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[記者手帳]“ペク・ナムギ放水車”の監視カメラ映像を見ました

登録:2017-06-30 23:22 修正:2017-07-01 07:03
2015年11月14日、「民衆総決起闘争大会」で、警察は催涙液を混ぜた放水銃を集会参加者、取材陣の別なくむやみに撃ちまくった。この日、警察が撃った放水銃に直撃され意識を失い倒れた農民ペク・ナムギ氏は2016年9月25日に死亡した=キム・ポンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 こんにちは。警察庁出入り記者のホ・ジェヒョンといいます。昨春まで私は土曜版を担当していました。土曜版を離れた後も、常に“ジェラシー大魔王モード”で土曜版を気にしています。

 今日は農民の故ペク・ナムギ氏と放水車関連報道の裏話をしようと思います。今週、なぜ突然にこの報道が相次いだのか不思議じゃなかったですか?イ・チョルソン警察庁長官が謝罪をした事実はご存知の通りです。警察が最近になって裁判所にこの事件の関連監察報告書を提出したそうです。国会で昨年、ペク・ナムギ死亡事件聴聞会まで開きましたが、これがまだ公開されていなかったこと、皆さんはご存知でしたか?

 警察は「まだ放水車を運用した警察に対して、業務上過失致死疑惑で検察が捜査中なので、裁判所には提出できない」という立場を固守していましたが、突然に態度を変えました。でも検察の捜査はまだ進行中ですね?変わったことと言えば、大統領だけなのに、どうして警察は態度を急に変えたのでしょうか。私がそれを来週月曜日に警察庁長官の記者懇談会で直接尋ねます。

 今回公開された報告書で注視すべき点の一つは、ハンギョレが昨日報道したK警衛(元ソウル警察庁第4機動装備長)に関連する内容です。今回の報告書を通じて新しく現れた人ですね。この人がなぜ重要なのでしょうか?K警衛は、農民ペク・ナムギ氏が放水攻撃された時、外で現場指揮をした人ですね。ところが聴聞会場にも出てこなかったし、告訴もされませんでした。本当に国会と世論の目を避けて、その間うまく隠れておられました。

 私は、農民ペク・ナムギ氏を攻撃した放水車のCCTV(監視カメラ)を偶然な経路で見たことがあります。まだ外部には公式公開されてなく、明確に説明した報道はご覧になっていないでしょう。私がここで説明します。

 警察が「農民が倒れたことを知らずに直射放水を続けた」と話しましたが、そこに“半分の真実”は含まれています。CCTVの映像を見れば、農民ペク・ナムギ氏が放水車の前に迫ります。すると直射放水が始まりましたが、その時しぶきが上がってCCTV画面を隠します。農民の姿は見えません。それでも放水は継続します。放水を止めるとすぐにしぶきも消えて、画面は再び正常に戻ります。この時、農民が路上に倒れていて、人々が来て救出しようとしている様子が画面に捉えられています。

 したがって、農民が倒れる場面を警察が見られなかったということは、厳密に言えば誤りではありません。しかし、農民に照準して撃つ直前までは、確かに画面がきれいだったので「農民が放水車に近づいていることは分からなかった」と言った部分は嘘になります。農民ペク・ナムギ氏を見て撃ったことは明らかな事実です。

 ただし、CCTVの内容を知っている立場の私に言わせれば、その放水車を運転していた警察官だけにすべての責任を問うことは難しい面があると考えます。上で申し上げたように、放水銃を撃つ時、車両の中からは外がよく見えなかったのは事実ですから。それでは誰の責任がさらに重いのか。この点でK警衛の役割を確かめる必要があります。

 監察報告書の内容によれば、K警衛は警察車壁(車両によるバリケード)の上で放水車内に無線機を通じて放水銃をどこに撃つべきかを逐一指示していました。“放水車の頭脳”の役割をしたわけです。放水は車内での機械操作と外側からの無線機による指示という2つの作業が結合してなされました。ところが今までは放水車を操縦した警察官だけに刑事責任を問うていたのです。頭には目を向けず、胴だけを批判していたのです。そこで私たちが監察報告書を通じて明らかになったK警衛を世の中に引き出す記事を書いたのです。

 K警衛は、ペク・ナムギ事件の聴聞会場には出て来ませんでしたが、民主労総のハン・サンギュン委員長の刑事裁判には証人として出廷しました。主にデモ隊の過激な行動についてのみ証言して帰りましたが、今度は農民ペク・ナムギ氏を放水車が攻撃する過程で、自身がどのような指揮をしたかについても証言しなければなりません。

 再び放水車を運転していた警察官に戻ります。車を運転していたH警長(当時、忠清南道地方警察庁第1機動隊所属)は、昨年9月に聴聞会場に出てきて「数十回現場に投入された」として、あたかも放水の専門家のように話しました。しかし監察報告書を見れば、ペク・ナムギ氏が倒れた日が僅か2回目の現場投入でした。

ホ・ジェヒョン・ハンギョレ土曜版記者=カン・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 H警長は、国会でなぜ事実と異なる証言をしたのでしょうか。ともすれば、これは国会での証言・鑑定等に関する法律違反(偽証)になりえます。警長は巡査の次の職級の末端職級なので、一人で国会でこうした嘘を決心するとは考えにくいでしょう。いったい誰の指示があったのかも明らかにしなければならない点です。私が来週の月曜日、イ・チョルソン庁長の記者懇談会で直接尋ねます。

 参考までに、最近裁判所はチェ・スンシル国政壟断事件と関連して、国会で偽証した人々に実刑を宣告しています。国会での偽証は軽い犯罪ではありません。公務員ならばなおさらですね。

ホ・ジェヒョン社会エディター席24時チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/800998.html 韓国語原文入力:2017-06-30 20:33
訳J.S(2450字)

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