憲法裁判所が先月、良心的兵役拒否を処罰してはならないとし、代替服務制の導入決定を出したが、現在進められている裁判では従来の処罰の判例を踏襲した有罪判決を出し続けている。最高裁判所が良心的兵役拒否で拘束された人の保釈を職権で許可し、過去の判例の再検討に入った状況を考慮しない「慣性的処罰」だという指摘が出ている。
大邱(テグ)地裁刑事2部(裁判長ホ・ヨング)は今月13日、宗教的理由で兵役を拒否したCさん(23)に1審と同様に懲役1年6カ月を宣告した。3日には全州(チョンジュ)地裁井邑(チョンウプ)支部刑事1単独のオ・セヨン判事が、同じ理由で入隊しなかったJさん(24)に懲役1年6カ月を言い渡した。
二つの判決が提示した有罪の根拠は、2004年の最高裁判所全員合議体、2007年の最高裁小部判決だ。オ・セヨン判事は2004年の判例を引用して「兵役義務は国民全体の人間としての尊厳と価値を保障するためのものだ。被告人の良心を制限するといっても、憲法上許容された正当な制限に該当する」と明らかにした。大邱地裁刑事2部も「良心的兵役拒否者に代替服務の機会を与えずに処罰したとしても、市民的・政治的権利に関する国際規約に反すると解釈することはできない」という2007年の判決を引用した。
宗教的理由ではなく“信念”による兵役拒否も有罪判決を受けた。17日、ソウル西部地裁刑事7単独のチョ・サンミン判事は「暴力を拡大・再生産する軍隊に入営することはできない」という政治的信念により入営を拒否したOさん(29)に懲役1年6カ月を言い渡した。チョ判事は「被告人が提出した資料だけではそのような良心を持ったのか確認できない」と明らかにした。刑事裁判で「立証責任」を検事ではなく被告人に要求したということだ。
しかし、最近の憲法裁の決定趣旨や最高裁の判例変更の可能性を考慮すると、憲法的基本権を主張する人々に対する下級審の慣性的有罪判決は不適切だという指摘もある。イム・ジェソン弁護士は18日、「判例変更の可能性が大きい最高裁の判決が迫っているにもかかわらず、あえて14年前の最高裁判例を引用して有罪判決を下すのは理解しがたい。代替服務制の導入が必要だという憲法裁の決定趣旨に真っ向から反する没人権的な判決」だと批判した。
下級審の有罪判決が憲法裁の「折衷的決定」のためだという指摘もある。これに先だち憲法裁は、代替服務制を規定していない兵役法の「兵役種類の条項」には違憲を宣言しながらも、「意図的な兵役忌避を処罰する根拠はなければならない」とし、主に良心的兵役拒否者の処罰に使われた「処罰条項」は合憲だと判断した。