脱北者団体の「自由北朝鮮運動連合」が、政府の自制要請にもかかわらず、5日に京畿道坡州市(パジュシ)烏頭山(オドゥサン)統一展望台で、対北朝鮮ビラ撒きを強行すると発表した。一方、坡州地域の市民団体や住民らはビラ撒きを阻止する集会を開く予定であり、衝突が懸念される。
自由北朝鮮運動連合は4日、報道資料を通じて「5日昼12時、烏頭山統一展望台駐車場で第15回北朝鮮自由週間行事を開き、『事実と真実の手紙』である対北朝鮮ビラ撒きを実施する」と明らかにした。また、「つい先日まで毎日のように残忍な処刑や核実験、ミサイル挑発で恐怖を広げ、大韓民国と世界を脅迫してきた金正恩(キム・ジョンウン)が、急に偽りの対話攻勢と偽善、平和攻勢に出ただけで、韓国社会は盲目的平和ムードに陶酔している」と主張した。
これに先立ち、統一部当局者は対北朝鮮ビラ撒き団体に大乗的見地から行事の自制を要請したが、同団体は強行の意思を明らかにしてきた。
これに対し、同地域の市民社会団体の「我が同胞一つ運動本部」坡州支部は、対北朝鮮ビラ撒きを阻止するため、同じ場所で反対集会を開く予定だ。同支部は烏頭山統一展望台と統一園の入口など、3カ所に集会申告をして対北朝鮮ビラ撒きの行事に対抗する計画だ。
同阻止集会には同本部を始め、坡州地域の環境・宗教団体のメンバーや商店街住民など、約20人が参加する予定だ。
アン・ジェヨン坡州同胞運動本部代表は「参加者たちは全員坡州を生活の基盤としており、数十年間にわたり接境地域で被害を受けてきた。首脳会談以降、南北関係の雰囲気が良くなったのに、対北朝鮮宣伝ビラを撒くと再び悪化すると思い、集会を開くことにした」と話した。
坡州警察署は、南北首脳が「板門店(パンムンジョム)宣言」で軍事境界線周辺におけるビラ撒きの中止に合意したため、地域住民の安全を考慮し、制止に乗り出す方針だ。
警察は警察官職務執行法第5条(危険発生の防止など)に基づき、彼らの行事を防ぐ計画だ。また、対北朝鮮ビラを大型風船に吊るすために利用するガス車両は危険物安全管理法違反に、対北朝鮮ビラが大量に国内に落ちた場合は軽犯罪(ごみの投棄)に、それぞれ該当するものと見ている。警察関係者は「行事をする前に自制してほしいとまず説得し、それでも強行する場合は、危険発生の防止のため行事を制止する方針」だと話した。