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「15.4%が精神健康リスク群」…働き口のない若者たちの“心の病”

登録:2017-10-17 06:42 修正:2017-10-17 09:52
ソウル市若者支援センター、4700人を調査  
精神症・自殺のリスクのある「情緒高リスク群」と  
「潜在的リスク群」の割合が15.4%に達し  
情緒的支援が必要な割合も15% 
専門家「求職以外に健康も支援を」
写真は2014年に開かれた「時間選択制働き口採用博覧会」=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 働き口のない若者は体だけではなく心も病んでいる。7月、ソウル市若者活動支援センターが若者手当の対象者4700人に精神健康と求職意欲などを調べる心理情緒自己診断を行ったところ、精神健康リスク群といえる情緒的な高リスク群と潜在的リスク群の割合が15.4%と表れた。情緒的高リスク群は、精神症を患っていたり、自殺のリスクを持った人たちに分類される。また、リスク群ではないとしても情緒的支援が必要な割合も15%だった。30%が情緒的処置が至急であったり必要な対象だった。今回の調査はオンライン自己診断である上、情緒的問題を早く発見するためにリスク群の範囲を多少広く策定した可能性はある。これを考慮しても、最近自殺をよく考えたことがあり、自殺の方法を具体的に構想してみたことがあると答えた若者たちの割合が10%を超えるのは、他の集団より非常に高い危険信号だ。保健福祉部の「2016年精神疾患の実態」などさまざまな調査によると、成人のうち自殺リスク群は2~3%程度と推定される。

 これまで精神健康研究対象は、主に貧困家庭のなかでも最弱者である高齢者や子どもだった。就業可能年齢でありながら、就職して貧困の状態を解決できない若者たちの心はどうだったのか。

 進路・情緒領域の2つの分野の健康性を診断した今回の検査では、200万ウォン(約19万8千円)以下の家計所得の集団は社会的支持を最も少なく受け、求職準備活動が最も少ない進路領域の問題を抱えていた。教育年数が低いほど働き口を求めなければならないという動機が大きく下がり、鬱と不安が高く、家計所得が低いほど人生に対する興味を失ったり、不適応的な認知の変化を経験した。特に、貧しい上に扶養家族がいる若者は有能感が欠如し、憂鬱で心理的成熟度も低いことが分かった。親や兄弟などの面倒を見なければならず、社会的に支えてくれるところがなく、低所得層である若者たちが求職で不利であり情緒的にも脆弱なものとみられる。

 一方、500万ウォン(約49万5千円)を超える家計所得を持った若者たちの心も働き口がなければ苦痛を抱える。彼らは異なる集団に比べ、動機の低下と不安が最も高く、心理的成熟度は最も低く、鬱も最も多く経験したものと調査された。ソウル市若者手当の支援対象はソウルに居住する19~29歳の未就業青年のうち、家計所得、未就業期間を考慮して決まるため、相対的に家計所得が高い人たちは他の若者たちより未就業状態が長かったものとみられる。

 今回の調査を進めたソウル大学心理学科のラ・スヒョン博士は「元々情緒的に脆弱な若者たちも、就業と社会活動で肯定的な自己概念を補い、健康に生きていくことができる。ところが今回の調査では、健康だった若者たちでさえ長期的な未就業を経験し、情緒的脆弱階層に変わっていくものとみられる」とし、「リスク群に分類された若者たちの相談を受けたところ、大半が働く意欲は高いが働けるところがあまりにもないと言う」とした。キ・ヒョンジュ・ソウル市若者活動支援センター長は「今回の調査を見ると、社会的ネットワークが崩壊し、長期失業状態に入った若者たちに求職支援だけでは足りないと感じている。若者支援は若者健康プログラムと連携しなければならない」と話した。

ナム・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/814737.html 韓国語原文入力:2017-10-16 21:56
訳M.C(1659字)

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