ダース「虚偽陳述」暴くことができるだろうか
李元大統領当選直後、特検捜査がなされ
当時、役員も経理も容疑を否認
「大統領当選者を誰が向こうに回せるか」
李明博(イ・ミョンバク)元大統領の「不正な財産」を暴き出すための検察による「ダース秘密資金」捜査が26日から本格化する。
ムン・ムイル検察総長の指示により、ソウル東部地検に設置された特別捜査チーム(チーム長 ムン・チャンソク・ソウル東部地検次長検事)がこの日から稼動し、すぐに告発人など関連者の調査と家宅捜索、資金追跡を始めるものと見られる。検察内部では、捜査チームが何日も残っていない公訴時効、10年前のBBK特検での虚偽陳述との戦いをどのように行うかに捜査の成敗がかかっていると話す。
■公訴時効との戦い
民主社会のための弁護士会と参与連帯が出したこの事件の告発状には、李元大統領の名前がない。(株)ダースに対する李元大統領の法律的所有関係が確認されていないために、両団体はひとまず「姓名不詳の実所有主」とのみ書いた。したがって、検察の捜査は名指しされたチョン・ホヨン元特別検察官の特殊職務遺棄(特定犯罪加重処罰法違反)の疑いを明らかにすることから出発するものと見られる。この犯罪の10年の公訴時効は来年2月21日に到来し、捜査チームの発足日である26日を基準として58日しか残っていない。
チョン・ホヨン前特検に対する捜査は、(株)ダースの租税脱漏疑惑と連動している。特定犯罪加重処罰法の特殊職務遺棄は、「特定犯罪加重処罰法に規定された罪を犯した人を認知し、その職務を遺棄した場合」にのみ成立するためだ。再び租税脱漏の有無を糾明するには、横領(特定経済犯罪加重処罰法違反)を通した部外資金(秘密資金)造成の有無と規模を確認しなければならない。検察関係者は「特定犯罪加重処罰法の租税脱漏に該当するほどに毎年秘密資金が造成されたか、ダースでそのような犯罪が起きた当時、李元大統領が重要幹部の任免、会社の重要意志を決める実質的『運営権者』であったかなどが今回の捜査のカギになるだろう」と話した。
李元大統領がこの事件の主犯であることが明らかになれば、公訴時効にはまだ余裕がある。2004~2007年にかけて、横領と租税脱漏を通した秘密資金造成がなされたとすれば、公訴時効は10年だが、彼の大統領在任中の5年間(2008年2月~2013年2月)は公訴時効の進行が停止するためだ。
■ “虚偽陳述”との戦い
チョン・ホヨン元特検は、検察が特別捜査チームの構成を発表した22日、「報道資料」を出し「捜査の結果、李元大統領がダースの実質的所有者であるという証拠は見つからなかった」と繰り返し明らかにした。当時こうした結論が出たのは、(株)ダース関連者の虚偽陳述が決定的だったと検察は見ている。BBK特検は2008年1月15日に公式スタートし、2月21日に捜査を終えた。李元大統領が当選者身分である時だ。
検察関係者は「特検捜査の時、ダースの役員も経理も徹底的に疑惑を否認する陳述をしたと聞いた。数日後には大統領に就任する人に対して(実際の所有主に)間違いないと言える人がどこにいるか」として「今回の捜査チームは、当時のこの虚偽陳述を暴かなければならないが、今は個人的横領の公訴時効もみな過ぎてしまって、テコとなる道具も見当たらない」と話した。
チョン・ホヨン元特検が、報道説明資料で「秘密資金ではなく職員個人の横領という事実を確認した」と明らかにした点を念頭においての発言だ。チョン・ホヨン元特検が、当時この“職員”を検察に引き渡さずに捜査を終結してしまった結果、何の処罰もなくやり過ごされ、今は公訴時効も完成されて検察が使える“武器”に適当なものがないという意味だ。チョン・ホヨン元特検が言及した“職員”は、ダース秘密資金と疑われる口座を管理した張本人だと知られている。
検察の別の関係者は「職員個人の横領なら“消費”をしてこそ当たり前だが、その職員が引き出した資金は数億ウォン台に過ぎず、残りの多くの資金は特定口座にそのまま残っていたという」として「チョン・ホヨン元特検が出した報道資料が、むしろ疑惑を深めただけになった」と話した。