4月末に予定された第3回南北首脳会談の準備が本格化する中、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が合意する共同宣言文にどんな内容が盛り込まれるかに関心が集まっている。平壌(ピョンヤン)で開かれた2回の首脳会談とは異なり、今回の首脳会談は板門店(パンムンジョム)で開かれるだけに、首脳会談の準備作業も儀典など形式的な側面よりは議題と合意事項などの内容に焦点が当てられるものとみられる。
大統領府は12日、イム・ジョンソク大統領秘書室長を委員長とする南北首脳会談準備委員会の人選を今週初めに終える方針を明らかにした。大統領府関係者は「大まかな草案は出た状態だ」とし、「週明けに人選作業を行い、週末頃に初会議を開く方針」だと話した。これによって、首脳会談の時期や形式、会談に先立って設置・開通することで合意した南北首脳間の「ホットライン」(直通電話)など、後続協議のための南北間接触も近日中に行われるものとみられる。
今回の首脳会談は、板門店で開かれる実務的会談の側面が強いという特徴がある。また、すでに南北の最高指導者が特使の交換を通じて南北関係と朝鮮半島問題について一定の共感を持っている。さらに、今回の会談は、就任11カ月を迎える文在寅大統領が北朝鮮の金正恩労働党委員長と初めて顔を合わせる場だ。残りの任期を考えると、今後首脳会談が数回開かれる可能性もある。
5月には史上初の朝米首脳会談が予定されており、今回の会談は一種の“橋渡し”の性格もある。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「急激に進んでいる現在の情勢からして、南北首脳会談が終わった直後、朝米首脳会談が続く可能性が高い」とし、「南北関係や朝鮮半島の非核化、平和体制の論議が同時に進められるしかないという点で、4月末~5月初頭の間に南北米3カ国協議が開かれるようなもの」だと指摘した。南北首脳会談を次回の朝米会談を準備するプロセスと捉える必要があるということだ。
今回の首脳会談が持つこのような性格と意味を考えると、文大統領と金委員長は4月の首脳会談で、南北関係の発展と朝鮮半島の非核化問題について、大きな枠組みで原則的合意をする可能性が高い。それと同時に、首脳会談の定例化の具体的な形と朝鮮半島停戦体制の法的・制度的終息に向けた「ロードマップ」(マイルストーン)が提示される可能性もあるものと予想されている。2000年の6・15首脳会談が南北関係の発展の原則を提示したとすれば、2007年の10・4首脳会談はその履行案を盛り込んでいると言える。特に、南北は10・4首脳宣言を通じて朝鮮戦争の終戦宣言に向けた3カ国または4カ国協議の推進(第3項)と首脳会談の常時化(第8項)に合意しただけに、4月の首脳会談でこれを継承・発展させる方策を協議するものとみられる。
ク・ガブ北韓大学院大学教授は「今回の首脳会談の核心は、何よりも平和共存」だとしたうえで、「ドイツ統一の礎となった『東西ドイツ基本条約』(1972年)に注目する必要がある」と指摘した。当時、東西ドイツは「同等な権利の土台の上で正常な友好関係を発展させる」という原則に則って、互いに対する武力使用の放棄▽境界線不可侵▽主権の尊重▽常駐代表部の交差設置などについて、法的拘束力を備えた条約の形で合意した。
また、2人の南北最高指導者らは、今回の首脳会談で、歴代南北対話の成果をすべて尊重するという言及を通じて、過去の保守政権の合意までも受け入れる政治的宣言を行うものと予想される。