12日、最高裁判所(大法院)が移動体通信事業者の通信料金の原価関連資料を公開するように判決したことは、通信サービスの公共的性格を認めたもので、今後通信料金の引き下げ関連の政府政策などを後押しするものとみられる。
通信産業は限られた資源である周波数を基盤にするため、政府の厳しい規制を受ける分野の一つだ。電気通信事業法によると、全ての基幹通信事業者は、科学技術情報通信部に利用約款を申告するか、認可を受けなければならず、料金算定の根拠資料の提出も義務付けられている。科学技術通信部は通信事業者から毎年別途の会計基準に従って作成された営業報告書を提出してもらい、これを検証する権限を持つ。「電気通信事業会計区分」(科学技術通信部告示)によると、電気通信サービスの「総括原価」は「事業費用+事業報酬」で構成されている。事業報酬は有形資産や在庫資産などの「事業資産」に「事業報酬率」を乗じて算定する。事業報酬率は政府が決める。
最高裁は、このように政府が料金算定を検証する過程で、移動通信会社から提出された関連資料を公開するように判決したものだ。移動体通信事業者らは「企業の営業秘密に該当する」と反発したが、最高裁は「公益的要請がさらに大きい」と一蹴した。最高裁は、移動体通信サービスが電波と周波数という公的資源を利用して提供されており、国民全体の暮らしと社会に重要な意味を持つという点▽公正で合理的な価格で提供されるべき必要ないし公益が著しい点▽これに向けた国の監督・規制権限が適切に行使されているかが透明に公開されるべき必要性が大きいという点を強調した。
今回の判決は、二つの方向で通信料金の引き下げの圧迫につながる可能性がある。第一に、公開された原価算定の資料が検証され、これまで移動体通信事業者らの料金算定が適切かどうかを判断できるようになるという点だ。第二に、通信サービスの公共的特性を裁判所が強調したことで、今後、政府と国民が適正水準の通信料金を要求できる正当性を確保したという点だ。
このような可能性のため、判決が出た後、移動体通信事業者らは一斉に憂慮を表明した。ある移動体通信事業関係者は「民間企業の営業上重要な情報が保護されず、公開される恐れがあり、残念に思う」とし、「特に今回の判決は、企業の営業と関連した一部情報の公開の可否を判断したもので、一部で主張する料金水準の適正性事案とは関係がない」と話した。他の移動体通信事業関係者も「世界的に通信サービスの原価を公開する事例が全くない」としたうえで、「原価補償率を料金引き下げの根拠にするのは不適切だ」と強調した。
現在、政府の通信料金引き下げ政策は低迷している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が大統領候補時代に公約として掲げた基本料の廃止は、長期検討課題として先延ばしになっており、代わりに普遍料金制が推進されているが、国会議決の見通しが立たない状況だ。しかし、今回の判決が基本料の廃止運動などを後押しする可能性はある。科学技術通信部は同日、「今回の判決は移動通信の公益的重要性をもう一度確認させたきっかけだと認識しており、これからも国民が実感できる通信費の軽減に向けてさらに努力する」と明らかにした。