20日、ウェイトリフティング男子56キロ級で金メダルを取った北朝鮮のオム・ユンチョル(27)は「南側観衆の熱烈な応援が大きな力になった」と話し、韓国の記者たちをびっくりさせた。彼は韓国の記者たちが北朝鮮の夏季アジア競技大会通算100個目の金メダルだと話すと、「そうなんですか?私は知りませんでした」と答えて笑顔を見せた。彼が4年前の仁川(インチョン)アジア競技大会で金メダルを取った時「卵に金正恩元帥の思想を加えれば、岩をも砕くことができる」と話したのに比べれば、同じ人とは思えないほどだった。
2018ジャカルタ・パレンバン・アジア競技大会に参加した北朝鮮選手たちの態度ははっきりと変わっていた。以前の硬直した姿と体制称賛一色のインタビューとは全く違う姿だ。以前は共同取材区域(ミックスドゾーン)で「一言言ってほしい」という記者たちの要請に黙って過ぎ去ることが常だったが、今回は感情表現まで率直だ。
ウェイトリフティング男子69キロ級で優勝したオ・カンチョル(25)は、5月に亡くなった母親を思い出しながら、韓国の記者たちの前で涙も流した。彼は「競技が終わったので、母親を訪ねて金メダルを差し上げて挨拶する」と涙混じりに話した。レスリング女子フリースタイル53キロ級で金メダルを取ったパク・ヨンミ(27)は「韓国でもヨンミさんが有名なことを知っているか」と尋ねると、「そうですか?」と恥ずかしそうに聞き返し、「南の国民に伝えたいことは」と尋ねると「最後まで一所懸命にやれば結果はついてくるという言葉を伝えたい」と答えた。
南側共同応援団のサインと記念撮影の要請にも快く応じた。4年前には想像すらできない行動だった。ウェイトリフティング女子48キロ級のリ・ソングム(21)は授賞式が終わった後、共同応援団が訪ねて行きサインを要請すると、すぐに快く応じ、応援団と一緒に団体写真も撮った。「きれいですね」という応援には明るく笑って応えた。
北朝鮮の成績も変わった。大会がちょうど半分過ぎた26日現在、すでに金メダル11個を獲得した。金メダル17個で総合4位に上がった1982年のニューデリー大会以後、36年ぶりに歴代最高成績を出す可能性もある。1974年のテヘラン大会からアジア競技大会に参加し始めた北朝鮮は、1980年代までアジア競技大会を韓国との“スポーツ戦争”を通した体制優位手段としようとする意図が強かった。「日本が自国の選手団に入国ビザを要求した」というあきれた理由で参加しなかった1994年の広島大会以後、1998年のバンコク大会から5回連続で金メダル10個以下だった。
スポーツ評論家のキ・ヨンノ氏は「金メダル11個のうち7個がウェイトリフティングで、中国がドーピング懲戒で参加しなかった反射利益がある」としつつも「北朝鮮の成績と態度の変化は、南北首脳会談以後国際大会にしばしば参加するなど活発な南北交流とも関係あるように見える」と話した。