北朝鮮が7月に2度も大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星14」型の試験発射を行ったのに続いて、韓米合同軍事演習を控えて米朝の「言葉の戦争」が激しさを増しており、政府の悩みも深まっている。政府は北朝鮮の追加挑発の可能性を注視する一方、危機状況が手のほどこしようもない事態に発展することを防ぐため、“状況管理”に奔走している。
大統領府側は、米朝の激しい舌戦の中、高まる「8月朝鮮半島危機説」の鎮火に乗り出した。大統領府関係者は9日、記者団に「朝鮮半島危機説に同意しない」と強調した。同関係者は「(「火星14」型の試験発射は)北朝鮮の戦略的な挑発であり、これによって朝鮮半島の状況が厳しくなったのは事実」だとしたうえで、「しかし、危機に発展したとは考えていない。この状況をうまく管理すれば、むしろ韓国が直面した厳しい安保状況を克服していく機会になれると思う」と話した。同関係者は、政府が万全の対応態勢を整えているという点も強調した。彼は「いわゆる『コリア・パッシング』(韓国排除)という言葉がささやかれる理由を理解できない」とし、「大統領府国家安保室は、米国と日本の国家安保補佐官室と緊密に疎通している。中国とロシアとも緊密に疎通している」と強調した。さらに、「朝鮮の核・ミサイル問題は先送りにすればするほど、状況が悪化する。なるべく早期に問題の根源的解決に向けて努力しており、その可能性が非常に高い」とし、「最終段階の合意まで時間がかかるかもしれないが、まもなく大きな峠は越えられるものと期待している」と付け加えた。
ペク・テヒョン統一部報道官も定例会見で、北朝鮮が人民軍総参謀部と戦略軍報道官声明で、「ソウルが火の海に」や「グアム包囲射撃作戦」などに言及したことと関連し、「韓米政府当局が、北朝鮮の追加挑発に備えて、関連動向を綿密に注視している」と述べた。ペク報道官は「韓国軍当局はさまざまな状況に備えて万全の態勢を整えている」とし、「北朝鮮が挑発を中断し、態度を変えることが重要だ」と強調した。彼はさらに、「(北朝鮮のグアム包囲射撃など)そのような言及は、南北関係の発展において役に立たない」とし、「政府は、朝鮮半島の平和と安定、そして南北間の和解協力に向けて一貫した努力を傾けていく」と付け加えた。
軍当局も、北朝鮮の脅威に対し、万一の事態に備えて警戒態勢を強化している。軍当局者は「緊張状況が乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン韓米合同演習(21~31日)の期間と重なっており、偶発事態の可能性も排除できない」とし、「軍は常に北朝鮮の挑発の可能性を念頭に置いて軍事態勢を整えている」と話した。