検察の「司法壟断」捜査に対する裁判所の傲慢が度を過ぎているという批判が高まっている。事実上「捜査妨害」の水準だという指摘もある。検察が請求した裁判所事務総局家宅捜索令状を、ソウル中央地裁が「一介の(事務総局の)審議官が作成した文書通りに最高裁判事が裁判すると見るのは難しい」として棄却したのだ。このような論理なら、「裁判取引」疑惑などが盛り込まれた事務総局文書の全部が何の意味もないことになる。裁判所が「司法壟断」事件に対する“予断”を露骨に示したことで、国会で論争中の別途の「特別裁判部」構成も力を得ている。
「司法壟断」事件を捜査するソウル中央地検特捜1部(部長シン・ボンス)は2日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の政府ソウル庁舎の外交通商部企画調整室と東北アジア局などを家宅捜索した。外交部はヤン・スンテ最高裁長官時代に、裁判所事務総局に日帝強制徴用被害者らが起こした訴訟の無力化などを要請し、代わりに裁判官の海外派遣の便宜などを図った疑惑を受けている。検察は当時裁判所事務総局と外交部が「公職の権限」を取り引きした可能性もあると見ている。
しかし、検察は前日、外交部だけでなく「カウンターパート」の裁判所事務総局の国際審議官室の家宅捜索令状も一緒に請求した。また、日本政府を相手に日本軍「慰安婦」被害者らが起こした訴訟を「却下」または「棄却」すべきという文書と、強制徴用に関連した「裁判取引」と疑われる文書を作成した元・現職判事4人の家宅捜索令状も請求した。しかし、イ・オンハク・ソウル中央地裁令状専担部長判事は、裁判所事務総局および判事と関連した令状はいずれも棄却し、外交部の家宅捜索だけを許可した。イ部長判事は令状棄却の理由として「裁判所事務総局が(家宅捜索の対象を)任意提出する可能性がある。また、文書の内容は不適切だが、一介の審議官が作成した文書によって大韓民国の最高裁判事が裁判をすると見るのは難しい」と明らかにしたと、検察が伝えた。裁判所内部では、このような異例の令状棄却と理由について「ダブルスタンダード」、「身内保護」という批判とともに「特別裁判部の導入の必要性を裁判所自ら作っている」という声もあがっている。地裁のある部長判事は「ヤン元最高裁長官が公言した『最高裁の判決の純粋性』を前提に、捜査初期から『裁判の取引はなかった』と断定したようなもの」だと批判した。ソウル地域のある判事も「身内を保護しようという歪んだ意志とみえる」と話した。
実際、検察は先月から4回にわたって22カ所の家宅捜索令状を請求したが、発行はイム・ジョンホン元裁判所事務総局次長や外交部の2カ所に止まった。
ソウル中央地裁は「令状交付条件に問題があって棄却しただけで、裁判所の構成員だからといって例外的に扱う理由がない」と反論した。