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闘争チョッキ・赤いはちまきは過去のもの…「SNS労組」現る

登録:2018-04-05 06:13 修正:2018-04-05 08:57
労働者たちとの接点広げるSNS労組活動 
身近なアプローチで労組の活力をアップグレード 
保育労組、保育政策への署名集め政府に提出 
パリバゲット、インスタグラムで組合員を募集 
看護士連帯、カカオトークの団体チャットで環境改善活動
民主労総全国化学繊維食品産業労組パリバゲット支会のインスタグラムからキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 戦闘的な闘争スローガンや赤いはちまき、旗をかかげる集会だけが労働組合の活動の全てではない。最近はインスタグラムやBANDなど、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で武装した労働組合が労働者たちとの接点を増やし、企業と社会の変化を率いている。

 民主労総公共運輸労組保育協議会(保育教師労組)は、10年以上活動してきた労働組合がSNSを通じて活動半径を広げた代表的な事例だ。保育労組は2005年に労組として登録したが、なかなか組織を拡大できなかった。全国4万カ所の私設保育園に散らばった30万人以上の保育士たちと接点を見出すことは難しかったからだ。しかし3年前、SNSに「保育師BAND」を開き、活路を見い出した。1000人以上のBAND参加保育士らが現場から意見を出し、執行部と活発な討議を行ったことで、活動参加率が大きく高まった。

 2016年10月には初めて「全国保育労働者の集い」の行事まで開くことができた。昨年2回の集いには400人以上が出席し、希望を分かち合った。キム・ホヨン保育協議会苦情相談センター長は「BANDを通じて政府の保育政策の問題点を知らせ、1万人以上の署名を集めた」とし、「労組加入の問い合わせも昨年初めより3倍ほど増えた」と話した。

 SNSは事業場ごとに散らばった労働者を一つに束ねることにも有用だ。昨年の違法派遣問題を機に設立された民主労総全国化学繊維食品産業労組パリバゲット支会には、インスタグラムを通じて全体組合員約800人の30%ほどが加入した。パン職人やパティシエたちが自分たちが作ったパンやケーキの写真を自慢するため、イメージ中心のプラットフォームであるインスタグラムを多く使っているという点に着眼した労組加入勧誘のおかげだ。労組はインスタグラムの掲示物に違法派遣の問題点を知らせ、労組加入申請のリンクを共有した。

 イム・ジョンリン・パリバゲット支会長(34)は「SNSがなければ全国に散らばっているパン職人やパティシエたちに組合を作った理由と会社の問題を知らせる方法がなかった」とし、「特に、キッチンで一人で働く時間が多いパン職人らは見知らぬ人が訪ねてきて話しかけること自体を嫌う場合が多く、当事者が直接労組に関心を持って参加するようにした方式が効果的だったようだ」と説明した。

 労働条件を公論化するのが難しかった労働者たちもSNSを通じて組織化を試みている。先月、ソウル峨山病院の故パク・ソンウク看護師追悼集会を主催した看護士連帯は、昨年「聖心病院看護士の余興ダンス事件」を機に作られたカカオトークのオープンチャットルームで結成された会だ。現在、看護師と看護大学生など約40人が活動している同会は、看護界の悪習であるいじめに近い厳しい後輩指導の根絶と「看護婦1人当たりの担当患者数の法制化」の必要性を知らせる集会などを開いている。

 イム・ジュヒョン看護士連帯代表(29)は「看護士たちは、ひんぱんな離職と退社、3交代勤務の日程で労組加入率が低く、中小病院の場合には労組がほとんどない」とし、「同様に苦しんでいるにもかかわらず、互いに異なる病院に属しているため交流が難しかった看護士たちが、SNSで共感を形成し、看護士たちの声を代弁することになった」と話した。

 イ・ビョンフン中央大学社会学科教授は「これまでオフライン活動を中心としていた労働運動が、積極的な組織化に向けて新たな試みをしているものとみられる」とし、「このような試みが単なる“オンライン広報”のレべルを超え、実際労働者たちの苦情と問題点を積極的に解決すれば、波及効果がさらに大きくなるだろう」と分析した。

ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/839099.html?_fr=st1韓国語原文入力:2018-04-04 21:14
訳H.J

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