北朝鮮は中国の役割を認め、中国は対北朝鮮経済協力を示唆
金委員長「中国と共に平和体制を推進」
習主席「朝鮮の経済建設の決定を歓迎する」
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の3度目の電撃訪中は、北朝鮮の外交文法や一般的な首脳外交の観点から見ても型破りなものだ。
北朝鮮指導者が3カ月間で中国を3度も訪問したのは初めてだ。一国の首脳が特定国をこのように頻繁に訪問したのも、首脳外交史上極めて異例のことだ。今年3月から展開された朝米首脳会談の局面で、朝中関係が互いに死活的利害を有していることを確認するものと言える。金委員長の訪中が当日、中国官営メディアによって確認され、一般的な首脳外交にふさわしい公開的かつ大々的な儀典が行われたのも、朝中関係の“自信”を反映している。
金委員長の北京訪問の主な目的は、朝米首脳会談の局面をめぐる両国関係の強化・調整にあるものと見られる。中国は朝米関係の改善を支持してきたが、南北首脳の板門店(パンムンジョム)宣言後に提起される朝鮮半島における平和体制の樹立について、敏感な反応を示してきた。板門店宣言は「南と北は、停戦協定締結から65年になる今年に終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に切り替えて、恒久的で堅固な平和体制構築に向けた南北米3者または南北米中4者会談の開催を積極的に推進する」と規定した。これをめぐり、中国メディアは朝鮮半島終戦宣言や平和体制の構築における中国の役割が米国に比べて縮小されるとして懸念を示した。
このため、冷戦時代に中ソ等距離外交を展開した北朝鮮が米中等距離外交を駆使しようとしているという分析まで出た。しかし、朝米首脳会談の節目ごとに金委員長が中国を訪れたのは、等距離外交よりも、中国との強固な関係を対米外交におけるテコに活用するためと見られる。
中国もこれに応えている。中国外交部は、朝米首脳会談当日の12日、北朝鮮の非核化履行に相応する国連安保理の制裁緩和を呼びかけた。また、中国が進めてきた「双中断」(北朝鮮の核・ミサイルの実験と韓米の大規模な軍事演習の中断)及び「双軌並行」(非核化と平和体制への転換の並行)が実を結んでいると評価した。
ドナルド・トランプ米大統領は金正恩委員長との会談直後の記者会見で、韓米合同演習の中断を電撃発表する一方、中国を朝鮮半島終戦宣言と平和協定の当事者と認める発言をした。ク・ガプ北韓大学院大学教授は「朝米の間で中国の役割が話し合われており、北朝鮮が中国を積極的な当事者にした」とし、「うまく進めば、中国が国連安保理で対北朝鮮制裁の緩和案などを提出する可能性もある」と分析した。
金委員長は、習主席との会談で「朝鮮は中国が（朝鮮）半島の非核化と平和安定の保護の面で発揮した重要な役割に感謝し、高く評価する」とし、「中国及び関係各国と共に朝鮮半島の持続的で堅固な平和体制を作るように推進」すると明らかにした。習主席も「中国の社会主義朝鮮に対する支持は変わるはずがない」と強調した。金委員長は朝鮮半島における中国の役割を積極的に認め、習主席は北朝鮮に対する中国の支持を保障したわけだ。
中国との経済協力も主要議題とみられる。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「朝米会談に対する説明なら実務責任者を派遣するだけで良いが、金委員長が自ら訪中したのは、大規模な経済協力などを保障してもらうためとみられる」とし、「中国からの経済協力と経済発展のビジョンの保障は日本との関係でも交渉力を高める」と指摘した。ある消息筋は「金委員長が北京を経て長春を訪問し、現場を視察する形で朝中協力を協議するという情報がある」と伝えた。これと関連し、習主席は「朝鮮が業務中心の経済建設に転じるという重大な決定を下したことを嬉しく思う」とし、「朝鮮経済の発展と民生の改善を支持する」と強調した。
訳H.J
