検察が20日、チェ・ギョンファン自由韓国党議員事務室などを家宅捜索し、捜査を公式化したことで、政界に緊張感が広がっている。これまで「ドアノブ3人衆」と大統領府に限られたものとされた「国家情報院の特殊活動費上納」事件が、政界全般に拡大される様相を帯びているからだ。
政界と法曹界では、イ・ビョンギ当時国情院長(70)が国情院の特殊活動費予算の大幅な削減を防ぐため、当時企画財政部長官兼経済副首相だったチェ議員だけに“カネ”を手渡したはずはないと見られている。先週から政界周辺には、与野党議員らの実名が挙がったうわさが流れはじめ、ソ・フン国情院長の公式的な否定にもかかわらず、沈静化していない。特別活動費に対する明確な統制装置がなかったことや、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の国情院長らが数十億ウォンの巨額の資金を気兼ねなく上納した“金遣いの荒さ”などが、このような疑惑を裏付けている。前政権で国情院が慣行のように国会情報委員らを定期的に管理してきたという主張も続いている。
さらに、国情院は昨年の総選挙を控え、大統領府が違法に実施したいわゆる「真朴(真の朴槿恵支持派)鑑別用」世論調査費用として5億ウォン(約5千万円)の大金を提供した。世論調査費を支払うほど特定政派を支援したとすれば、直接支援の可能性も排除できない状況だ。
イ元院長がチェ議員に対する上納を指示した事実を認めており、国情院と政界をつなぐ“媒介役”を果たしたイ・ホンス元国情院基調室長(64)が検察捜査に積極的に協力していることも、捜査の行方に影響を及ぼすものと見られる。国情院の国会ロビー疑惑が頭をもたげているのも、そのためだ。
検察も捜査の拡大を否定していない。一般論としながらも、「捜査の手掛かりが見つかれば、捜査せざるを得ないのではないか」という立場だ。ただし、検察は今回の「国情院特殊活動費の上納疑惑」捜査が、不正なカネの流れを追う“通常の捜査”という点を強調している。同日、捜査チーム関係者は「国情院で(情報を)受け取ったのではなく、ホワイトリスト(親政府団体の集中的支援)を捜査する過程で自主的に認知して捜査を行ったもの」だとし、「国情院が資金洗浄した5万ウォン札束の帯までわざわざ取り除き、密かに渡したとすれば、(これは)重大な犯罪だ。捜査チームは本来やるべきことを一生懸命やっているだけ」だと話した。
一方、検察は近く、チェ議員を被疑者として召喚し、国情院から出た特殊活動費がどのように渡されたか、どのような用途で使われたのかなどを確認する計画だ。