上陸機動ヘリコプター「マリンオン」が17日の事故当時、離陸直後に突然ローター(回転翼)が折れ、墜落したことが確認された。ヘリコプターの墜落の原因がローターにあるものと推定される。
海兵隊が事故翌日の18日に公開した9秒の動画によると、事故ヘリコプターが離陸してから3~4秒後に、ローターが丸ごと機体から分離され、撮影場所の方に飛んでくる。これに対して軍当局者は「ヘリのローター3つは、当時マリンオンの進行方向の側方から約20メートル離れた地点で発見されたが、一つは全く別の所で破損された状態で落ちていた」と話した。ヘリコプターはローターを回転させて揚力を得るだけに、ローターの異常は致命的な事故につながりかねない。
軍当局は、当時離陸直後に高速回転をしていたローターのうち1つが先に事故機胴体部分から落ちた後、続いて残りの4つが胴体から分離されたものと推定している。同軍当局者は「ローターの1つが落ちてしまうと、胴体に繋がっていた残りの3つのバランスがが崩れ、無理な高速回転をするようになる。そのため、これら3つも胴体との連結部分が緩み一緒に分離されたものとみられる」と話した。マリンオンのローターは合わせて4つで構成されている。
事故ヘリのローターが抜け落ちて墜落したことが確認され、ヘリコプター操縦士の過失の可能性は低くなった。今回の事故で死亡した正操縦士のK中佐(45)は経験豊富で有能なパイロットだったという。海兵隊関係者は「事故ヘリの操縦士は飛行時間だけでも3300時間に達しており、米国の飛行試験学校を卒業した。有能な操縦士であり、操縦未熟で事故が起きた可能性は低い」と話した。
それだけに、機体欠陥の可能性が高いと見られている。実際、今回事故が起きたマリンオンの原型である「スリオン」ヘリコプターはこれまで多くの事故を起こした。事業費1兆3000億ウォン(約1300億円)を投じて開発されたスリオンは、2015年1月と2月にエンジンスピードの上昇で停止される現象で非常着陸しており、2014年8月にはローターと胴体上部電線切断機の衝突で破損する事故が起きた。このほか、前方ガラス(ウインドシールド)の破損や胴体フレームの亀裂発生のような問題も相次いだ。
しかし、今回の事故がスリオンの欠陥によるものと断言するのはまだ早い。マリンオンは陸軍のスリオンを海兵隊が使用できるように改造したものだ。特に艦艇に搭載できるようにスリオンとは異なり、「折り畳み式ローター」を採用している。マリンオンにあるローター「折りたたみ装置」に問題が生じた可能性が残っている。大統領府は「昨年、監査院が指摘したスリオンの結氷問題は完璧に改良されており、スリオンの性能と技量は世界最高レベルであることについて、国防部が十分に説明する必要があるという話が午前会議で行き交った」とし、スリオンの欠陥による事故発生の可能性を否定した。
整備不良による墜落の可能性も排除できない。今回、事故が起きたヘリは、海兵隊が今年1月に引き取り、まだ6カ月しか運用していないヘリだ。軍当局は、周期的な整備でヘリコプターの性能を維持しているが、ヘリコプターはローターの揚力に依存して飛行する敏感な飛行体であるため、整備過程の小さなミスも大型惨事につながる可能性があると指摘されている。