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「李明博政府当時、国家記録院は大統領府の指示で盧元大統領の秘書官を告発した」

登録:2018-01-15 23:14 修正:2018-01-16 07:06
国家記録管理革新TFが発表 
「大統領府と緊密な協議」…135頁の書類受け取り告発状 
“ブラックリスト人物”が世界機構の役員になることも妨害
2008年7月13日、盧武鉉元大統領の私邸に保管中だった大統領記録物の回収と閲覧方法を聴取するために、ポンハ村の私邸に入っているキム・ヨンホ当時自治行政部1次官(左端)とチョン・ジンチョル元国家記録院院長(左から2人目)=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 2008年、国家記録院が「盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が記録物をポンハ村に持っていった」として告発したのは、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の企画管理秘書官室の指示に従ってなされたことが明らかになった。また、記録学者ブラックリストを作成し、記録事業から徹底的に排除する政策を推進してきたという主張が提起された。中立義務を守るべき国家記録院が、政治報復を手伝った情況が明らかになり、記録管理事業の根本的改革を要求する声も高い。

 15日、国家記録管理革新タスクフォース(TF)は、国家記録院の業務担当者23人と面談し、コンピュータ記録などを調べた結果、中立性と専門性に違反した記録管理弊害事例が多数出てきたと発表した。アン・ビョンウォンTF委員長によれば、2008年6月3日国家記録院は行政自治部長官に「(ハードディスク回収のための)高度な政務的・法律的判断が必要な事項は事前に大統領府(BH)と緊密な協議の下に推進する」と書面報告する。7月21日記録院は、大統領府から135頁に及ぶ書類を受け取り、3日後に盧武鉉元大統領の秘書官と行政官10人を検察に告発した。告発の証拠に該当する書類の大部分は、大統領府から受け取ったものだ。これまで李明博元大統領側は、盧元大統領を告発するよう記録院に指示したことはないと否定してきた。

 盧元大統領当時、大統領記録に関連して大きな議論になったもう一つの事件は、2007年南北首脳会談対話録事件だ。2013年11月、検察は盧元大統領の指示で南北首脳会談対話録の抄本を削除し、大統領記録館に移管しなかったとし、チョ・ミョンギュン現統一部長官とパク・チョンチョン元国家安全保障会議(NSC)常任委員長を起訴した。録音ファイルではない録取録を大統領記録原本と見るべきかという点を置いて攻防を繰り広げたこの事件で、記録学界の一般的な意見とは異なり国家記録院大統領記録館のK課長とK研究者は2014年裁判に証人として出席し、「会議録原本削除に該当する」と証言した。タスクフォースはこれを「国家記録院が専門性と独立性に基づいて記録管理学的解釈を提示出来なかった事例」と解釈する。シム・ソンボTF分科長は「当時の研究者などと面談した結果、中央行政機関の公務員が使う決済システムと盧武鉉政府のe支援システムの差に対する理解や国家記録院との事前議論もせずに個人的な意見を証言し、専門家としての任務を全うできなかった事例と判断される」と述べた。

“問題委員”の交替を報告した国家記録院2015年3月26日付長官報告文書『国家記録院懸案報告』//ハンギョレ新聞社

 記録院の中立性違反事例は、政権が変わった後も続く。2015年3月26日、パク・ドンフン前国家記録院長は行政自治部長官に「一部職員(主に研究職)と外部進歩左偏向人物とのネットワークが形成されていて、国家記録管理が政府の政策に反する方向で推進されている」として「22個の委員会および協議会のうち、問題委員がいる8個の委員会20人を段階的に交替推進し、2016年世界記録協議会ソウル総会の時に問題のある準備委員3人はすでに交替した」と報告した。ブラックリスト名簿は確認されなかったが、国家記録院長が記録分野の人々のブラックリストを作成したという事実を文書で残したのだ。国家記録管理委員会はその後も、ソウル総会を開催する時にイ・ソヨン現国家記録院長、イ・サンミン元国家記録専門委員、チョ・ヨンサム・ソウル市情報公開政策課長は必ず排除しろと指示した。

 イ・サンミン元委員(60)は、2014年10月世界記録協議会国際総会学術委員長に任命されたが、突然取り消された。この委員会は、委員はただ1人を残して全員交替させられた。その後、イ元委員が国家記録院は実施した教育・国際プログラムで行った講演などはすべて取り消された。イ元委員は、大統領指定記録物制度作業に参加し、1997~2005年まで勤務し政府記録管理革新委員会実務チーム長を務めた人だ。チョ・ヨンサム・ソウル市情報公開政策課長は、2008年教育科学技術部記録研究者として仕事をして、ハンギョレに「大統領指定記録物は必ず保護されなければならない」というタイトルの寄稿を書き、突然果川(クァチョン)科学館に異動発令を受けた。彼らは「盧元大統領当時に大統領記録管理法の制定に参加したり記録の中立化を要求してきた人々は徹底的に排除された」と主張する。“問題委員”として名指しされたイ・サンミン元委員が、東アジア記録協会事務総長に内定していながら、国家記録院長が立ち上がり中国に事務総長の席を渡してまで阻止するなど、国内外でブラックリストを積極的に管理してきた情況もあらわれた。

15日、国家記録院“ブラックリスト”による被害状況を証言するイ・サンミン元国家記録院専門委員=ナム・ウンジュ記者//ハンギョレ新聞社

 国家記録院は2014年12月、故シン・ヨンボク聖公会大教授(1941~2016)の思想を問題視して、彼が書いた「大統領記録館」の表札板を交替した。この表札板は、2008年に大統領記録館がオープンした時からかかっていたが、2013年にある保守団体が嘆願を提起した。大統領記録管理専門委員会は、前例もなく1個の民間団体の嘆願を案件に上げて、二度の議論を行い、その過程で一部の委員が「シン教授が完全に転向したのか疑わしい」と主張した。

大統領記録管理専門委員会は「転向が疑わしい」として、シン・ヨンボク教授が書いた表札板(写真上)を変えもした。下が新たに変えた表札板=大統領記録館提供//ハンギョレ新聞社

 タスクフォースは「今回の調査で国家記録院長が特定の人々の差別と排除に関し報告したという証拠があらわれただけに、国家記録院がパク・ドンフン前記録院長を告発すること」を勧告した。また、大統領指定記録物制度で大統領指定記録物の閲覧、資料提出、回収権限を明確にし、大統領記録物の流出および破棄に対する処罰を強化するなど、制度的な改革も要求した。パク・ドンフン前国家記録院長は、特定人士の差別・排除を長官に報告したことは認めているが「8個の委員会と20人は実体もなく履行もされていない」として、違法性はないと主張している。

ナム・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/827840.html韓国語原文入力:2018-01-15 19:46
訳J.S

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