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日本軍“慰安婦被害者虐殺”映像が初めて出てきた

登録:2018-02-27 23:36 修正:2018-02-28 07:24
1944年に雲南省で米軍が撮影 
裸の死体が大量に積まれ 
「朝鮮人30人虐殺」記録を後押し 
虐殺を否定した日本の主張に正面から反論 
19秒の映像に凄惨な現場 
米軍文書「日本軍が銃殺」と明示 
発掘教授「極端な人権抹殺事例」
中国の騰衝城で集団銃殺された朝鮮人慰安婦を見せる映像が公開された。連合軍は前線が崩れる前夜「日本軍は(騰衝)城内にいた朝鮮人女性30人を銃殺した」と記録している。ある中国軍人が遺体を見ている場面=ソウル市・ソウル大人権センター提供//ハンギョレ新聞社

 日本軍が敗戦直前に朝鮮人「慰安婦」被害女性たちを集団虐殺した事実を見せる映像と文書が初めて出てきた。

 ソウル市とソウル大人権センターは27日、ソウル市庁で開かれた「韓・中・日 日本軍“慰安婦”国際カンファレンス」で、朝鮮人慰安婦被害者の虐殺現場を撮影した映像を初めて公開した。映像は、ソウル市とソウル大人権センターのチョン・ジンソン教授の研究チームが2016~2017年に二度にかけて米国立文書記録管理庁(NARA)を訪れて資料調査と発掘作業を経て公開したものだ。

 日本軍が「慰安婦」被害者を虐殺したという記録は、当時中国国民党の機関紙「掃蕩報」(1944年9月18日)など一部のメディアの記事としては残っているが、映像が公開されたのは初めてだ。これまで「慰安婦」の強制連行と虐殺を否定してきた日本政府の主張に正面から反論する資料である。

 映像では埋葬しにきたと見られるある中国軍人が、裸にされた遺体を見回し、ある遺体から靴下を脱がせる場面が出てくる。画面の片側には煙が広がり始めている。研究陣は「公開本では曇らせて処理したが、元の映像では頭がなかったり身体の一部だけが残っている遺体もあり、当時の残忍な状況をうかがわせる」と話した。

 ナチスドイツのユダヤ人虐殺現場を見るようなこの映像は、1944年9月15日に中国雲南省の騰衝で、連合軍164通信隊写真中隊のボールドウィン兵士が撮ったものだ。長さ19秒の映像の中間7秒は、騰衝城門付近、前後の6秒は騰衝城内を映している。映像を発掘したソウル市とソウル大人権センターは、同時に公開された連合軍報告文書などを通して、この映像が「当時日本軍に強制動員された朝鮮人慰安婦被害者が集団銃殺された現場」という結論を下した。

 1944年5月、米中連合軍は中国の西南側に沿って日本軍の通信線を切る「サルウィン作戦」を繰り広げ、日本軍が占領した雲南省のスンサン、騰衝、龍陵を順に占領した。敗戦が差し迫った1944年9月、当時日本の作戦参謀であった辻政信大佐は、中国のスンサンと騰衝に駐留していた日本軍に「支援兵力が到着する10月まで抵抗を続けよ」と指示した。歴史学者は、これを事実上の「玉砕(強制的集団自決)指示」と解釈している。スンサンと騰衝には朝鮮人慰安婦70~80人がいたが、玉砕を拒否した朝鮮人慰安婦被害者の大部分を日本軍が殺害したと推測される。9月14日、米中連合第54軍が午後6時55分に報告した情報文書には「9月13日夜、日本軍は(騰衝)城内にいる朝鮮人女性30人を銃殺した」と記録している。

 昨年、研究陣は日本軍慰安婦として連れて行かれたがスンサンを脱出した女性7人を撮影した写真を公開した。写真には臨月の女性が写っていたが、2000年12月に東京で開かれた「日本軍性奴隷戦犯女性国際法廷」の準備過程で写真の中の臨月の女性は自身であると明らかにしたパク・ヨンシムさんであった。当時の人名簿と捕虜記録を通じてみる時、スンサンと騰衝にいた慰安婦被害者23人は脱出し、30人は集団虐殺されたと見られる。その他に確認できない死も多い。

上の大きな写真は1997年に公開されたが明確な説明や関連資料がなく慰安婦被害者虐殺の証拠として認められるか論議があった。下の二枚の写真は今回公開された映像で、映像内の中国兵士(赤丸内)が遺体から靴下を脱がす姿が含まれている=ソウル市ソウル大人権センター提供//ハンギョレ新聞社

 1997年に中国で虐殺された朝鮮女性たちの遺体を写した写真が報道された。当時の写真には明確な説明や関連資料がなく、慰安婦被害者虐殺の証拠として認定するのに論議があった。研究陣は、戦争当時は動画記者と写真記者が一緒に活動したという点に注目して、これまで写真と共に撮影されたかも知れない映像を探してきた。今回公開された映像と写真には、同じ身なりの中国軍人が出てくる。撮影角度と遺体の状態を見る時、映像と写真は同じところで撮影されたと推定される。

 発掘を進めた聖公会大のカン・ソンヒョン教授は「当時の戦況を報告した文書はすべて受動態の文章であったが、唯一1944年9月14日の記録だけが『日本軍が銃殺した』と主体を明示した。すでに発見された写真と今回確認した映像、文書を交差分析し、慰安婦虐殺の客観的証拠として提示することができた」と話した。

 今回の虐殺動画は、日本軍が朝鮮人慰安婦被害者をどんな存在として取り扱ったかを明確に見せる資料だ。種々の軍資料から日本軍は慰安婦被害者を人間ではなく“特殊補給品”に分類し、強制的に連れてきて性的道具として使い廃棄するかのように虐殺した。

1944年9月7日スンサン地域の収容所から脱出し連合軍に捕虜として捕らえられた朝鮮人女性の写真は、日本軍が戦況が不利になるたびに“廃棄処分”しようとした朝鮮人慰安婦の境遇を伝える。右端の妊娠した女性がパク・ヨンシムさん=ソウル市ソウル大人権センター提供//ハンギョレ新聞社

 カン・ソンヒョン教授は「日本は安倍政権になって慰安婦被害者の証言さえ明確な証拠ではないとし握りつぶしてきたが、今回公開された資料を通じて戦時動員体制で強行された極端な人権抹殺事例を正面から直視しなければならない。最近の日本における修正歴史主義、証拠主義傾向を覆す事例になることを希望する」と話した。

 今回のカンファレンスに参加した「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」の小林久公氏は「日本政府は慰安婦強制連行を直接示す資料は目につかないとし、相変らず責任を否定している。だが昨年、日本の国立公文書館が日本軍がバリ島などに直接慰安婦を動員し性奴隷生活を強要した記録文書182点を内閣官房に提出するなど、慰安婦資料を通じて真実は明らかになり続けている」として安倍内閣の態度変化を求めた。

 韓国、中国、日本の慰安婦問題専門家が参加したカンファレンスで、パク・チョンエ東国大学対外交流研究院研究教授らは、男性軍人の視角で記録された残忍な動画と写真を公開する前に感じた悩みを話し「日本政府の加害責任を立証する資料はすでに豊富なのだから、今後は資料を公開する前に慰安婦の人権と個人情報を保護する方法を討論しなければならない時期」とも提案した。

ナム・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/833978.html韓国語原文入力:2018-02-27 20:37
訳J.S

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