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金正恩はなぜ元山観光地区の完工時期を6カ月遅らせたのか?

登録:2018-08-17 23:43 修正:2018-08-18 07:49
現地指導で「来年10月10日人民に贈ろう」 
以前の完工目標だった太陽節(4月15日)より6カ月遅らせる 
米国との交渉・対北朝鮮制裁緩和が遅れると判断したもよう 
「強盗的制裁封鎖…対決戦」現地指導で「制裁」に初めて言及 
時間に追われ米国の圧迫にやすやすとは応じない意図
金正恩・北朝鮮国務委員長が夫人の李雪主女史とともに元山カルマ海岸観光地区建設現場を視察したと、朝鮮中央通信が17日報道した=朝鮮中央通信/聯合ニュース

 金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が、元山葛麻(カルマ)海岸観光地区(元山観光地区)建設の完工目標時点を3カ月前に提示した「来年の太陽節(4月15日)」から「来年10月10日」(朝鮮労働党創建記念日)に6カ月遅らせた。6・12朝米首脳会談以後、共同声明の履行方法と順序をめぐり朝米間に異見があり、国連・米国の対北朝鮮制裁の一部緩和・解除時点が当初の予想より遅れざるをえないという判断にともなう時期調整と見られる。核施設申告などの非核化措置と関連し、米国の要求・圧迫に時間に追われてやすやすと応じはしないという意も含まれているようだ。マイク・ポンペオ米国務長官の今月末の訪朝と「9月の平壌(ピョンヤン)南北首脳会談」を目前にした時点であり、注目に値する“変化”だ。

 金委員長は夫人の“李雪主(リ・ソルジュ)同志”とともに、元山観光地区建設現場を訪れ「世界に二つとない海洋公園を建設し、翌年10月10日にあわせて人民に贈ろうと訴えた」と労働党機関紙「労働新聞」が17日付1面全体で報道した。これに先立って労働新聞は5月26日付1面を通じて、金委員長の元山観光地区建設場現地指導のニュースを伝え「来年度(2019年)の太陽節(4月15日・金日成主席の誕生日)までに完工することを指示した」と報道したことがある。労働新聞の報道時点を基準とする時、金委員長が83日ぶりの現地指導で元山観光地区の完工時点を6カ月遅らせたことになる。

 金委員長は、元山観光地区の建設を「強盗的制裁封鎖で人民を窒息させようとする敵対勢力との尖鋭な対決戦」と規定した。6・12朝米首脳会談以後、金委員長が現地指導の過程で公開的に「制裁封鎖」を口にしたのは今回が初めてだ。元山観光地区は、金委員長が今年の新年挨拶で「軍民が力を合わせて最短期間で完工」しなければならないと強調した代表的国策建設事業だ。

 これは朝鮮半島情勢にとって重要な含意を持つ。イ・ジョンソク元統一部長官は5月30日、韓国未来フォーラムでの講演で「元山観光地区は、北朝鮮経済の水準に照らして見れば、南側の盆唐(ブンダン)新都市建設事業以上の資源を要する国策建設事業」だとして「外部(外国人)観光客が入ってくることを前提としたもので、非核化(制裁緩和・解除)が実現できなければ事実上無用の物」と指摘したことがある。元山葛麻海岸観光地区は、開城(ケソン)・新義州(シンウィジュ)・黄金坪(ファングムピョン)・羅先(ナソン)と共に北朝鮮の5大特区の一つである「元山-金剛山観光特区」(2002年指定)に入っている。

 北朝鮮の状況に明るい元高位関係者は「金委員長が米国などの制裁解除が当初の自分の期待より遅れると見て、時期を調整したと思われる」と解説した。この高位関係者は「元山観光地区事業が成功するには、制裁解除(にともなう大規模外国人観光客の流入)が必要だという金委員長の認識を表わしたものだ」と付け加えた。要するに、金委員長が当初提示した「来年4月15日」までには米国の制裁解除が見込めないと見て、時期を調整したのだろうという推論が可能だ。

イ・ジェフン、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/858088.html韓国語原文入力:2018-08-17 20:13
訳J.S

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