裁判をめぐって朴槿恵大統領府と取引きをしたという疑惑が大きな問題になったことによるものとみられる。
3位に上がった「公務員試験受験年齢の上限は違憲」(2543人)をはじめ、「インターネット実名制は違憲」(5位・1699人)、「良心的兵役拒否の代替服務の不備は憲法不合致」(13位・996人)、「除隊軍人の公務員試験の加算点は違憲」(14位・968人)、「課外(塾など)の全面禁止は違憲」(30位・525人)など、若者層の関心事も30位圏に多く含まれた。
このほか「姦通罪の刑事処罰は違憲」(4位・1780人)と「同姓同本の結婚禁止は憲法不合致」「通信制限措置の期間の延長は憲法不合致」(共同6位・1502人)、「金英蘭法(不正請託や金品などの授受禁止に関する法律)は合憲」(8位・1317人)、「国会100メートル以内での集会禁止は憲法不合致」(10位・1258人)なども主要決定に選定された。
「被疑者の捜査場面の撮影許可は違憲」(11位・1183人)と「通信媒体を利用したわいせつ罪の身元登録は違憲」(15位・910人)、「捜査記録閲覧禁止は違憲」(20位・826人)、「重刑求刑の時の無罪判決釈放制限は違憲」(25位・641人)など、刑事手続きでの人権保護と関連した決定も多く選ばれた。このほか「維新時代の緊急措置は違憲」(16位・906人)、「統合進歩党解散決定」(共同18位・877人)、「5・18公訴時効の停止特別法は合憲」(28位・580人)なども含まれた。
今回のアンケート調査は、憲法裁が1988年の創立後、宣告した3万3千件余りの決定の中から憲法裁30年史に登録された180の決定を対象に、内部検討と出入り記者のアンケートなどを経て選んだ50の決定を「ネイバー知識人」サイトに公開して1人当たり5個ずつ選ぶ方式で行われた。
憲法裁は31日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)斎洞(チェドン)の憲法裁庁舎1階で創立30周年記念式を開く予定だ。