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国家保安法違反の疑いで警察調査を受けた「平壌市民」キム・リョンヒ氏

登録:2017-12-13 06:05 修正:2017-12-13 07:32
北朝鮮離脱住民キム・リョンヒ氏、国保法違反の疑いで警察で取り調べ 
キム氏「私は平壌市民、北朝鮮に送還してほしい」 
記者会見直後、警察調査…20分間黙秘権を行使
今月12日午前、ソウル鍾路区玉仁洞のソウル警察庁保安捜査隊の前で、北朝鮮離脱住民のキム・リョンヒ氏と「平壌市民キム・リョンヒの送還を求める会」が警察の捜査に抗議する記者会見を開いている=イム・ジェウ記者//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮への送還を求めていた北朝鮮離脱住民のキム・リョンヒ氏(48)が国家保安法違反の疑いで警察の取調べを受けた。キム氏は、自分は「平壌(ピョンヤン)市民」だとし、「脱北ブローカーにだまされて韓国に来た」と主張してきた。

 キム・リョンヒ氏と彼女を支援する市民団体の集まり「平壌市民キムリョンヒの送還を求める会」は12日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)玉仁洞(オクインドン)のソウル警察庁保安捜査隊前で記者会見を開き、キム氏に対する警察捜査を批判した。警察の取り調べ直前に行われた同日の記者会見では、キム氏らの早急な北朝鮮送還を要求する声もあがった。

 警察はキム氏を国家保安法違反(讚揚・鼓舞など)の疑いで捜査している。キム氏は2015年、ハンギョレとのインタビューで、故金日成(キム・イルソン)主席を「私の生みの親のような方」だと語った。昨年4月には自分のフェイスブックに太陽節記念動画と金日成万歳の歌などを掲載した。警察は、キム氏が昨年2月、在韓ベトナム大使館を訪れて北朝鮮への送還を助けてほしいと要求したのも、保安法違反(潜入・脱出など)と見て捜査を進めている。

 この日の記者会見で、キム氏は警察捜査の不当さを主張し、自分を北朝鮮に送還してほしいと要求した。キム氏は「自分の国がいいと言っただけで罪に問われることはないと思っている。今回の調査は、国家保安法を通じた政治的弾圧であり、認められない」としたうえで、「私は平壌市民だ。7年間、夫や娘と両親を強制的に奪ったこの国を理解できない。私を一日も早く愛する家族のもとに送ってほしい」と涙声で訴えた。

 記者会見直後、警察の取り調べを受けたキム氏は、すべての供述を拒否し、20分間後に保安捜査隊を後にした。取り調べを終えたキム氏はハンギョレとの電話インタビューで、「警察の取り調べで黙秘権を行使した。自分が生まれ育った故郷を愛することが罪なのか。最後まで屈しない」と声を高めた。

 キム氏の警察調査に同行した民主社会のための弁護士会(民弁)のチャン・ギョンウク弁護士は同日午後、訪韓中のオヘア・キンタナ国連北朝鮮人権特別報告者と面会し、警察の捜査に対する意見を伝える予定だ。チャン弁護士は「今日のこの状況は国家保安法の枠組みに閉じ込められた現実を示すもの」だとし、「キンタナ報告者に捜査の不当さを知らせる」と話した。

 一方、キム氏は2015年4月、中国駐在の北朝鮮領事館に電話をかけた疑い(国家保安法の会合・通信)などで、懲役2年に執行猶予3年を言い渡された。キム氏は裁判で「北朝鮮に抑留事実を知らせるために電話した」と主張したが、裁判所は認めなかった。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/823122.html韓国語原文入力:2017-12-12 14:12
訳H.J

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