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李明博のわいろが朴槿惠より罪質が悪いと言われる三つの理由

登録:2018-03-14 23:04 修正:2018-03-15 09:43
(1)鮮明な見返り関係(2)直接授受(3)タコ足式のわいろ授受
わいろ授受・横領・租税脱漏などの疑惑を受けている李明博元大統領が14日午前、ソウル市瑞草区のソウル中央地検に被疑者身分で出頭している=共同取材団//ハンギョレ新聞社

 14日、李明博元大統領を召喚した検察の捜査チームは、調査前から捜査の結果に自信を表わした。捜査チームが明らかにした李元大統領のわいろ授受疑惑などは、非常に直接的で露骨なので立証が難しくないという判断のためだ。検察は「李明博のわいろ」は、隠密にやりとりしていて対価関係が鮮明でなかった過去の「大統領贈収賄罪」とは様態が違うと見ている。法曹界でも、贈収賄罪だけを見れば、1年前の朴槿恵(パク・クネ)前大統領と比較しても罪質がさらに悪いと評価されている。

対価関係が鮮明な単純わいろ

 李明博わいろは、まず支援金にともなう利益提供などの反対給付が鮮明だ。キム・ソナム元ハンナラ党議員が比例代表選挙の前順位公認の見返りに4億ウォン(約4千万円)を渡した疑惑や、“サービスエリア財閥”のチェ・ドゥンギュ大宝グループ会長が、公共工事受注の便宜をはかってもらう見返りに5億ウォン(約5千万円)を渡した疑惑、イ・パルソン元ウリィ金融持株会社会長が会長職を得る見返りに22億5千万ウォン(約2.25億円)を渡した疑惑が代表的だ。

 これにとどまらず、サムスンによるダースの米国における訴訟費約60億ウォンの代納も、イ・ゴンヒ会長の一点特別赦免との関連性が濃厚だ。17億5千万ウォン(約1.75億円)に達する国家情報院支援金の上納は、機関便宜の提供などで資金の反対給付の性格が明らかにマッチングされる。法曹界のある関係者は「どのケースでも供与者らが数億から数十億ウォンの大金を善意で与えるということは常識的でない」とし「李元大統領が大統領、もしくは大統領になる可能性が極めて高い時点に金銭を渡したという点で、わいろである可能性が高い。単純に政治資金と見て『公訴時効(7年)が過ぎた』という弁解は通じにくい」と見通した。

 検察が1年前に朴槿恵(パク・クネ)前大統領に贈収賄罪を適用し、多少複雑な対価関係を提示したこととも比較される。当時検察は「サムスンのイ・ジェヨン副会長が経営権を安定的に継承できるよう暗黙的請託をした」と説明したことがある。

 このような特徴のために、検察は李元大統領に「包括的贈収賄罪」や「第三者贈収賄罪」ではなく「単純贈収賄罪」を適用する方針だ。包括的贈収賄罪は、強大な影響力を行使できる位置にある者に支援金が行き来したとすればその対価関係が漠然としていても適用されうる。1997年の全斗煥(チョン・ドゥファン)・盧泰愚(ノ・テウ)元大統領に対する最高裁(大法院)宣告を契機に「大統領わいろ事件」で常連のように適用された。当時最高裁は「わいろは大統領の職務に関連して供与されたり授受したことをもって足りる。個々の職務行為との対価的関係にある必要はない」と明らかにした。

国家情報院特殊活動費および不法資金授受疑惑、ダース関連疑惑を受けている李明博元大統領(77)が14日午前、被疑者身分でソウ瑞草洞の中央地検に出頭している=共同取材団//ハンギョレ新聞社

「自身の個人的利益のための直接授受わいろ」

 李明博わいろ疑惑がすべて「直接授受」であると把握された点も特徴だ。中間に側近のキム・ペクチュン元大統領府総務企画官や長女の婿であるイ・サンジュ・サムスン専務、実兄のイ・サンドク元議員などの伝達者が挟まっているだけで、資金の“最終終着地”は李元大統領だと検察は見ている。「供与者が請託と共に授受者に金銭を渡す」単純わいろ犯罪の構造だということだ。検察関係者は「直接的に授受者個人の財産的利益のための犯罪が多いことが(MBわいろ疑惑の)特徴」と指摘した。

 1年前、朴前大統領に適用されたわいろ疑惑は「間接授受」であった。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が経営権継承などの見返りに共謀関係にあるチェ・スンシル氏に433億ウォン(約43億円)を支給したり、支給を約束したということが骨子であった。検察の捜査初期には、朴前大統領のポケットに流入した資金はあらわれず、「一銭の私益も得なかった」という朴前大統領の抗弁もここから出発した。しかしその後、検察の追加捜査を通じて、朴前大統領が国家情報院から約40億ウォン(約4億円)の上納を受けた「直接授受」疑惑が追加された。

親族・側近を大挙動員したタコ足式のわいろ授受

 わいろ授受に、自身の側近や親族を大挙動員し、タコ足式にわいろを取り込んだ形態も“李明博わいろ”疑惑の特徴だ。朴前大統領が民間からわいろを授受する際に、ベールに包まれたチェ・スンシル“1人”を活用し、ひそかに進めたこととは対照的だ。

 タコ足式授受が大胆で露骨になされた点も目につく。ダースの実所有疑惑は、2007年の大統領選挙過程で当落を左右する程に重要で深刻なイシューだったが、この時期にダースの米国内での訴訟費用をサムスンに要求したことなどが、李明博わいろの大胆なスタイルを反映した代表的な事例と言える。就任2年目の2009年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の捜査が進行される前後にわいろ授受が続いたと見られる点も、李明博わいろの非道徳性を見せる部分だ。検事長出身のある弁護士は「国政壟断を起こしたという点で朴前大統領の犯罪との単純比較はできないが、わいろ疑惑だけを見れば、その犯行動機や意図など罪質がはるかに良くないと見られる」と指摘した。

キム・ヤンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/836006.html韓国語原文入力:2018-03-14 18:24
訳J.S

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