北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の三度目の中国訪問を「労働新聞」、「朝鮮中央通信」など北朝鮮メディアが20日に大々的に報道した。労働党中央委機関紙の「労働新聞」は20日付全体6面のうち、1~4面に写真28枚を添え、金委員長の訪中初日のニュースを報じた。金委員長は今年に入って中国を3回訪問したが、訪問日程が終わる前に北朝鮮メディアが関連ニュースを速報で伝えたのは、今回が初めてだ。
「労働新聞」などの報道で特記すべきなのは、金委員長と中国の習近平国家主席が朝中関係を特に強調した事実だ。金委員長は、習主席との会談後、北京人民大会堂で開かれた“宴会”の演説で、「社会主義を守護し、朝鮮半島と地域の新しい未来を切り開いていく歴史的な道程で、中国の同志たちと同じ参謀部で緊密に協力し、協働していく」と強調したと「労働新聞」が報じた。これに対して習主席は「(金委員長の今回の訪中で)中朝両党と国の関係の不敗性を世界に誇示した」と述べた。
金委員長の「同じ参謀部」、習主席の「不敗性」は今年行われた第1~3回の会談で初めて登場した概念であり、注目する必要がある。朝中関係は「すべてを共にする味方」という政治的レトリックであるからだ。実際、朝中関係と関連した金委員長の発言は「戦略戦術的な協力強化」(3月の第1回訪中)から「身近な中国同志たちと固く手を握って進む」(5月の第2回訪中)を経て、「同じ参謀部」に強化された。朝中関係と関連した習主席の言及も「世界で無二のもの」(3月)→「運命共同体、変わらず唇歯の関係」(5月)→「不敗性」へと変化してきた。
朝中関係史に精通した元関係者は「金正恩委員長は、朝中関係を韓米同盟に匹敵する堅固な関係に発展させたいようだ」と指摘した。南側に「韓米同盟、韓中親善協力関係」があるように、北側も「朝中準同盟、朝米親善協力関係」の構築を目指しているということだ(中国は「同盟」という表現を使わない)。これに先立ち、金委員長の2回目の訪中直後、朝中関係の専門家でもあるイ・ジョンソク元統一部長官は「金正恩の朝中関係の強化戦略は、非核化以降まで見据えた策略」とし、「韓米関係のミラーモードのような中朝関係を構築しようとしている」と分析した。“善意”より“客観的力関係”を信用する冷徹な現実主義者の金委員長が「類は友を呼ぶ」という認識を示しているという指摘だ。
金委員長と習主席は、人民大会堂で行われた会談で、「朝米首脳再会の結果とそれに対する評価や見解、立場を確認」し、▽「朝鮮半島の非核化解決の見通しをはじめ共同の関心事の一連の問題」に関して▽「有益な意見交換が行われ、議論された問題で共通認識に至った」と、「労働新聞」は報道した。金委員長は、中国が朝米首脳会談と関連し、「積極的で心のこもった支持と素晴らしい支援を行ったことについて、謝意」を表し、習主席は「朝鮮半島の非核化の実現に向けた朝鮮側の立場と決心を積極的に支持する」としたうえで、「中国はこれからも引き続き建設的な役割を発揮していく」と述べたと「労働新聞」は報じた。金委員長と習主席の会談に北朝鮮側の陪席者は3月と5月の会談同様、金英哲(キム・ヨンチョル)・リ・スヨン労働党副委員長、リ・ヨンホ外務相の三人だけだ。