10日昼12時10分、セウォル号がある全羅南道木浦(モッポ)新港。埠頭内のスピーカーから「船体の直立を完了した」という声が聞こえてきた。珍島(チンド)付近メンゴル水道で倒れてから4年1カ月ぶりのことだ。安全線の外にいた遺族から拍手と涙が沸き起こった。
チョン・ミョンソン4・16家族協議会運営委員長は「歴史的・象徴的な瞬間だ。未来世代に安全な社会を伝えるための第一歩を踏み出した」と話した。故ホ・ダユンさんの母親パク・ウンミさんは「ヒョンチョルとヨンインなど未収拾者5人を一日も早く探して、家族のもとに返してほしい」と話した。
セウォル号の船体調査委員会(船調委)と用役会社の現代三湖重工業は同日、約3時間10分をかけて船体を直立させるのに成功した。1万トン級の海上クレーン「現代-10000号」はぎっしり並んだ134の鎖に水平ビーム33本と垂直ビーム33本をぶら下げ、少しずつ船体を立ち上がらせた。風や波など現場の気象条件は良好だったが、ヘリコプターやドローンが上空をせわしなく飛ぶなど国民の視線が集中した。重心が水平ビームから垂直ビームに移動した瞬間、鈍い摩擦音が聞こえ大小の鉄片が落ち、遺族らを緊張させる場面もあったが、作業は無事に終了した。ユ・ヨンホ現代三湖重工業専務は「船体は埠頭の床から直角に立っている。当初、地面に横たわったとき4.5度だったため、作業の角度を94.5度にしてまっすぐに立てた」と説明した。
直立を終えたセウォル号では、未収拾者の捜索と事故の原因調査が本格的に行われる。先に6月14日までに水平ビームを撤去し、鉄の鎖を解体するなど準備を進める。海洋水産部は6月中旬から3週間、進入路を開設し、照明灯を設置するなど、内部捜索を準備する。さらに、7月上旬から8月中旬まで5週間ナム・ヒョンチョルさん、パク・ヨンインさん、ヤン・スンジンさん、クォン・ジェグンさん、クォン・ヒョッキュ君など5人の遺体を探すための精密捜索を行う。追加捜索は、沈没の際に床とぶつかって押され、近づけなかった3~4階の船首側の男子生徒の客室や泥が積もっていた補助機関室、測計室、船尾横推進室などの機関区域を中心に行われる。船体の面積の10%に該当する区域だ。
船調委は8月6日まで事故原因を調査する。船調委は「船体の外観を見ると、衝撃による陥没や損傷は見られない。ただし、何かが左舷安定器を後面側から船首に向けて擦れた痕跡があるという主張は、究明の必要がある」と伝えた。キム・チャンジュ船体調査委員長は「『潜水艦による衝撃説』や『アンカー沈没説』などの疑惑を解消する方針だ。あらゆる可能性を考慮して沈没原因を調査し、再びこのような惨事が繰り返されないようにする」と述べた。