文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近である共に民主党のキム・ギョンス議員の「インターネット世論操作事件」関与疑惑が、政局の争点に浮上した。1月に集中的にインターネット・ポータルで文在寅政府を批判するコメントを書き、該当コメントの推薦数を操作した疑いで拘束された3人が、民主党員であることが明らかになり、主犯格のK氏が昨年の大統領選局面でキム議員と接触していた事実が14日、明らかになったからだ。だが、キム議員はただちに記者会見を開き、K氏が昨年の大統領選挙当時、自発的に文在寅候補を広めるオンライン活動を行い、自分に無理な人事請託をし、断ったところ反感を抱いて違法な「マクロプログラム」を使用して「現政府を悪意的に非難したのがこの事件の本質」だと反論した。文大統領と近い自分が、現政府を批判する世論操作に介入する理由は全くないということだ。今回の論議は民主党の告発で捜査が始まったが、当該事件にキム議員の名前が登場したことで野党の攻勢に広がる形となった。
■民主党の告発、捕らえてみたら民主党党員
民主党はネイバーなどポータル記事につけられた文在寅政府を批判するコメントの推薦数を上げるために「マクロ」が違法に使用された情況が濃いとし、当該事例を収集し1月31日にソウル地方警察庁に告発した。「マクロ」は一度に複数のコメントをつけたり、コメント推薦数を急増させるプログラムだ。ところが、今回マクロ使用コメント操作の疑いで拘束された3人が民主党の党員であることが明らかになった。ただし、彼らは大統領選挙期間ではない今年の1月15日に「マクロ」を購入し、17日に当該プログラムを初めて使用したという。
ドゥルキング「与党寄りのパワーブロガー」
かつてキム・ギョンスに政治後援金
人事請託拒否されてコメント操作?
「マクロプログラム」1月に購入
キム・ギョンス議員の釈明
「ドゥルキングは初対面…先方から手伝いたいと連絡
テレグラムのメッセージを一方的に送り
無理な要求を拒絶すると、不満を抱いた」
大統領府関係者の接触説
被疑者の携帯電話でやり取り
自発的に与党を支持していた昨年初めか
コメント操作した今年初めか、疑問
彼らのうちK氏は、インターネットで「ドゥルキング」という名前で活動していた現与党寄りの有名なブロガーだった。彼は2014年から小口株主運動を目標に掲げた「経済的共進化の会」(経共会)も運営した。会員数2500人あまりの経共会は1月、ソウルのある大学で安煕正(アン・ヒジョン)前忠清南道知事の講演会を開くなど、活発に活動した。彼は警察で「保守勢力がしたものと見せかけるためコメントを操作した」と語ったという。
■「ドゥルキング」とキム議員の関係は?
今回の事件はK氏とキム議員が「数百件のメッセージを交わした」という一部マスコミ報道が出たことで、キム議員の関与疑惑に飛び火した。野党は二人が緊密な関係を維持し、キム議員が大統領選の局面から世論操作に介入したのではないかと疑っている。だが、キム議員はK氏が大統領選挙期間に会った複数のオンライン活動支持者の一人だったに過ぎないと明らかにした。彼は「ドゥルキングが昨年(2月から本格化した)大統領選予備選挙の前に文候補を手伝いたいと連絡が来たので会った。その前には一面識もなかった」と話した。特に彼は「『テレグラム』のメッセージを数百件交わしたというのは事実ではない。自分たちの(オンライン)活動の大半を(テレグラムで)一方的に送ってきた。私は儀礼的に感謝を送ったことがあるが、相談するようにメッセージをやり取りしたことはない」と反論した。ただ、彼は大統領選以降、多くのテレグラムのチャットルームを消去し、K氏が送ったメッセージは残っていないと明らかにした。
■人事請託拒否の後に急変?
キム議員は、大統領選当時文候補を手伝ったK氏などが1月に文在寅政府を批判する世論操作に取り組んだ理由は、人事請託を拒否したことに対する不満のせいだと推測した。彼は「大統領選挙が終わった後、『ドゥルキング』と言う人が無理な人事を要求し、請託が受け入れられないと相当な不満を抱いていたと感じられた」と話した。民主党ではK氏が請託したポストが日本の大阪総領事だったという話が出ている。野党は大統領選挙期間中「ドゥルキング」の実際の活動の重要性を把握するためにも、キム議員が該当の人事依頼内容を具体的に公開するよう要求している。
■追加で明らかにしなければならないことは
警察は、K氏らの犯行動機の把握に捜査力を集中している。K氏が「保守勢力がコメント工作をしたように見せかけようとした」と供述したとされているが、民主党や進歩陣営の立場では何の実益もないだけでなく、民主党員としては事実上「自害」に近い行為だからだ。特に彼が違法行為をした1月は、すでに検察の捜査で保守政権のコメント工作が世間にあらわになった時だ。むしろキム議員の主張どおり、人事請託が拒否されると自分の影響力を誇示し相手を圧迫しようとした意図である可能性が大きい。
ただ、警察が捜査過程で把握したという釈然としない情況は、また違う変数として作用しうる。警察はK氏など被疑者らの携帯電話を押収し分析する過程で、彼らが現在大統領府に勤務中の関係者にも連絡してきた情況を捉えたと伝えた。だが、彼らが大統領府関係者と主に接触した時点が、文在寅候補を自発的に手伝った大統領選挙前なのか、今年1月にコメント推薦数を操作した時点まで持続したのかなどは確認されていない。彼らがいつから、どのような内容で連絡を交わしたのかによって、事件の波紋が大統領府に広がる可能性も排除できない。
警察は被疑者のK氏側とキム議員の関係にも注目している。警察は彼らの口座を追跡する過程で、キム議員に政治後援金500万ウォンが入金されたと把握している。後援金の最大限度(500万ウォン)を超えない正常な後援だが、警察は今まで明らかにされたことよりも両者がもっと近い間柄だったのかを調べている。これに対しキム議員側は「被疑者K氏の名義で後援金が入ってきたのは2016年11月に入金された10万ウォンがすべて」と明らかにした。