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勇気を出した被害者たち、法・制度で支えよ

登録:2018-03-01 10:35 修正:2018-03-01 17:52
「#MeToo」1カ月

●性暴力被害者支援のコントロールタワーを 
SNS・マスコミ報道を通じた暴露には構造的限界 
公的な相談・届出処理システムも備えるべき 
各分野の特殊性を理解する専門家の参加が必要 
 
●名誉毀損関連法の改正、声をそろえ 
被害暴露に「誣告・名誉毀損」逆告訴 
事実の適示にさえ「公共の利益」立証しなければならず 
国連も「事実の適示による名誉毀損罪」廃止を勧告 
 
●立法の死角地帯にいる被害者保護 
「芸術家、フリーランサーなど包括的に保護」 
ナム・インスン国会女性委員長、来週法案発議 
加害者処罰・2次被害の防止など盛り込む

2月1日午前、ソウル瑞草区の最高検察庁前で開かれた検事の性暴力事件の真相究明を求める記者会見で、ある参加者が性暴力告発運動であるMeTooキャンペーンの象徴である一輪の白いバラの花を持っている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 かたくなな沈黙の構造を破って出てきた「#ミートゥー(MeToo)運動」が、被害者たちの勇気ある証言で1カ月間続いている。しかし、被害者たちの勇気が単発で止まらず、「性暴力被害者に背を向けない社会」に向けた転換点になるには、法的・制度的補完が必要だという声が出ている。

■公的な証言のルートが切実

最近の「MeToo」は主にSNS、インターネット・コミュニティ、マスコミを通じて行われている。被害者たちの涙ぐましい努力が加害者の謝罪や真相調査への着手を導き出したが、SNSやマスコミは安定的な証言の窓口になるには不十分な点が多い。暴露をしても、加害者や被害者のうちいずれかが有名人でなければ注目されないばかりでなく、扇情的な報道や過度な身元暴きのような弊害が伴いやすい。ひとしきり世論を煽っても、他の大型事件が発生すれば沈静化する可能性も高い。このため、公的な相談・届出システムの改善が必要だという意見が力を得ている。キム・スギョン民主労総女性局長は「(性的暴力被害)届出・処理システムをちゃんと備える方法に進めなければ、被害者が被害を知らせた後に2次被害にさらされる可能性が大きい」と指摘した。専門家らは、政府が27日に公共部門を対象に「セクハラ・性暴力特別申告センター」を作るなどの対策を発表したが、公共部門だけでなく民間分野でも性暴力の支援を総括する「コントロールタワー」を作り、被害の相談・支援ネットワークを拡充しなければならないと言う。イ・ミギョン韓国性暴力相談所所長は「演劇界の被害を相談するとき、業界の特殊性を分かっている人材が配置され相談に参加するなどの代案が必要だ」とし、「民間レベルで性暴力相談組織ができる場合にも、政府がまず予算と相談に必要な教育資料などを支援しなければならない」と話した。

2月25日午後、ソウル市鍾路区のマロニエ公園で開かれた「演劇・ミュージカル観客#withyou」集会で、参加者がスローガンを叫んでいる。参加者たちは公演界の性暴行被害を暴露したMeToo参加者などに対する連帯と支持の意向を明らかにした=ペク・ソア記者

■名誉毀損処罰関連法改正の声も

「MeToo」を通じて性暴力被害事実を告白する女性たちの証言が法的にも保護されるためには、名誉毀損に関連した刑法条項を修正しなければならないという声が出ている。2016年末、SNSを通じて文化・芸術界の性暴力論争が起きると、加害者として名指しされた人物らが被害事実を暴露した人を「誣告」「名誉毀損」などで告訴する事態が相次いだ。逆告訴を受けた被害者を支援するためにクラウドファンディングを進めた女性文化芸術人団体「プシテル」は、「MeToo運動が主にオンラインで行われたので、『事実の適示による名誉毀損』で被害者が告訴される場合が多かった」とした。

 刑法307条(名誉毀損)と情報通信網法70条は「公然に事実を摘示したり、情報通信網を通じて他人の名誉を毀損した」人に対して懲役、罰金などの処罰を規定している。ただ、「真実の事実が専ら公共の利益に関するときには処罰しない」という例外条項を設けている。結局、被害者たちがこの法を避けていくためには、自分の暴露が「公共の利益」に符合しなければならないということを証明しなければならない。韓国性暴力相談所の活動家キム・ヘジョン氏は「性暴力の被害者には“暴露”という手段しかないが、権力者たちは法の規定を利用し、被害者を法的に告発し、被害者の証言を無力化しようとしている」とし、「違法性阻却事由が明示している『公共の利益』を、被害者の観点から幅広く解釈することが必要だ」と強調した。

 被害者を積極的に保護するためには事実の適示による名誉毀損罪を廃止しなければならないという声も出ている。米国やドイツなど多くの国々では、事実である場合名誉毀損罪を認めず、2015年に国連自由権規約委員会も韓国に事実の適示による名誉毀損罪廃止を勧告したことがある。パク・ギョンシン高麗大学校法学専門大学院教授は「性暴力被害者の証言の場合、社会に警鐘を鳴らすためのものでもあるが、同時に個人的被害の救済を受けるためのものでもある」とし、「自分の暴露が公益のためのものかどうかを立証する自信がない人たちは話すことができず、結局、被害者たちの証言を萎縮させるだけだ」と指摘した。

 一方、立法の死角地帯に置かれた性暴力被害者を保護する法案も近く発議される。国会女性家族委員長であり民主党のジェンダー・暴力対策TF委員長のナム・インスン議員は「性別による差別・セクハラ禁止および権利救済などに関する法律」制定案を、早ければ来週にも代表発議する予定だ。この法案は、セクハラの概念を「何人もセクハラをしてはならない」に拡大して、2次被害の防止及び救済策とセクハラ加害者処罰規定を詳細に盛り込む予定だ。ナム議員はハンギョレとの通話で「公共機関のセクハラは両性平等基本法、民間事業所のセクハラは男女雇用平等法で規定しているが、現在MeTooに関連して性暴力事件の告発に出た芸術家、フリーランサー、協会や組織に属していない人たちを包括して保護する法はない」と話した。

パク・ジュンヨン、ファン・クムビ、チャン・スギョン、ソン・ホジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/834136.html韓国語原文入力:2018-02-28 22:04
訳M.C

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