政府が28日、慶尚北道星州(ソンジュ)の高高度防衛ミサイル(THAAD)敷地に対する一般環境影響評価(アセスメント)を実施する方針を明らかにしたことで、THAAD発射台6基がすべて配置完了する時期は来年以降になる見込みだ。4季によって変わっていく動植物の植生や生態調査まで義務化された一般環境影響評価にはおよそ10~15カ月がかかるからだ。政府は現在、慶尚北道倭館(ウェグァン)の米軍基地キャンプ・キャロルに保管されているTHAAD発射台4基は、在韓米軍にTHAAD敷地として供与される総面積70万平方メートルに対する一般環境影響評価が終わる前には、星州に配備しない方針だ。国防部当局者は「現在、星州に配備されたTHAAD発射台2基やレーダーなども有事の際、北朝鮮のミサイルを迎撃するには問題ない。THAAD発射台4基の追加配備が少し遅くなるとしても、憂慮するような状況ではない」とし、十分な時間を置いて一般環境影響評価を進めても、大きな問題にならないと明らかにした。
しかし、すでに配備されたTHAADの装備について補完工事を認める方針を打ち出したのは、これまでTHAAD関連政策決定を「一般環境影響評価以降」に先延ばしにしてきたのとは、全く異なる動きだ。政府は今回THAADの敷地70万平方メートルについて、一般環境影響評価を実施すると発表したが、内容を具体的に見ると、国防部が法の網をかいくぐる方法で実施した小規模環境影響評価の正当性を認めるもので、今後議論が続くものとみられる。
政府の今回の決定には、すでに星州ゴルフ場に在韓米軍のTHAADの一部が配備されている点や、一般的な環境影響評価が10~15カ月もかかるものと予想される状況で、すでに配備されたこれらTHAAD装備を引き続き「臨時状態」に置くのは難しいという現実、THAAD配備が朴槿恵(パク・クネ)前政権による決定ではあるが、韓米が合意した事案であり、事実上撤回するのは難しいという事実などが影響したものと見られる。一般環境影響評価を通じて適法な手続きを経なければならないという“原則”と、すでに配備されたTHAAD装備を突き返すのは困難であるという現実のはざまで、折衷点を探ろうとしたものと理解される。
しかし、今回の決定で、在韓米軍のTHAAD配備が既成事実化のほうに大きく近づくことになった。何よりも補完工事の性格が永久配備のための工事とあまり変わらないからだ。現在、星州ゴルフ場にはTHAAD発射台2基やレーダー、発電機、冷却機、火力統制所などが野戦用金属鉄板パッドの上に設置されている。政府が明らかにした「補完工事」にはこの金属鉄板パッドを永久的なコンクリート構造物に変える作業が含まれている。内部道路の建設や商業用電気施設の引き込み工事も予想される。政府は「臨時運用のための補完工事」と明らかにしたが、内容的には永久配備に向けた工事と大差なさそうだ。
国防部当局者は、今回の補完工事許可の法的根拠として、朴槿恵政権で実施した小規模の環境影響評価を挙げている。小規模環境影響評価を進めている国防部は、環境部との協議手続きが終わり次第、補完工事を認める計画だという点も明確にした。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政権は先月5日「国防部が一般環境影響評価を避けるため、THAAD配備の敷地面積70万平方メートルを2つに分けた後、1段階で32万8779平方メートルだけを在韓米軍に供与した」として、この小規模環境影響評価を行った過程に問題があると指摘した。国防部が、敷地面積が33万平方メートル以上なら「一般環境影響評価」を受けなければならず、33万平方メートル未満なら「小規模環境影響評価」だけを受けてもいい法の規定を悪用したというのだ。このように批判したにもかかわらず、今回の措置で小規模環境影響評価について「手続き的に何の問題もない」と認めたのだ。